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ザ・チャンバラさんのレビューページ
プロフィール
コメント数 32
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  マンハント 《ネタバレ》 
ディスカバリーチャンネル製作の実録ものということで、エンタメに振り切れ過ぎず良い意味で生真面目な内容に徹している点に好感が持てました。時代の再現度や役者のなりきり具合はかなりのレベルに達しており、一目で「このドラマはレベルが違う」ということが分かります。  主人公はFBIのプロファイラーであるジム。事件から2年後、世捨て人の如く山奥に引きこもり、自給自足の生活を送るヒゲボーボーの男こそがジムであり、どうやら彼は何かに激しく憤っているということが分かります。次に物語は2年前へと遡り、FBIの訓練課程を最優秀で修了し、精鋭揃いのユナボマー対策チームにいきなり配属された前途洋々たるジムの姿がそこにあります。2年間でジムを変貌させたものとは一体何だったのか。かなり引きの強い序盤であり、ここで一気に心をつかまれました。 なお、ジムが修了した訓練過程は最近見た『マインドハンター』で創立された心理捜査課のものであり、舞台もマインドハンターと同じくクァンティコ。個人的にはこの時点でテンション高めになりました。「ホールデン、君の部署は立派に育ってるぞ」と。  捜査の過程では大掛かりな見せ場や息詰まるような展開はないものの、チームに配属された新人捜査官の苦悩が克明に描かれることから、職業ドラマとして非常によくできています。「君の手腕に期待している」と言われてチームに入ったのに、実務を開始すると自分の言うことを全然聞いてもらえない。それどころか地道なリサーチの末の提案に上司全員から一斉に噛みつかれ、自分はチームの邪魔をしているのではないかと思うことすらある。多くの人が経験するような新人の苦悩が描かれるため、ジムへの感情移入が非常に容易でした。 また、上司側の視点でも物語は描かれます。チームを取りまとめるアッカーマン主任捜査官にとってプロファイリングは犯人特定のための手法のひとつに過ぎず、それがすべてではないのです。そうした視点の違いこそが専門職員であるジムとの間に溝を作っているのですが、この摩擦もあらゆる組織で見られるものであり、組織論的な面で興味深く見ることが出来ました。 そんなFBIの組織論として最大の盛り上がりを見せるのが第4話であり、犯人の要求通り新聞に彼の論文を全文掲載し、新聞購入者という膨大な母集団を国中のFBI捜査官を動員して個別にマークするというFBI史上最大規模の作戦を実行するか否かの決断が下されるのですが、もし失敗すればFBIはテロリストの要求に屈したという汚点を残し、アッカーマンのキャリアは終わり。作戦の効力に対してのネガティブな見解も出ている中で、この大博打を打つかどうかの決断をアッカーマンは迫られます。失敗しても次がある下っ端の提案者と、代表者として組織を背負っているチームリーダーの立場の違いを思い知らされる回であり、絶対に成功すると確信している作戦の決裁がとれず苛立つジムと、失敗のリスクまでを考慮するアッカーマンの両方に激しく感情移入しながら見ることができました。  また、本作は犯人であるカジンスキーのドラマとしても優れています。本心では人を求めているもののうまく振る舞えず、高い自我との間の絶望的な差異を、他者を傷つけ優位に立つという行為で埋めていた孤独な男。そんな彼の心情が描写されたのが第6話であり、爆弾魔としての自分の実績を誇らしく思う一方で、もしその長い時間と膨大な労力を人間関係を改善させるという方向性で行使していれば、どれほど人生が豊かになっただろうかと後悔する様は、見ている者の心をも深く抉ります。  他方、残念だったのがエピローグである第8話でした。前述した通り、本作は1997年を舞台にした現在パートと、1995年を舞台にした過去パートに分かれており、この最終話は現在パートに位置付けられるエピソードなのですが、第7話からの接続が悪いためか過去パートと繋がっているエピソードに見えてしまっており、しばらくは何の話をしているのか分かりませんでした。 また、第1話の掴み部分である、2年間でジムがなぜ世捨て人になったのかの説明が最後までなかったため、シリーズ全体を通した問題提起と結論がうまく整合していないという点も気になりました。何か重要な情報を見落としたのかと思って第7話から見返したものの特に見落としはなく、どうもこのドラマには一部の重要な情報が欠落しているようです。第7話までのクォリティが高かった分、ドラマを締めきれていない最終話の不出来が余計に目立っています。
[テレビ(吹替)] 7点(2017-12-30 08:44:53)
2.  マインドハンター 《ネタバレ》 
ジャンルとしては猟奇殺人ものであり、かつ刑事ものではあるものの、犯人との息詰まる攻防戦や視聴者の目を楽しませるような大捕り物は皆無。本編のほとんどが会話劇である上に、視聴者をあっと驚かせるような展開があるわけでもなく、どこまでも地味な作風です。他の海外ドラマのようについつい一気見させられることもなく、1か月をかけてようやく全10話を見終わりました。 ではつまらなかったのかというと決してそういうわけではなく、不思議な魅力に満ちた作品だったと言えます。これはおかしな見方なのかもしれませんが、主題である猟奇殺人や犯罪プロファイリングにはほとんど興味を引かれなかった一方で、主人公ホールデンのサラリーマン的な面に物凄く感情移入しながら見ることができました。 ホールデンはFBI捜査官ではあるものの、アクション映画に出てくるようないかにもなエリート捜査官というタイプではなく、むしろ小役人のような雰囲気を漂わせています。そんな彼がプロファイリングを用いた捜査に着目し、ベテランではあるがほぼ窓際状態にあるビル捜査官と組んで心理捜査課を立ち上げるのですが、これがビジネスにおける社内ベンチャー立ち上げのようなのです。出会うほとんどの人に新しい試みを理解されないばかりか、「凶悪犯は人間の屑だ。そんな屑の心理を理解しようとすること自体が良くないことだ」とその趣旨を曲解された上で批判まで受ける始末であり、立ち上げ当初はかなり苦労させられます。この辺りは、新規事業立ち上げに参加した私自身の経験とかなり重なる部分もあって、他人事とは思えないほど感情移入させられました。 中盤以降はそんな彼らの努力が成果を挙げ始め、犯人逮捕への貢献や、他の機関からの注目を集め始めます。人手を増やしたくて募集をかければ誰を落とそうかと迷うほど採用希望者が殺到するのですが、これもまたベンチャーっぽいんですよね。そんな中でホールデンは自身の編み出した手法にかなりの自信を持ち、内面から溢れ出てくる意欲や行動力を抑え切れなくなります。何にでも「俺は俺は」と口を挟み、「現場での臨機応変」という大義名分を盾に上司からの指示や組織の決まり事を無視するようになり、さらには仕事での勢いがプライベートにまで悪い形で波及し、全方位に対してウザい奴になるのですが、恥ずかしながらこの辺りの心境も私はよく理解できました。仕事が乗りに乗っており、客観的な成果も出ている時って24時間アドレナリン出っ放しで、周囲に対する態度もついつい自己中心的なものになっていきます。本人は有能な自分が関与することが全体のためになっていると思って行動しているのですが、「俺の言うことだけ聞いてればいいんだよ」という本音を隠しもしない態度が周囲との軋轢を生んでおり、味方をどんどん失っていく。社会人をやっていると、こういう時期ってありますよね。 ホールデンのそうした逸脱がはっきりと露呈したのが第8話であり、シリアルキラーや犯罪捜査とは直接関わりのない異色回でありながら、私はこれが現時点におけるベストエピソードだと感じました。授業への協力でたまたま訪れた小学校で校長の異常行動を発見。この校長はサイコパスであり、今止めなければ凶悪犯罪を起こす可能性ありとホールデンは判断します。これまで直感に従い行動して成果を挙げてきたホールデンは今回も自分自身の勘に従うのですが、まだ何の事件も起こしておらず、かつ、社会的ステータスが高く世間一般では「信頼できる人」とされている校長の身辺調査をFBIの権威を行使して実施するなど前代未聞の事態であり、ホールデンは多くの批判を受けます。それでも彼は自身の判断を曲げることはなく、事件を起こしていない校長を社会的な破滅にまで追い込むのですが、ホールデンによって悲劇が未然に防がれたのか、それとも落ち度のない民間人の人生が無駄に奪われてしまったのかは誰にも分かりません。 このエピソードではホールデンの逸脱と同時に、予防の難しさも描かれています。例えば児童虐待やストーカー犯罪で悲劇的な被害が出た際に、児童相談所や警察は事前に相談を受けていたのになぜ防げなかったのかという批判がよく聞かれます。ただしそれは後知恵であって、事前の相談レベルで先を見通すことは非常に難しいし、予防に走り過ぎれば本来は変えてはいけない人生を狂わせる可能性だってある。そうした難しさが見事に描かれた普遍性の高いエピソードだったと言えます。
[テレビ(吹替)] 7点(2017-12-19 17:20:53)(良:1票)
3.  マルコ・ポーロ
全10話に9,000万ドルもの製作費がかけられただけあって、ルックスの説得力は桁違い。都市、宮殿、衣装、武器、調度品など画面に映るものすべてに手抜きがなく、その時代の再現に成功しています。ファーストカットを見ただけで「これは並の時代劇ではない」ということが伝わってくるほどの迫力であり、第1話は画面に映るものに見とれているだけで1時間が経過してしまいました。 最近の海外ドラマとしては珍しくテンポはゆったりとしており、クリエイター達は矢継ぎ早な展開で視聴者を楽しませることよりも、凝りに凝った美術をじっくりと見せることを優先したようです。その結果、5話までは話がほとんど進まず、時に退屈させられた点はマイナスでしたが。 もうひとつ本作が特殊なのは、カンフーマスターがマルコ・ポーロに稽古をつけたり、忍者軍団がフビライ暗殺に送り込まれたりといった誤った東洋文化のアイコンが豪快にぶちまけられていることであり、重厚な時代劇の合間にこうした俗っぽいものを見させられるため、高級中華料理とサッポロ一番を同時に食べさせられているかのような不思議な感覚を抱かされました。サッポロ一番もおいしいので決して悪い気はしませんでしたが、珍しい崩し方をするものだと思いました。 また、個性や行動原理が不明確な登場人物が何人か居た点も気になりました。例えばコカチン王女。権力争いに翻弄される悲劇の美女としての一面と、恋人を殺害してでも現在の地位を守ろうとする狡猾な策略家としての一面とが交互に披露され、結局彼女は何を考えているのかがサッパリわかりません。またクトゥルン姫も、初登場時にマルコ・ポーロを逆ナンして即騎乗位で青姦となかなか豪快なところを見せるものの、その後はマルコ・ポーロとの接点はほとんどなく、それどころかビャンバと恋に落ちて婚約までするために、あの青姦には一体何の意味があったんだろうかと思ってしまいます。 良い点も悪い点もある癖の強いドラマですが、見るべき点は多いため引き続きシーズン2と番外編も鑑賞したいと思います。
[テレビ(吹替)] 7点(2016-12-15 17:21:21)
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