みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
114.『タクシードライバー』では自らの過剰な感情を正義へと志向させ、『キングオブコメディ』でそれを狂気へと潜行させた。その中間に位置する本作『レイジングブル』では、その過剰さの生々しい姿を実に大らかに、そしてシンプルに描いて見せる。 そういう意味で『レイジングブル』は、主人公の過剰な生の有り様が明瞭であり、幸福な時代の幸福な物語なのかもしれない。主人公にはボクシングがあった。自らの抑えがたい感情や衝動をぶつけるものとしてのボクシングが存在したが、もちろん、彼の過剰さは、ボクシングという競技を軽々と超え、周りの人間、兄弟や恋人達を容易に傷つけることになる。気がつけば、周りの人間には愛想を付かされ、裏切られ、そして独りきりになる。彼はつぶやく、『何故だ?』と。そのとき、彼は一人の人間としてのゼロ地点に立っていることに気がつくのである。そこで自分という人間の生の姿を理解し、直視することができれば、彼は狂気へと向かわないし、社会性を失ったりしない。そういうギリギリの確信とその揺らぎが主人公の生き様に通底しているのである。この映画の美しさは、幻想を剥ぎ取った人間の根源的な過剰さに由来するのと同時に、それがまだ歪んでいない実に健康的な立ち姿によるのではないか。この映画が苛立たしくも晴やかな印象を残すのはその美しさ所以であろう。 【onomichi】さん 10点(2004-11-06 20:07:33)(良:1票) 113.ジェイクに対してとてつもない嫌悪感ばかりがつのったけどその”嫌悪感”という感情を出させてくれたデ・ニーロありがとう。さらにはすごい脂肪のついた腹をみせていただいてこれもありがとう。”太る”ということは自然に年齢を重ねて体重が増えていくというのであれば当たり前だと思うが意識して太るということは難しいと思う。”痩せる”方が「かっこよくみられたい、綺麗にみられたい、健康になりたい」等プラス思考な面ばかりで努力の甲斐があると言える。それとは逆の”太る”ことは「異性からの目が冷たくなる、不健康になる」等マイナス面に片寄ってしまうので太っていくうちに多分私だったら自己嫌悪に陥ると思う。現在ならCGを使えば済むことなのでとにかく「すばらしい!」としか言いようがない。役作りの為にここまで体型を変貌させられるロバート・デ・ニーロとは本物の役者だ。 【tetsu78】さん 9点(2004-06-16 23:45:26)(良:1票) 112.作品によって、痩せたり太ったりするデニーロの良さが、最良の形で出ている傑作。栄光の絶頂にいる時の主人公は、とにかく嫌な奴。というより、ほとんど性格破綻者といっていいくらい付き合いたくない奴だ。嫉妬心と猜疑心に凝り固まった、そしてそれがリングで闘う時の何よりのガソリンで、見ているうちに魅力的にすら見えてくる人間の不思議。嫌な奴なのに憎みきれない「何か」を秘めた男。後半、見る影もなく肥ってしまって、ドンドン人の良いオッサンになっていく。終いにゃ場末のクラブで芸人になっていく。落ちるところまで落ちたこの男が嫌がる弟に懐かしがって抱きつくところに惨めと背中合わせの安堵感を見てる側にもたらしてくれる。惨めな生活だけど、人間としては、こいつにはこれが幸せなのかもしれない。実際、主人公は、どこか満ち足りた穏やかな顔をしている。だから、この映画は本当はハッピーエンドなのかもしれない。「神様は、こういう形で幸福を与えることがあるんだよ」と最後に出てくる聖書の一節が言ってるように思う。 カメラが素晴らしい。 【ひろみつ】さん 10点(2004-01-16 01:27:00)(良:1票) 111. エンターテイメントでない映画でも観る人にしか薦められないかも(デニーロの演技は十二分にエンターテイナーしているが)。そもそもスコセッシ監督はボクシングは好きではないらしいし、タクシー・ドライバーやケープ・ファイアーでも同様に、観客が主人公に共感することをはなから拒否している。「こんな生き方俺にはできねー!」とつぶやきつつ観るのが正解。ちなみに公開当時少年漫画誌でこの映画が巻頭特集となって絶賛されていた。今考えると信じられない。 【さとし@快投乱打】さん 7点(2003-06-09 15:42:58)(良:1票) 110.現在のところ唯一、試写会で観た作品としても記憶に残っていますが冒頭のオぺラ「カヴァレリアルスティカーナ」間奏曲をバックにリング上でシャドウボクシングをしている孤独な姿とカメラのストロボがたかれるシーンが主人公をイメージしているようで印象的でした(昔の記憶なので違っていたらすみません)。人生を、生き方を花火にたとえることがありますがスローモーションでたかれるストロボ、しかもモノクロームの陰影は激しく狂おしく、かつ求めても理解されることなかった主人公の人生だったように思えます。相手を受け止めることも大切なのに、力尽きるまでパンチを繰り出すことでしか安心できなかった脆さと哀しさは他人事ではないかも。デ・ニーロは演じるというより本人になってしまった。凄い。突然カラーになるシーンは主人公の至福の時間なのでしょうか?。改めてビデオで観たいと思います。 【天地 司】さん 7点(2003-04-28 17:08:59)(良:1票) 109.ストーリーなんて関係ない。スコセッシのデニーロに対する敬意と愛情のみの映画だと思う。 【セクシー】さん 10点(2003-03-20 05:14:33)(良:1票) 108. 低評価の方々は恐らくデ・ニーロ演じるジェイクに感情移入できなかったのが原因と思われる。確かに共感を抱くには余りに品性下劣でどうしようもない俗物に思える。が、「タクシードライバー」を踏まえて観れば、スコセッシ&デ・ニーロの確信犯ぶりも理解できようと言うものだ。つまり、ハナっからジェイクに共感を抱かせる積もりなど無かった、という訳。驚異的なウェイト・コントロールで作品を引っ張るデ・ニーロのオスカー(主演男優賞)演技は正にカメレオン・アクターの面目躍如!!これだけ反感を抱かせる彼の演技力にはただただ敬服あるのみ。チャンピオンの光と影を実話ネタでコレほど鮮やかに描いた映画はチョット無いと思う。モノクロームの持つ一種独特の艶を活かした拳闘場面の迫力も圧巻。 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-30 03:57:54)(良:1票) 107.《ネタバレ》 オープニングの掴みがあまりに美しく完璧すぎる。 荒々しいボクシングの世界にカヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲が効果的に流れる。 孤高故に狂暴であり、病的なまでの嫉妬と猜疑心で弟も妻も去っていく、 苦悶のジェイク・ラモッタのありのままの姿をデ・ニーロはストイックに活写する。 リアルに近寄りたくない男ではあるが、 ここまで狂わなければ世界ミドル級王者に上り詰めることなどできなかっただろう。 だからこそ引退後の幸福は長くは続かなかった。 聖書の一節「私は盲であったが今は見えるということです」。 かつての過ちを受け入れ、今日も人生というリングで贖罪を背負うラスト。 贅肉だらけで精巧さはなく、チャンプの栄光は過去のもので知らない人、忘れた人も増える。 家族に暴力をふるっていた"獣"は長い月日と後悔でとうとう丸くなった。 ボクシングを舞台装置にして、人生の真理を鋭く突いた芸術作品。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-30 23:57:32) 106.《ネタバレ》 2度目の鑑賞。 かなり昔、テレビで観て以来。 何といってもデニーロの体型を見事に変えてしまった役者根性ですよね。 でも話も面白い。 八百長する前の、いい男のボクサーをボロボロにしてしまうとこがスゴイ。 若い女をモノにして、俄然、野獣のようなボクサーになります。 そしてチャンピオンになると、精神異常者みたいになってしまうデニーロ。 その演技もスゴイ。 デニーロの見せつけた役者根性が凄すぎて、後の俳優は、彼を特別視して、 後に続かなかったんじゃない? 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-09-09 21:02:06) 105.《ネタバレ》 “Raging Bull”『激怒した雄牛』。実在のボクサー、ジェイク・ラモッタのあだ名。 リベンジ・マッチを観て、ロッキーと比べてあまり覚えてなかった本作を再視聴。ボクシングの映画と言うよりはジェイク・ラモッタという人の自伝。見どころはデ・ニーロの極端な体型変化。役者だからダイエットと筋トレは何とか出来るとして、バー経営者時代のあの不健康な太り方は凄い。あそこからどうやって標準体重に戻したんだろう? 自伝なんだけどラモッタがどうにもこうにも好きになれない。奥さんいるのに15歳の小娘と付き合って結婚。ビッキーの些細な言葉尻を掴んで責め立てる姿は不快感しか沸かない。ほんの一言ジャニロを「二枚目」って言っただけであそこまでクドクド・ネチネチと…夜寝てるとこにまで来て「なんで二枚目って…」おいおい病んでるよあんた。この展開が不快で不快で仕方ない。 適当に勧められた食べ物を頼んだだけで、男とちょっと長話しただけで、権力者のキスを拒まなかっただけで、いちいち絡んでくるラモッタ。最後は暴力まで使うんだから、ビッキーは引っ込むしか無いよな。あぁ救いのない物語。 あ、一方的に浮気を疑われたベッキーが観た映画がたまたま『花嫁の父』って偶然におぉ~ってなった。 なんかボクシング映画というよりはマフィア映画っぽい。表舞台である試合やトレーニングはサラッと描いて、そのウラの八百長の誘いとか、ラモッタの暴力的な感情を包み隠さず描写している。プールサイドでの取材と家族写真の白々しさ。遅すぎた離婚。 この映画のラモッタが“皆が知る彼の素顔”なのか“想像はしていたがあまりに酷い裏の顔”だったのか?う~ん、輝かしいラモッタのオモテの顔をテレビとかで観ていたら、この作品により深みを感じられたかもしれない。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-04-20 23:05:40) 104.40年程前に劇場鑑賞しているのですが、ブヨブヨの腹以外はきれいさっぱり忘れています。ジェイク・ラモッタの栄光と挫折が描かれていますが、知性良識のカケラもない下劣でチッチャイ男のつまらない話に監督の独り善がりを感じました。ファイトシーンも皆一緒で作戦戦略何も無しで単にどつきあってるだけで盛り上がらない。デ・ニーロのオスカー受賞理由は腹以外で何かあったのか? プッツン不足のジョー・ペシも歯痒い。 驚く程の期待はずれ作品でした。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 4点(2023-02-19 00:17:49) 103.スポーツ選手は概ね20代後半でピークを迎えて30代で引退する。その後は指導者になるか、タレントになるか、水商売やるか。普通の選手だったら会社員もあるだろうが、TOPを極めると普通の会社員はやり難いだろう。それを「転落」と呼ぶのかどうかは議論があるだろうがTOP選手の宿命ではある。よって、本作はそういうありがちな話を映画化しただけで、有名な選手ではあったようだしDV癖があったという事に特徴はあるものの、コレといったドラマもなく全体的には退屈ではある。デニーロが太って役作りした事はそれなりに評価はするが。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-10-03 17:38:34) 102.ナントカという、「ゴッドファーザーPart3」のラストでも使われていたクラシックのテーマ曲がいい。熱いストーリーの清涼剤というか、動に対する静というか。 実在のジェイク・ラモッタも、それを演じたロバート・デ・ニーロもすばらしいのですが、おそらく「伝記」をできるだけ忠実の再現したせいか、ドラマとしての盛り上がりは今ひとつな感じ。当人はごく最近までご存命だったらしいので、それも仕方がないか。 しかしこういうデ・ニーロを見ると、やはりスタローンとの対決を見たくなりますよね。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-20 01:53:08) 101.白熱したボクシングの映画、では無くちょっとした狂気にさいなまれる男の話。 自業自得による寂しさ悲しさを上手く表現している。主人公に感情移入はとても出来ないが、この感覚は分からないでもない。 【simple】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-11-02 23:11:00) 100.人間の匂いのするストーリーだけど煮え切らない映画だったな。 【クロエ】さん [DVD(字幕)] 5点(2019-10-25 03:08:42) 99.そもそもボクシングは究極のストイックなスポーツだがこれと掛け合わせたデニーロアプローチが恐ろしい。 極限の体重差を造りモノクロームの肉体シルエットが際立てる。 ストーリーは実在ボクサーをモデルにしており少々お地味だがタイトル通り猛牛のような人間のドラマ。 アカデミー男優賞納得のデニーロ×スコセッシの芸術作品。 【mighty guard】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-02-10 23:31:21) 98.自身の多くの作品で偏執的な登場人物を登場させてきたスコセッシと、 体重を増やし、前髪を抜き、偏執的なまでに演じる役になり切ったデ・ニーロ。 同時期にニューヨークで、同じくイタリアの血をひく家系に生まれ育った2人がコンビを組んだのは必然だったのか。 70代に入り近年はすっかり丸くなったデ・ニーロですが、スコセッシと共に見せる、若い頃の尖った演技、表情が作品にもたらす緊張感が凄い。 スコセッシとデ・ニーロのコンビの作品の幾つかでも、血の気の多い役で脇を固めてきたジョー・ペシもまた好演。 美しいモノクロ映像と挿入曲とは裏腹に迫力あるボクシングシーンは今に見ても迫力十分です。 ジェイク・ラモッタという男の栄光と挫折、人生の光と影を演じ切り2度目のオスカー受賞となったデ・ニーロの役者魂が全編にみなぎっています。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-17 23:55:40) 97.《ネタバレ》 思ってたのとはチト違う印象。残念だけど内容が面白くないね、やたら奥さんの浮気を勘ぐるデニーロさんにイライラした、まぁそれはデニーロさんの演技力の賜物だとは思うけどね。とてつもなく太っていたデニーロさんの役者魂に3点。 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-02-24 20:21:58) 96.《ネタバレ》 荒らくれで嫉妬深いダメ人間だけど「怒れる牡牛」の異名を取るボクサーをデニーロ怪演。常に減量と向き合う現役時代の締まった体と引退後のでっぷりしたお腹、体重差を絞り出したその役者魂に脱帽です。米アカデミー最優秀主演男優賞受賞、デニーロの代表作に。アニキに引けを取らない横暴ぶりを見せる弟にジョー・ペシ、乱暴な夫に振り回されたあげくDVを食らうブロンドヘアの奥サマにキャシー・モリアーティと脇を固める俳優の好演が印象的でした。モノクロ調が物語に重みを加え、いい味を引き出していたと思います。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-08-31 02:13:22) 95.《ネタバレ》 ジェイク・ラモッタの自伝を元に映画化。 主人公がいかにボクシングによって栄光を掴み、いかに家族を失っていったかを苛烈に描いていく。 ラオール・ウォルシュの「鉄腕ジム」の影響を感じられるが、この作品は「鉄腕ジム」の間逆みたいな作品だ。 「罠」や「ボディ・アンド・ソウル」「殴られる男」に通じるフィルム・ノワールとしての側面もある。 19歳の青年から43歳の主人公を「体型の変化」だけで演じきったロバート・デ・ニーロの恐るべき怪演。 顔の表情も年齢を重ねるかのように徐々に変わっていくのだ。 後年の「アンタッチャブル」でもそうだが、太っても痩せても貫禄のある演技を維持できる役者はそうそういない。 撮影のために鍛え上げてきた肉体を短期間で肥やす事は簡単ではない。 またそれを元に戻すことはさらに容易な芸当ではないのだ。 デ・ニーロの役者魂を賭けた渾身の演技を堪能できる1作。 ●ここより長い雑記 主人公にとってボクシングは「道具」でしかない。 機械作業のような試合風景やベルトを平気で砕く場面からもそれは見て取れる。 主人公は家族と仲が悪くなっていくのは「ボクシングのせい」だと思い込みたかった。 ボクシングを捨てればいつでも家族は迎え入れてくれると信じていたのだろう。 本当は主人公自身の攻撃的な性格が原因であるのに。 過酷な打ち合いに己を見出し攻略してしまった男は、家族への配慮だけは攻略出来なかったようだ。 そして主人公が己の心自身に原因があったのだとようやく認める場面。 暗闇の獄中で見せた初めての涙。 喪失感に満ちた一人の男の表情がそこにあった。 80年代にあえて白黒のフィルムで描き、記録フィルムのようなカラー映像も古い機材を使うこだわり振り。 主人公が生きた1940年代~1960年代の「空気」を映像によって再現している。 ただ、血を吹き出すボクシングの試合風景よりも印象に残るもの。 それは主人公たちが住む街の空気だ。 アメリカ社会の底を写したかのような暗く沈んだ街、そこにこだまする夢に溢れた大人や子供たちの声。 汚くジメジメとした街に溢れる人々の温もりと、 栄光を掴む度に家族のぬくもりを失っていく主人公の対比。 そこら辺が印象的な映画。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-05-25 19:11:59)
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