1. SHERLOCK/シャーロック
《ネタバレ》 うーん…。実はEP1の時から引っかかっていた事が確信されてしまったんです。 【このシャーロック・ホームズには、凡人に追いつけない頭脳と凡人を惹きつける魅力が少ない】。 魅力が無いんじゃなくて、少ないの。 第一回から予感はしてたんです。初対面の時から引っ張り回されて印象悪くされてたワトソン君が、その後毎回事件に付き合ってくれているのはなぜ?と。 メリットあるようには見えないんです毎回。事件を通して人間の心の闇を発見するとか、未知の知見を得るとか、大事件を未然に防ぐ鮮やかな手腕を見せつけられるとか被害者を救済して感動させるとか。 そう、主人公はやっぱり、視聴者を惚れさせてくれないといけません(ワトソンは視聴者代表の立ち位置)。 遺留品を分析して犯人を突き止めるけどそれ科警研の仕事の延長だし。 「僕の眼であり耳である」と宣言しているロンドン界隈のホームレス達との絆や信頼関係が深いわけじゃなさそうだし。 そもそも毎回の事件が、視聴者が悩み悶える謎じゃないし視聴者を謎から救出するような推理劇なんて皆無。 これじゃ世界的推理小説のTV版と呼ぶには無理だと思います。 キャストや映像は美しいです。でも推理劇じゃないしシャーロックの推理と人心救済がないならば、身内同士で最強決定戦ばっかりやってる仮面ライダーみたいなもんで、本筋じゃないと思いました。今シーズンのみの視聴とします。 以下は各EPのインプレ。 【EP4・ベルグレービアの醜聞】 新キャラ、アイリーン・アドラーの存在感と暴れっぷりは御見事。シャーロックを文字通り「ぶちのめす」のが美しき女性というのは絵になってました。シャーロックを翻弄しつくしてウマい事去ろうとしたけどシャーロックに多少惹かれたらしき感情が仇になって御用。刑場の露と消えるかと思いきや…。シャーロックの驚くべき計らいで救われました。尚、当EPではシャーロックが、敬愛する老夫人を暴行した暴漢に激怒して超法規的制裁を加えるという見所がありました。こういう魅力が毎回一回でもあれば。 【EP5・パスカヴィルの犬】 感情と縁を切ったはずのシャーロックが恐怖に慄くモンスターとは?。トリックが単純すぎてがっかり。 それと化学研究所に忍び込むのにペテン師並の話術と科学者並のギミックを使うと思ったら、兄のコネだったうえにあっさりばれて二度がっかり。 【EP6・ライヘンバッハ・ヒーロー】 終生のライバル・モリアーティとの決着か!と思いきや、のっけからモリアーティお得意の尊大さとブラックユーモアと話術に押されっぱなしのシャーロック。巨大組織のボスで複数の仲間がいて、大勢の人質とられてるとはいえ、手も無く敗れてしまうシャーロック。まあ仕掛けはあるけれど、未然に防ぐ策が無かったために、頭脳戦で負けたみたいな印象。シャーロックホームズが、です。 次期シーズンは見ないでしょう。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-02-06 14:36:17) |
2. SHERLOCK/シャーロック
《ネタバレ》 【シャーロック・ホームズ】と聞けば大体の人が大体知ってる名詞。私もその大体のうちの一人であり、原作を読んだ事もなく、世間に流布されてるイメージ程度しか知らない状態でした。キャップみたいなフェルト帽と肩を覆うだけの短いマントとパイプ愛用者。長身の美男子で上品で頭脳明晰な私立探偵だが躁的な氣質を持ち独断的で自分勝手でペースを乱される事を嫌い、人に媚びず犯罪者を恐れず、事件の謎解きに精力を注ぐが社会正義は眼中にない。傍若無人だが礼儀正しく、社会常識から外れてるが行動は論理的で倫理的。知的で高貴な奇人変人。といったようなイメージでしょうか。そういう目でみた本作は、そういうイメージを忠実に、しかも美しく造り上げてると思います。まあ制作国のイギリスの代表的ヒーローなので当然ですね。ただ初回エピソードを見終えたときは少し期待外れだったかなという氣も。なぜかというとこのシャーロックさん、目で見た情報を瞬時に脳内データと照らし合わせて的中率ほぼ100パーセントの推理はできるけど、突き止めた犯人と対峙して対話した時、その犯人の話術と心理トリックに乗せられて殺されかけているんです。あれ?コンセプトとしては頭脳で負けたらマズいのでは?と思ってたら危機を救ったのはワトソンで、この救出方法がなんと犯人を銃撃!しかも丸腰の犯人を死角から!。 え?、ワトソンもイメージと違うんじゃ…と思ってたら、心理トリックから覚めたホームズさんが黒幕を聞き出す方法がまたなんと!打たれた犯人の傷口をぐりぐり踏んずけて『黒幕は誰だ!もっと苦しむ事になるぞ言え!』ってオイ (--;)これでいいんでしょうか現代版は。 でもまあ、第一回は様子見だし、第二エピソードからはキャラも落ち着いたようでした。シャーロックさんがネット情報やメール通信を使ったり警察の科警研を利用して証拠分析したりは現代版ぽくていいです。実は格闘戦にも長けている設定も生きてますし。 意味ありげで謎めいたキャラも続々登場し、キャラだけでなくロンドンの街並みも随時美しく撮っている。OP・EPテーマも不可解な事件と社会に挑む名探偵のイメージを織り込んだ美しいもの。名コンビが生涯の宿敵の罠にかかって絶体絶命!の状態で終わったS1。次のシーズンも観ます。なかなか良いドラマです。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2019-10-16 05:29:16) |
3. スコーピオン
《ネタバレ》 キャラクター紹介と物語の方向性を示したS1に続く第二幕。キャラ達の人間的成長がテーマなわけで。確かにメンバーの精神的成長はみられるけど個人差ありで、やっぱり人生いろいろ。自分の課題とどう向き合うか、が欧米ドラマの面白さ。 今回も、天才の頭脳を持ちながら人間関係に苦悩する四人組の葛藤が描かれます。知能だけが異常に発達したため自分の親からネグレクトされた四人ですが、シルベスターとハッピーの2人は父親に対して自分の素直な氣持ちをぶつけあえたので和解できた模様。その成果が表れたのかこの2人、それぞれの弱点を克服したりしてます(臆病なシルは誰かを守るために勇氣を爆発させて行動する。意固地なハッピは相手への思いやりを言葉で訴える。)。シルベスターに至っては、愛した女性を最高な形で守り切ったという男氣を見せてくれました。最年少なのに最高の男や。 ただ問題なのが残りの2人。自惚れ過ぎのウォルターと無神経過ぎのトビー。合わないもん同士でギクシャク衝突したり素直に仲直りしたりセラビー受けさせられたりまたいがみ合ったりしてラストには、 2人揃って同時に、最愛の女性に最悪のフラれ方されるという衝撃の展開に。 文字通りに半泣きになりながら、それぞれ対照的な行動とるけど両者の氣持ちは解るので応援しながら次シーズンを待ちます(泣)。 他のメインキャラ、ケイブの強さと懐の深さ。ペイジの機転と愛らしさ。ラルフの(実はメインの四人以上)の天才ぶりと無邪気さは変わらず。 3人とも見せ場エピソードあり。 新キャラ ①レイ…変人かと思いきや、意外な社会性と深慮でスコーピオンを助けるカッコよさあり。途中退場したけどぜひまた復活して欲しいキャラ。 ②ヘイウッド…変人かと思いきや、ホントに変人。ただしクライアントと親を思う氣持ちは本物。今後の活躍に期待。 ③キャサリン…いまいちパッとしないおばちゃん長官だが、悪徳上司を出し抜く活躍は見事。トビーもびっくり。 ④ティム…普通、主人公の恋敵キャラって嫌な奴認定のイジワル設定なのだが、この人は見かけもイケメンでメンバーへの優しさは本物。さらにマズいことに事件において知性も機転も利くので、ウォルターにとってまさに【脅威】。ここでウォルターが知性をひけらかして屁理屈こねて見栄張ったために前述の悲劇が(泣)。 次回シーズンを待つ(泣)。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2019-09-04 17:59:21) |
4. スコーピオン
『IQの合計は700以上のチーム!。でも社会性はゼロ』。そんな触れ込みに冷やかし半分で見始めました。最初は有能な人たちがズケズケもの言う展開で、こんなのアメリカ人の通常モードだろとしか思わなかったのですが、、、 恐れ入りました。ここまでクオリティ高いものを見せつけられるとは。 感想には個人差があるでしょうけど、ほぼ毎回、泣くほど感激して観る羽目になってます。 なにが『クオリティ高い』のかは、このドラマの面白さを感じるネタバレになると思うので言いません。ただ言えるのはメインメンバーである4人の天才は、『社会性ゼロ』なんてのは嘘っぱちです。 事実と効率だけ追及して御高く停まってるウォルター。人をおちょくるかの様な言動ばかりでホームレス紛いの小汚い風貌のトビー。高所・閉所・不潔の恐怖症で泣き言ばかり喚く肥満体のオタク坊やのシルベスター。愛想笑いせず色氣無く、扱い方いかんによっては遠慮なく暴力を振るう紅一点のハッピー。 …というのが彼らの表向きの一部だけの姿であって、本編が進行するに連れて、彼らが隠していた本性が現れ、ドラマは熱く展開します。 観た人の感動の邪魔はしたくないのでそこそこのレビューにします(笑)。 ただ一言だけ。彼らの本領発揮は頭脳より人間性の方です。EP12の【クリスマスの奇跡】は必見です。 それと、彼らのチーム名がなぜ【スコーピオン/蠍】なのかは、EP3のラストで説明(らしきもの)がされます。 あと一言、同じEP3のクライマックスで事件の真犯人と壮絶な格闘戦を演じた人は、30年くらい前も同じような格闘戦を演じて、超有名になった人でしたね(笑)。 [CS・衛星(吹替)] 10点(2019-07-24 22:10:51) |
5. Major Crimes~重大犯罪課
《ネタバレ》 2005年から7年間もの間に米国で放送された刑事ドラマ【The Closer】の続編的作品。大ヒットした前作の終盤から登場した人物をボスとキーマンに投入し、凶悪犯の罰し方も【自白】から【司法取引】へとチェンジさせた今作の出来栄えや如何に。 ①…前作【The Closer】の主人公だった重大犯罪課の女ボス・ブレンダは、いつでも自分が中心に位置し、チーム全員に命令し、(ここからの説明が味噌⇒)状況に構わずいつでも自分が先陣斬って最前線に飛び込み、大騒ぎし、足引っ張る奴がいようものなら怒鳴りつけ、上司だろうが旦那だろうが親だろうが誰の助言も(ある程度しか)聞き入れず、それでも卓越した判断力と戦闘能力で事件を解決していたというまるで【源義経】もしくは【遠山の金さん】みたいな人物だった。 その手法に馴染んでしまったベテラン勢が、今まで内部情報局で自分らのアラ探ししていたシャロン・レイダー警部を受け入れるはずもなく、波乱の幕開け。 ②…予想通り。いの一番で反抗し始めるのは男お局のプロベンザ。漫才コンビ的な相棒のフリンも追従。まあ彼らは叩き上げでのし上がったし、ブレンダの手法と実力に心酔してたのでやむを得ない。でも米国人は実力さえあれば認めるので、当シーズンでブレンダとは異質の実力と人間味を発揮したシャロンに対し時間を置かず友好的になります。でもこのコンビ、かつてはブレンダにも同じ事してたので人間的にはあまり進歩無いかも(笑)。 ③…その【男お局】に命令されて混乱を余儀なくされる新人のサイクス。『利口と馬鹿が同居している』と当のプロベンザに毒づかれますが、元軍人なので行動は迅速。馬鹿じゃありません。あんたのせいだよプロベンザ(笑) ④…副本部長に昇格できたテイラー。【身分が人を作る】の格言通りに課のメンツと距離を置いて建前重視の堅物上司になった。しかし責任者はこれくらいで良いと思う。偉ぶりながら、女癖の悪さでロス市警ごと信頼失墜させかけた前任者のポープより遥かにましまし(笑)。 ⑤…小利口に振舞うバズ。飄々としたドクター・モラレス。狂暴ぶりが健在なサンチェスは相変わらず(笑)。タオ警部補には過去の事件で精神的に受傷した少女と絡むエピソードがあり、さすが元医学生だと頷ける優しさを発揮してます。だまって医者になってたら似合ってたのに。もしくは教師でも良いかと。説明はくどくなるだろうけど(笑) ⑥…さてキーマンとしてメインキャストになったラスティ。重大犯罪課に保護されながらも身勝手な行動と嫌味な口調でメンバーから呆れられての幕開け。でも彼は一般人が想像を絶する程の苛烈で冷酷な状況で育ったので他者への接し方に支障ができてしまったのです。これからの成長が当ドラマの見所の一つ。 ⑦…で、当ドラマの新主人公に抜擢され重大犯罪課の新ボスとなったシャロン・レイダー警部。前作では煙たいオバサン扱いだったけど警察官としての実力はメンバーが周知してる本物。さらに言えばこの人は前作のボス・ブレンダとは捜査方針だけでなく性格自体が正反対です。なぜならこのシャロン・レイダー。視点と思考と行動・言動の原理が全て【母親】としてのものだから。だからこそ、次第にチームの信頼を得るし、目の前で銃火器を振りかざす犯罪者に向かって微笑みを投げかける余裕と精神的強さを備えている。これからのラスティとの関係を軸にした物語は見所満載です。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2017-01-15 06:49:23)(良:1票) |
6. 殺人を無罪にする方法
《ネタバレ》 人間は同じ波長を持った同じレベルの者同士でくっつく生き物。なおかつ自分個人が身勝手に作り出した精神世界から他者と現実世界を眺めて生きている生き物。人生は綺麗事だけで生きぬけはしない。だからといって【自分が勝つ】ことのみ目的に生きて行けば、待ち受けている結果は惨めな破滅に決まってる。辛くても自分の人生にキチンと向き合って生きているのは僅かな出番しかなかったサムの姉のハンナと主人公の母親のオフィーリアくらい。その他の登場人物はよくもまあこれだけ集まったもんだと感心するほどの基地外っぷりを披露してくれている。勝ちたい・負けたくない・批判されるの嫌・ヤリたい・金欲しい・高い身分欲しい・愛されたい・邪魔者は始末しても構わない…ってオマエらさぁ(呆)。個人的な見解ですがこのドラマ、他者の愛し方に大失敗してヤケクソになり、心が悪魔にまで堕ちた哀れな人間達の悲喜劇ではないかと思います。弁護士?法学生?ハッキリ言って阿呆の集まり(主人公に飼われてるヒゲオヤジとエロオバさんに至っては魑魅魍魎レベル)。愛でも情でも義でも尊敬でも結ばれていない、お互いを裏切り放題し放題なこいつら、放って置きゃあ殺し合って最後の1人も自死選ぶように思える。なら何故観てるかというと、まあ人間の嫌な部分を隠さず描くアメリカンドラマは嫌いでは無いからです。だがしかし、度が過ぎるものは心の消毒が要ると思えます。こいつらには正義と愛と優しさ溢れるジャパニーズスーパーヒーロー・アンパンマンのアニメでも見せて反省させてやりたいわ(笑)。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2017-01-12 16:24:44)(良:2票) |
7. 半沢直樹
《ネタバレ》 【世間の建前の一般常識なんぞクソくらえ。熱く激しい義理人情が非人道的な冷酷非情を痛快にやっつけるサマを、まるで現実社会に再現させた様な大活劇ドラマ】、というのは昭和の昔っからのTBS局の得意技。いいんですよ。理屈なんざくそっくらえな正義感、勧善懲悪。誰しもが精神衛生上必要なはず。シニカルに構えて見たら荒唐無稽だのお笑いネタに映るという人もいるけど、こういうクソ熱い魂を持った人間が信じた正義に突き進む物語は大好きです。というわけで高得点を献上。…蛇足ですがこのドラマ、役者さんのほぼ全員があまりにも感情的な演技をしているので、制作スタッフは【こういうキャラしか演じられない役者】を選抜して狙ってキャスティングを行い、かなりの勢いで発破かけて演じさせたのではないかと思えてなりません。 [DVD(日本ドラマ)] 8点(2015-11-14 09:43:04) |