3.《ネタバレ》 昨年末NHKで劇場版を放送していたので、その前に復習ということで見直しました。原作が話題になっていることも知っていましたが、本放送時は視聴せず原作も読んでいません。1年ほどのちの再放送で初めて見て面白さを認識。今回見たのはBSフジでの再放送を録画していたもので、原作を読むのはさらに映画を見たあとになりました。
これ、ひとことで言うと「原作の勝利」ですね。肝心な部分はほぼ漫画通り。特に音楽をする上での重要ポイントはそのまま生かされていて、非常に納得できるところが多いです。これは原作者の取材・リサーチのたまものでしょう。その上でドラマ化するために必要な改変をしていて、その取捨選択が絶妙。原作を知らずに見てもあまり不自然に感じないのはおみごとです。キャストもそれぞれはまっていて、この後さらに活躍する人たちが集結しており、そういう点でも見ごたえがあります。今このメンバーを集めようとしたら、スケジュールの調整が大変になるのではないでしょうか。中でもシュトレーゼマン役の竹中直人が怪演です。わたしはこの人大嫌いですが、これは適役だったと思います。また、漫画の表現をそのまま使うような演出も、シュトレーゼマンの非現実性を薄めるということを手伝っていたと思います。のだめや千秋のキャラクターを生かすという点でも、ああした演出は成功でした。
改めて見てみると、峰君の存在が大きいということに気づかされます。実際、彼がいなければ千秋はあそこまで成長できたかどうかわからないし、その影響でのだめもどうなっていたかわかりません。実は峰が一番のキーパーソンなのですね。男女の恋愛と男どうしの友情ということで、『小さな恋のメロディ』を思い出しました。これは日本人好みの構図なのかもしれません。
また、茂木大輔が監修したであろう、クラシック音楽のBGMとしての使い方が絶妙で、非常に効果的でした。こうした、スタッフ・キャストの適材適所ぶりが成功した原因でしょう。まったく隙のない、すばらしいドラマでした。