みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
16.《ネタバレ》 素晴らしいほど繊細に"普通の人々"を描いた傑作だった。1980年にしてこんなに繊細に人間のグレーの部分を描いていることに驚いた。何度も泣いてしまった。 家族を失うという悲劇に、残された家族は一様に心に傷を負うが、その対応の仕方がまるで違っていて、それがまさに普通の人々だ。 母親は愛情が少ない人物のように描写されているが、自分には彼女が「蓋をする」タイプの人物のように見える。あまりに辛いことはそれに向き合うことをせず「触れない」。おそらく次男に対しても愛情はあり、色々あった結果として今の態度に至っているように見える。フレンチトーストの件も同じようなことが何度もあったうえでの積み重ねではないかと。ただ解決するために正面から向き合わずに逃げている。カウンセラーが言う「彼女の限界」。 辛いことや面倒から逃げること、自分に置き換えると胸が痛い。 人って白でも黒でもなくて、皆グレーなんだよな。方位によってグレーの濃淡がそれぞれ違うだけ。 次男はセラピーと新しい出会いによって変化・前進することができた。他者を変化させるのではなく自分を変える。そのことで周りが変わる。誰よりも傷ついているのにそれができるのが本当にすごい。 【kosuke】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-09-11 20:00:14) 15.《ネタバレ》 主人公の家族が皆、傷ついて血を流していて観ていて心が痛かった。懐深いレッドフォード監督をもってしても、瓦解してゆく家族の再生は叶わなかったのだね・・。 人はそれぞれ、持って生まれた「愛」の総量が多い人と少ない人がいる。この母親は少ない人で、だから長男の死で激しく傷ついた自分自身を手当てするのになけなしの愛を使い果たしてしまって、次男や夫にまで振り分ける分が残っていないのだ。セラピストが正しくも指摘したように、彼女は彼女なりに次男のことを愛してはいたと思う。だけど、そもそも備わっている愛情量が少量なので、リストカットするほどに追いつめられている息子の心を汲んでやることまではとうていできない人だったのだ。おそらく何故非難されるのか自分では理解できないだろう。 この映画の、とりわけ優れているのは各人物の描写力である。母親の冷たさはフレンチトーストの件や、息子の部屋の灯りをスルーする無関心ぶり、上面の息子との会話等で痛いほどこちらに響く。T・ハットン演じる次男は「良い子」をやってきたことが言葉遣いや父親への気遣いからわかる。セラピストの前で心が均衡を崩すシーンは、身体をゆする仕草や八つ当たりな態度がとても苦しそうだ。苦悩しっぱなしの父親は長いこと妻に「違うだろ」と言えない。だけどセラピーを受け、自分の心を見つめなおして改めて気付くのだ。息子の葬儀だというのに、この女はシャツや靴のことを気にする人格なのだ、と。 人間に対する洞察力、その細やかなこと。驚くべき観察力。これが監督一作目というレッドフォードの明晰なことには畏れ入った。胸が痛いほどの名作。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 9点(2018-05-09 17:34:02)(良:1票) 14.《ネタバレ》 経済的には豊かな家族だけれど、ある事件がきっかけの心の問題を丁寧且つ冷徹に描いたヒューマンドラマです。 長男の事故死から心を封印した母親と自責の念にかられ自殺未遂までした次男。そしてその間で揺れる父親。そんな家族を季節感のあるみずみずしい映像で綴っていきますが、表面からはなかなか見えない心の奥までを克明に描写しているところに私の心もしびれました。 数々の試練を乗り越え自分を取り戻しつつある次男と心のモヤモヤを取り払った父親。しかし最後まで心の封印を解けなかった母親に決別を言い渡す父親の決断で皮肉なラストを迎えてしまいます。 でも、これは家族の再生のための最後の試練だという風に私は解釈させていただきます。 ところで【普通の人々】というタイトルですが、大なり小なり誰もが心に闇を抱えており、このひとたちが特別という事ではない「普通」の人達なんだと解釈させていただきましたが如何でしょうか。 とにかく久しぶりにいい映画を見させていただきました。 【仁】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-23 00:26:54) 13.《ネタバレ》 とても心打たれる映画でした。 『普通の人々』とは言うものの、一見普通に見えて普通じゃないことの方が実は多いんじゃないでしょうか・・・ 他人であれば、どれほど楽なんだろうと思える程、夫婦間と親子関係の微妙な描写が良く描かれており、家族とは何かと改めて考えさせられました。 終盤、息子から歩み寄って母親に抱擁し、それを見守る父親・・・時既に遅かったかもだけど、新たに道が開けるように思えました。 それにしても、こんな映画を監督しちゃうロバート・レッドフォードにアッパレ!! 【ぐうたらパパ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-04-14 22:23:14) 12.母親のべス、自殺してしまった病友・カレンが典型的な「自分ではまともと思う」、危険なラインなのでしょうか。割れた皿が戻ると思ったり、自分で治せる!と思ったり、、、ほんのちょっとしたボタンの掛け違いが大きな岐路に人を立たせるのですね、深い映画です。みて本当によかったと思える1本でした。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-01-10 15:34:37) 11.《ネタバレ》 長男の事故死以来、ちぐはぐになった家族、中でも次男は自殺未遂を起こし、退院後も情緒不安定で精神科に通うようになった。それで問題があるのは次男だろうと誰もが思ってしまう。しかし映画を見ているうちに、次男も父親も実は心優しいがため悩んでいただけで、もっと問題だったのは母親だったのだと気づく。 また病院のカウンセリングの先生は初めは事務的かと思っていたが、実に的確な助言を行っているすばらしい先生だと思う。次男だけでなく父親も相談に行き、母親にも勧めるが彼女は行かなかった。自分が一番まともと思っている人ほど気づかないのかもしれない。 この映画は心理描写が見事で奥深さを感じずにいられない。前半は淡々としていたが、後半凄く心を動かされた。 ところであのボウリングはご愛敬か。構えだけはしっかりして、あんな投げ方になるとは信じられない。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-09-10 22:26:16)(良:2票) 10.人物関係、日常の描き方がとても丁寧です。 【akila】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-02-19 23:22:31) 9. 小学生の頃、テレビで放送されているのを観て、何となく大人になったような気分でいました。 今観賞しなおしてみると、あの頃全く理解していなかった自分に気付きます。 講和とかスピリチュアルセミナーに行くと、人は誰でも苦しんでいるなんて話ばかりを耳にしますが、世の中には特に悩みもなく充実した人生を送る人もいるはずです。 少なくとも登場人物に感情移入するには、それなりの人生経験において立ち上がれないほどの挫折が必要かもしれません。 空気のように身近にいた存在。その親近感はいなくなって初めてわかるものです。 私も神経質な性格なので、主役の青年のように辛い出来事を正面から受け止めてしまいます。 本作を観賞して、ちょっとだけ解決策が見えてきたように思えました。 吹き替えは途中で原音に変わらないからストレスを感じません。 【クロエ】さん [DVD(吹替)] 9点(2009-09-24 08:31:42) 8.《ネタバレ》 身内の死を経験した家族の悲しみ・苦しみと再生というテーマに真摯に向き合い、ほぼ完全な形で描かれている。 過去のアカデミー賞作品賞受賞作の中では極めて地味な作品だが、これこそ本物の傑作といえる。 他人の「笑う」という日常的な行為にさえ、苛立ちを覚えてしまうほど極めて繊細な仕上がりとなっている。 水泳部の仲間が(冗談半分に)せっかく声を掛けてくれたのに、コンラッドがぶん殴らざるを得なかった理由が痛いほど伝わってくる。 闇に落ち続けるような苦しみを抱えているのに、平気で笑っていられる奴らが許せなかったのだろう。 普通に平気で笑っている奴らと一緒に居ることすら苦痛や苛立ちを感じざるを得ない苦しみが見事に演出されている。 理不尽な怒りなのはもっともだが、本当に苦しい人の痛みとはこういうところにもあるのかもしれない。 悲しみを克服する家族の対応は三者三様だ。 母親は事故のことを忘れて“普通”でいたかったのかもしれない。 息子は事故のことを忘れることができず“普通”でいることができなかった。 父親はその中間の部分で苦悩している。 悲しみを簡単に克服する方法には、答えはなく、難解なものだ。 三者の対応が別れるというのも、見事なものであり、普通の映画らしい単純さは感じられず、奥深い作品に仕上がっている。 苦しみから逃げ続けることは何の解決にはならず、家族や友人と向き合い「苦しみ」を分かち合うことこそ解決の糸口なのだろうか。 結果的には、息子同様に父親もやはり“普通”でいることができなかった。 シャツの色を気にするような母親の冷静さには我慢できなくなったのだろう。 通常ならば、コンラッドが母親を抱き締めたところで、母親が折れてハッピーエンドになるのかもしれない。 しかし、母親は抱きしめ返すことはなく、家を飛び出すというラストはさらに考えさせられる展開であった。 “傷”は癒すことはできるかもしれないが、“傷痕”自体はどうしても消えない。 壊れたものは、完全には元には戻せないことをきちんと描かれている。 偽りの甘い世界よりも、より現実的な世界を描こうとしたことの結果だと思う。 この点においても評価したい。 しかし、コンラッドや父親も苦悩したが、母親も彼女なりの苦痛を感じていたのだと思う。人間はそれほど単純なものではない。頭では理解できても、心では理解できない部分を人間はそれぞれ抱えている。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-04-20 22:52:41) 7.《ネタバレ》 そもそも職業俳優が監督した作品とは”俳優にしてはマァマァ頑張ってるじゃないの”とか”身の程を弁えろっつーの”レベルのモノが(僅かな例外を除いて)圧倒的大多数を占めるが、本作でのレッドフォードの演出には見事なまでに地に足の着いた丁寧で繊細な作風が横溢しており、処女作であることを忘れさせる天晴れな出来。以後、彼のキャリアは男優としてよりも監督業へと邁進するキッカケとなったが、実際のところ正解だったと言わざるをえまい。キャストでは、我が子への”イントレランス(不寛容)”を最後まで翻すことなく去って行く母親ベス役のメアリー・タイラー・ムーアが特に素晴らしい。D・サザーランドも癖のある変人役が多い中、こういうフツーの父親役でこんなに滋味溢れる好演が出来るとは意外だった。気を衒うコトなく、これらキャストの演技を引き出すコトで正攻法の演出に徹したのが勝因であり、レッドフォードの演出家としての優れた資質の開花でもあったと言えよう。ラストに被さるヨハン・パッヘルベルの「カノンとジーグ ニ長調」の静かな旋律も秀逸な効果。9点。 【へちょちょ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-03-13 00:34:40)(良:1票) 6.所々泣けるシーンが、それでいてくどくない 【のりまき】さん 9点(2004-03-24 02:11:32) 5.ビューティフル・マインド、シャインよりも身近で、特別視されない主人公に共感がもてた。 【ボバン】さん 9点(2004-03-04 01:08:30) 4.レッドフォードがこんな重厚な映画を作るなんて…。望み通りにことが運ばない苛立ちや、肉親との葛藤。普通の人々の普通の日々が徐々に変わっていく感じ。カノンも合ってた。すごい。 【ningenfusha】さん 9点(2003-05-04 15:50:30) 3.とても感動した。日本のテレビドラマのような所があったような気がした。母親は兄貴だけしか愛していなかったみたいな作品ってけっこうあるよね。 【ダンドゥン】さん 9点(2001-08-24 14:06:15) 2.タイトル通り、普通の人々を描いているだけの作品。しかし同じくオスカーを受賞した「アメリカン・ビューティー」とは違って、過激なシーンを売り物にせず、若者の不安定な精神状態を理解しようともしない親たちを描いており、若者側にとってとても共感できた作品です。 【イマジン】さん 9点(2001-01-23 12:25:20)(良:1票) 1.共感とまではいかないけど、超すごい。カノンの音楽聞くたびに思い出してしまう。ロバート・レッドフォードって監督でもすごいんだなあ。 【ゆう】さん 9点(2000-12-04 01:00:36)(良:1票)
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