みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
2.《ネタバレ》 (ネタバレしています。ご注意ください) 類似設定ですぐに思い出されるのはSFサスペンス映画『セブンシスターズ』です。こちらは一人の身分を7人姉妹が曜日ごとに分け合っていましたが、本作では一人の男性の中に7人の人格が宿ります。キッカケは自動車事故による脳損傷。それぞれの人格は曜日ごとに出現しました。主人公の人格は「火曜日」さん。そんな7人の共同生活にある日変化が訪れます。それがタイトル「水曜日が消えた」の意味です。 水曜日が消えて得をしたのは火曜日でした。火曜休館の図書館へ行ける。一泊旅行だって可能。今まで諦めていた人生の選択肢が広がります。7分の1から7分の2へ。この先にあるのは7分の7の世界。本来の人生を取り戻すチャンスが到来しました。しかし彼は、いや彼らは、思いもかけない未来を望んだという結末でした。 本作のテーマは「多様性を尊重する共生社会」や「基本的人権の尊重」であると考えます。これらスローガンはあらゆる機会で(特に国際社会において)私たちが目にするものであり、理念に反対する者などいないでしょう。しかし、いつまでもスローガンであり続けるのは、一向に実現しないからです。典型的な「総論賛成各論反対」の部類。自身の利害と関係ないところでなら「素晴らしい」「どうぞどうぞ」なのに、いざ当事者になると「でもだって」「それは困る」に変わります。だからこそ、己が不利益を受け入れた7人の決断は尊く、心を打たれるのだと思います。誰だって7分の1の人生なんて御免です。7倍のスピードで老化すると考えたら気が狂いそうです。しかし、それでも彼らが“損な人生”を選んだのは「足る事を知った」からと考えます。欲をかかず、現状を肯定できれば、そこに幸せがあるということ。ここに「共に生きる」精神の本質がありました。もっとも、これは「悟り」の境地なので、誰もが受け入れられるものではありません。それに欲が私たちの文化文明を進化させてきたとも言えますし。参考になるのは、共生は相互不可侵の原則に基づくこと。7人は曜日の垣根を決して超えません。一緒のパーティなど一生しません。でも彼らの仲は険悪ですか。これをポジティブに捉えられれば、きっと世の中は少し良くなる、いや「生きやすくなる」気がします。 作風はサスペンスでありながら、その中身は正統派ヒューマンドラマ。当初思っていたのとは大分違いましたが、良い裏切りでした。中村倫也は、ふり幅のある役がよく似合います。 【目隠シスト】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-08-16 18:55:22) 1.《ネタバレ》 どことなくやり尽くされたテーマの様でありながら、すごく新鮮な印象にまとめたのは凄かった。 曜日ごとの人格ながらもスポットを火曜日と水曜日にあてて物語をすすめていくところは、うまかったですね。 ひきこまれて、心配して、応援したくなって、幸せを願う。 自分も一ノ瀬になった気がして。 ひとつに戻るか、七人で生きていくか。 エンドロールをみるにつけ、これでよかったのかな、と思わせる雰囲気が素敵でした。 中村倫也さんの演技がもちろん最大の見せ場ではあるけれども、火曜日が好きになったヒロインと火曜日を好きになったヒロイン、二人ともかわいくて、この映画を素敵に彩ってくれたと思います。 かなり絞り込んだであろう脚本や、コミカルにも依りすぎない演出、サスペンス的な要素のためのクールな画づくりなど、じつはなかなかに観るものを惑わせるというか惹きつけてやまない仕掛けが満載の、満足感のある作品でした。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-07-03 01:02:07)
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