1. TRUE DETECTIVE/二人の刑事
《ネタバレ》 「刑事」に該当する言葉をご丁寧に二つも重ねた邦題が示す通りの内容でした。 家族を失った悲しみから生への執着を失い、どんな危険な捜査でも厭わなくなったはみだし刑事・ラストと、職場での評価も家庭人としての評価も安定した平均点刑事・マーティン。『リーサル・ウェポン』のリッグスとマータフを彷彿とさせる、この手の刑事ドラマとしては類型的ともいえるコンビなのですが、この二人のドラマを見せるうえでの過去パートと現在パートを行き来する構成がなかなかの効果を上げています。 過去パートはソリの合わなかった刑事が徐々に信頼関係を育みながら猟奇殺人に挑むという、これまた刑事ものとしては類型的な内容ではあるものの、現在パートにてどうやら二人の関係性は断絶しているらしいことが分かり、何か重大なことがあったことが暗示されるために、物語への興味をかなり強く惹かれました。 また、ラストとの関係性の中でマーティンが悪い意味でも変わっていく様も見どころとなっています。家庭と仕事の間に愛人を挟むことで心のバランスをうまくとっていたマーティンが、ラストに引っ張られる形で仕事に没頭するようになり、酒と女に弱く、また理性を失うと暴力的になるという弱みがどんどん露になっていきます。マーティンってしょーもない男だなぁと思いつつも、仕事を頑張りすぎていることを奥さんから責められる様は可哀そうだなぁとも思いました。しかしこのマーティンがやたらモテることは気になりましたが。奥さんがミシェル・モナハン、最初の愛人がアレクサンドラ・ダダリオ、バーで逆ナンしてくる二番目の愛人がリリー・シモンズって、なんで美人ばっかなんだよ! 配役も面白く、はみだし刑事にマシュー・マコノヒー、平均点刑事にウディ・ハレルソンと、普通なら逆でやらせるべきトリッキーな配置がハマっています。突如演技に開眼した当時のマコノヒーの大胆な演技と、その受け手となるハレルソンのベテランらしい安定した演技の組み合わせが、見事に化学反応を起こしているのです。 物語はゆっくりと始まるのですが、第4話の目の覚めるような大銃撃戦からは、ものすごい勢いでドラマ全体が疾走を始めます。あまりに情報量が多いため一度見ただけでは全体を把握できず、たまに固有名詞を見失うこともありましたが、大筋はさほど難しくないので問題はありませんでした。 問題点は、ミステリーとしてはすっきり終わってくれなかったことでしょうか。捜査の過程で、地元の政治や行政機関にまで深く入り込んだ変態カルト集団の存在が浮上してくるものの、ドラマはその下っ端を一人殺しただけで終わり、変態カルトとの闘いは決着しません。圧力と戦いながら巨悪を追い詰める様を期待した私としては、ちょっと残念でした。 [テレビ(吹替)] 8点(2018-04-26 18:50:30) |