1. 3年A組-今から皆さんは、人質です-
《ネタバレ》 全10話、終始高いテンションと緊張感を維持したストーリー展開の巧みさにまずは拍手。本来受け入れられるはずもないテロリストの正義に頷かざるを得ないのは、深刻な社会問題に対する警鐘と、真摯な教育的メッセージがゆえ。さくらの魂を救う為に我が身を賭した柊先生最後の授業は、無理筋にも程があります。それでもなお、勢いと高い熱量で乗り切ってしまうあたり流石としか言いようがありません。センセーショナルな設定とは裏腹な、正統派青春学園ドラマでありました。「あの10日間は私にとって青春でした」茅野さくら万感の一言に、本作の全てが詰まっています。平成が終わろうとする現在の時勢を見事に切り取った“本気の”ドラマです。 [テレビ(日本ドラマ)] 9点(2019-03-12 00:23:45) |
2. 探偵が早すぎる
《ネタバレ》 基本は、アリスちゃん、橋田さん、探偵のトリオコント。スパイス的に、バーのマスターやアリスちゃんのクラスメイトが配置されているといった寸法。あまり細かいコトは言いっこナシですし、セールスポイントの『トリック返し』も生暖かい目で見るのが正しい鑑賞スタイル。完成度が高かったり、脚本が秀逸だったりするドラマはもちろん素晴らしいですが、キャラの魅力だけで押し通すのもコメディとしては正攻法だと思います。個人的にはチェインストーリーでの橋田さんのリラックスぶりが一番好きでした。また3人に会いたいな。 [テレビ(日本ドラマ)] 6点(2018-09-21 22:41:22) |
3. ゼロ 一獲千金ゲーム
《ネタバレ》 漫画原作の実写ドラマ化(映画化でもそうですが)の失敗パターンのうち、見た目に拘る”コスプレ大会”でなかった点、あるいは原作のディテールに拘る”木を見て森を見ず”パターンでなかったという点では評価しますが、原作の長所を生かすつもりも感じられなかった点はマイナス査定。要するに、特段取り立てて指摘するようなポイントのない普通のドラマであったとの印象です。個人的にはたとえ凡作だろうと駄作であろうと実写化へのチャレンジは歓迎したいので、これからも福本伸行先生の傑作漫画のドラマ化を望みます。今、イチオシは『最強伝説・黒沢』。主演は山西惇さんでお願いします。 [テレビ(日本ドラマ)] 5点(2018-09-19 19:55:19) |
4. やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる
《ネタバレ》 まずもってイイのが1話30分のスタイル。しかも1話~2話のエピソード完結主義。気楽に観られるので集中できます。しかもNHKですからCMも無し。で、本作は神木隆之介演じるスクールロイヤー(学校付弁護士の田口先生)が、学校で起こる様々な問題に、法律家として立ち向かうというもの。田口先生側の主観だけでなく、常に反対側(学校側や体制側)の理屈や事情も等しく提示してくれるのが本作の特徴といえましょう。裁判同様、2つの意見を戦わせると。“やけに”というほど弁が立つとは思えませんし、それほど“吠えて”もいませんが、田口先生の“青さ”は気持ちの良いものでした。特に最終エピソードに当たる「自殺未遂事件」での筋の通し方(己が信じる正義の貫き方)は眩しかったですね。それは偏に、私自身に“体制側の観方”が染みついているからとも言えますが。最終話を持って田口先生は青葉第一中学を去りましたが、これで終わらせるのは勿体ないコンテンツ。武田鉄矢の『刑事物語』方式でのシリーズ化を望みます。 [テレビ(日本ドラマ)] 7点(2018-05-29 18:29:33) |
5. リピート〜運命を変える10か月〜
《ネタバレ》 今シーズンはめずらしく連続ドラマをよく見ました。『アンナチュラル』『また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ』そして本作。どれもとても面白く拝見しましたが、本作については前述の2作と比べると面白さの質は違います。B級ドラマなりの面白さというか、ツッコミが楽しいというか。合理性を欠く展開と稚拙な描写の数々が妙にツボにハマりました。キャラクター造形もバラエティに富んでおり良。そして何より”10か月”という絶妙なリピート期間の設定が秀逸でした。一度手にした”永遠の命”という恩恵を捨てる勇気は自分にはないかもなあ。モラトリアムほど甘美な期間は無いワケですから。それにしても貫地谷しほりのアイメイクの不自然さは、まさに『アンナチュラル』。ストーリーはまんま『マチ子』。一見何の関係もない3作がシンクロしていたりして。だからどうということも無いですが。 [テレビ(日本ドラマ)] 6点(2018-03-29 20:14:43)(良:1票) |
6. また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ
《ネタバレ》 国民的喜劇映画『男はつらいよ』へのオマージュと見せかけた『時をかける少女』(あるいは『時をかけるおっさん』)。てっきりマンネリズムをゆるく楽しむ趣向の王道喜劇かと思いきや、さにあらず。常に想像の斜め上を行く超展開に痺れっぱなしでした。同じ1日を1200回以上繰り返す異常な世界。実は笑いごとでは済まされない狂気の欠片が、ほのぼの人情喜劇に合うはずもなく。そのミスマッチがたまらないのです。『もう誰も愛さない』(1991年・フジテレビ)が“ジェットコースタードラマ”なら、『また来てマチ子』はさしずめ“ハンマー投げドラマ”。一点で高速回転、加速をつけて途方もない彼方へ飛んでいく物語。室伏もビックリですよ。キーエピソードは“初日”最終回となる第4話と、邪神が降臨した第7話でしょうか。どちらも神エピソードに認定。結局どこに着地するのかと思ったら、これ以上ない大団円で、これまたビックリ。裏の裏は表とはこのこと。関東ローカルだからこそ可能だった実験ドラマでしょうが、この面白さと完成度は、キー局プライムタイムどころか、世界に通用するエンターテイメントでございます。正直皆さんに声を大にして教えたい気持ち半分、こっそり自分だけの秘密にしておきたい気持ち半分。それだけ本気でこのドラマが大好きになってしまいました。さて、最後に主演の小林歌穂ちゃんについて。第1話の感想でシリーズを通じての大化けを予想しておりましたが、期待以上の成長ぶりに驚きました。もちろん、まだ粗削りではありますが、その存在感は絶大です(第7話の『歯なしおばあちゃん』は必見!)。クズ社長という良き相棒を得て、コンビ芸のスキルまで身に付けました。このまま、まっすぐに、素敵な女優さんになってください。 [テレビ(日本ドラマ)] 10点(2018-03-16 00:51:32) |