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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ビッグ・フィッシュ アメリカ民話に多いほら話の伝統。魔女の眼に映ったという己れの死に方が如何なるものだったかという興味で引っ張っていく。僕の死に方は違う、ってのが生きる支えになるの。次第に話と現実が混ざっていくのは、それ自体が三代目に向けた話になっていくから。フェリーニ臭がある。葬式のときに初めて皆が集まってきたほうが、効果あったのでは。伝承を印象づけたかったのか。これで「幻滅の物語」になっていったら寺山修司だな。夢の町の町長(?)の笑顔が良かった。[DVD(字幕)] 7点(2014-02-03 09:23:26)

2.  ビフォア・サンセット 会話の表情とか、距離感の描写に全力を傾けている映画。公園の散歩→船→車→家と、次第に近寄っていく。そして会話が最後には歌に至る。恋ですなあ。実際の9年の歳月が挟まれているわけ。フィルムが記録のためにあることをここまで徹底して極めようとした姿勢に、とにかく圧倒されます。でも前作ほど見てておろおろしないですんだのは、ちょっとこっちも醒めて見ていたよう、あるいは「記録」ってことが、ビデオで簡単に行なわれる時代になってしまったからなのか。向こうのせいなのか、こちらのせいなのか、よく分からないのが本当のところ。こういうことやり続けてる監督がいるのが嬉しいのは間違いない。[DVD(字幕)] 7点(2014-01-31 09:26:59)

3.  昼下りの情事 これは父一人娘一人の西洋版『晩春』でしょう。娘の「恋を恋する描写」や、背伸びした微妙な揺れ具合などにかなり割いてはいるけど、ずっと底に流れているのは父離れが出来ない一人娘を持った一人親の父の気持ち。「もちろん娘の幸せを第一に考えている、娘がこれと決めた男と一緒にしてやりたい」と思っているだろう父に、こんな相手でもか、と最悪のケースをあてがってみた話だ。娘の弾く楽器がチェロで、これはまさに父親的な楽器、それを抱きかかえるように練習する。ファーザーコンプレックスそのもの。だから現われる男は父親世代のゲーリー・クーパーでなければならず、哀れなボーイフレンド・ミシェル君は、女性的なフルートを吹いている。勝てっこない。娘が片付いたあと、駅からチェロを運び帰るのは父親の役割りになる。映画としての楽しみは、ジプシー楽団が傑作で、ホテルの部屋の隅で演奏してるだけでなく、湖上ではボートに乗り、そしてラストの雨のホームで決まる。酒が部屋のなかを行ったり来たりする場面もいい。リアルなラヴストーリーではなく、薄汚い仕事をしながらも娘を大事に養う「父」というものの覚悟を描いた映画と思いたい。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-07 09:30:42)

4.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 太った女の人をさらって、3日間食事を与えないで皮膚がたるんできたところで殺して、それでドレスを作ろうとしている変質者。一心にミシンをかけてるとこがけな気。変質者映画は好きだし、それが二人も出てきてくれるってのは嬉しいんだけど、かえって焦点が散ってしまった気もする。その乱暴に組み合わせたところに凄味を感じるべきだったんだろうか。林を駆けていくJ・フォスター、てっきり可憐な被害者と思わせてFBIに入っていく、ってな冒頭の「外し」がずっと繰り返され、警官隊と犯人を交互に描いて、実は別のとこだったり、なんて演出上の仕掛けが優先される。なんかスリラーとしては物足りない。ヒッチコックは変質者扱ってもユーモアは入れるのに、そういう親切はなく、「人間の気持ち悪さ」そのものが好きみたい。「精神の深遠」を探るなんてんじゃなく、純粋な「猟奇趣味」。それを素直に楽しんでいる純朴さは感じられます。でもミシンを懸命に掛けてたほうの変質者、博士の陰に隠れちゃって、どうにも気の毒。[映画館(字幕)] 7点(2013-08-18 09:01:52)

5.  氷壁の女 少女のやや異常な成長物語。身内の人間に男を見てしまった少女が、そこから巣立っていくまでのいささか精神病理学的な物語なんだけど、そういうのにありがちな異常の押し付けがましさや大袈裟なシーンを伏せ、淡々と進めていくところが巨匠の上品なとこ。氷の中に封じ込められてしまった死体が、幼時の叔父への憧れが凍りついてしまった女性と重なっていく。それが次第に融けていくストーリーで、外の世界=ガイドの男も絡んで、視線のドラマが堪能できた。人物には脇や背後から光が当てられ“ワケアリ”の翳りを出している。ヒロインの笑顔が微妙に曇っていいんだな。これ最初はモノクロで撮りたかったそうだが、氷河の内側のトロッとした緑を出せただけでもカラーにした甲斐があったんじゃないか。少女時代の憧れが心の底にまだ光りヌメッてる感じ。ケイトの側のドラマは丁寧に描かれてるんだけど、叔父さんの側がちょっと弱いか。[映画館(字幕)] 7点(2012-12-09 09:33:05)

6.  評決 正義を行なうチャンスとしての陪審制。たとえ汚れても正義に至る道は確実に用意されているはずだ、といういい意味での楽天主義。アメリカはどんなに自己否定しても、最後に「民主主義の国だぞ」という誇りだけは残る。気分によっては鼻持ちならないが、おおむね、拍手してやりたいぐらいいいと思う。あくまで植物人間にされてしまった人間の代理として闘い始めるわけ。組織に対して、こちらは手作りの味で勝負していく。でもラストはちょいと無茶だったか。コピーを無視するようにという裁判長の指示のくどさが裏目に出たってことでもあるんだろうが、ちょっと間違うと心証による判断ともなりかねず、詰めの甘さを感じた。この人、女性が絡むと弱くなるんだ。シャーロット・ランプリングは、いらなかったんじゃないか。『ネットワーク』のとき、フェイ・ダナウェイがいなけりゃなあ、と思ったのと同じで。[映画館(字幕)] 6点(2012-10-25 09:48:40)

7.  ビリー・バスゲイト 《ネタバレ》 暴力・腕力のギャングの時代が去りつつある30年代、取り残され気味のボスを『クレーマー、クレイマー』のD・ホフマンが低い潰した声でやる(R・ベントン監督、N・アルメンドロスのカメラと同じトリオ)。なんか日本の仁侠映画の構図だ。でも主人公はその滅びを目撃していく少年で、その成長物語という設定。文字通りファミリーなの。殉死する者の目つきになってる手下の雰囲気。親分以外は自分たちが時代遅れになっていることを感じ取っている。親分もその空気が伝わっているから苛立って無謀な発作的な殺しをしちゃう。この小男に忠実に仕える面々見てると、時代に乗れない中小企業にも見え、S・ヒルの番頭なんか実にいい。キャスティングも含め、このギャング映画、どこか「中小企業」的な侘しさが漂っているのが味わい。主人公ビリーを叱ってこの「沈没船」から逃がしてやるあたりなんか、任侠道だよね。またこれはビリー君がどんどん大きな金を得ていく段階のドラマでもあり、お手玉のごほうびから始まってアップしていき、最後はラッキー・ルチアーノ相手に、俺の金だと言い切る。びっくりして一目置くルチアーノのリアクション。脚本は『ローゼンクランツ…』のT・ストッパード。トリュフォーやロメールのカメラマンだったアルメンドロスは、アメリカではT・マリックの『天国の日々』のほか、このR・ベントンとよく組んだが、これが遺作か?[映画館(字幕)] 7点(2012-07-13 10:07:53)

8.  ビルとテッドの地獄旅行 《ネタバレ》 いわゆるオバカ映画ってやつで、主人公二人の型にはまった動きはある程度意識したものだろうから、それを薄っぺらと言ってもしょうがない。楽しみは、そういう映画で地獄をどう描くのかってところだったんだけど、表現主義風でちょっと面白くなりかけたのに、なんか『第七の封印』のパロディみたいのに流れて、徹底してくれない。死神のキャラクターも一昔前なら楽しめたのかもしれないが、ダメだった。ワルのほうが、実は時間をさかのぼって檻の鍵を作ってあったんだ、ってとこだけ笑えた。あとはエンディングの新聞・週刊誌で、その後の彼らを追ってくところか。新鮮味はないけど。[映画館(字幕)] 4点(2012-06-09 09:58:44)

9.  美女と野獣(1991) 前作がカリプソふう人魚姫とちょっと破格なところを狙ったのに対し、これはオーソドックスなミュージカル仕立て。そのオーソドックスな貫禄はあるものの、アニメならではの冒険という点では、ちょっと物足りない。アニメならではってとこでは、魔法にかけられた物たちのシーンだが、キャラクターがあんまり良くない。一番の見せ場の食事の支度シーン、古いミュージカルのパロディ止まりで、もっと室内の広大さを出せなかったか。魔法が解けるところも、もう4、5カットはほしいところ。荒れた西棟が変わっていくところはもっと丹念に見せるのが義務であろう。つまり基本に人間のミュージカルの演出があって、最初からアニメの発想でいく場面がもっとあってほしい。『白雪姫』の物足りなさに通じている。街を本読みながら歩いていくところなんて、まさにそう。面白くはあっても、アニメの発想ではない。コンピューターの使用で視点はずいぶん動くようになった。本棚の前の梯子のヒロイン、ダンスのシーンなど。でもそういうところより、冒頭ステンドグラスでチャッチャッと説明するうまさなんかに感心する。村人たちによる群衆の狂気を、愛の対比物として置くのは正しい。野獣の造形は見事。巨体のモンスターと青い優しい眼。自分の大きさ・凶暴さに戸惑っているようなところが、いじらしいんだ。[映画館(吹替)] 7点(2012-03-08 10:24:06)

10.  ピーター・パン(1953) これはやっぱり成長物語なんだ。ウェンディが大人になる決意を持つまでの。人の動きは『白雪姫』ほど病的に現実の人間に近づけようとはしなくなっている。アニメにおける人間の動かし方が固まった。ティンカーベルがついていくのが『未知との遭遇』につながったな。子ども向けでありながら彼女には50年代のコケットリーを感じる。やたら月をバックにするのは『E.T.』か。映画館にいた子どもたちには洞窟でのフックとの戦いがやたら受けていた。ラスト、海賊船が金の帆船に変わるとこ、色の変化ってのもアニメでは重要。月がビッグベンになり、それが家の掛け時計に、という移りもよろしい。[映画館(吹替)] 7点(2011-05-29 12:10:00)

11.  秘密の花園(1993) 荒れ果てた庭のほうが子どもは興奮すると思うんだけど、ワビサビの東洋の子どもだけですか。冒頭がインドの砂漠で、花園との対比がはっきりしている。あちらの考えでは、荒廃とか砂漠とかには価値がなく、あくまで人工の庭園になって価値が出てくるらしい。弱さとかおびえは「臆病」として排斥されるべきものと当然視されている。その衰えも自然の一部として愛でることが出来るとは、あちらではまったく考えないらしい。ま、そういう時代の原作なんだから、そう思って見ようとはするのだけれど、それにしちゃ花園に迫力がないよなあ。あの荒廃の魅力を覆すだけのものが感じられない。病弱の子が立ち上がる、ってのにはやっぱりホロリとさせられるが、全体として「子ども」のイメージが狭い気がした。[映画館(字幕)] 5点(2011-05-13 09:50:08)

12.  ピノキオ(1940) 《ネタバレ》 無生物と半生物と生物の描き分けが、芸の見せどころ。『白雪姫』で滑らかな動きを見せた後で、こういうギクシャクした人形や時計をやってみたくなったのだろう。星の女神の動きなんかは、モロ白雪姫の線。人形小屋のシーンなんか、ピノキオと人形の動きを絡ませてなかなか憎い。でもこの映画の目玉は、玉突きしている仲間がロバになってしまうホラーシーンだ。後ろ向きで耳が飛び出し、尻尾が生え、顔が変わり、気づいた本人がピノキオに助けを求める手がヒヅメになっていく。これはそうとう怖い。アニメならではの成果。鼻が伸びるのもそうだな。あれ、嘘をつくといつかこのように覆い隠せなくなってしまうという、教訓比喩付だったのね。そして怪物クジラの量感。はたしてピノキオは今度は学校へ行けるのだろうか。[映画館(吹替)] 8点(2010-12-19 09:47:01)

13.  日の名残り 《ネタバレ》 人は自主独立でなければならない、という現代の空気の中で、でもけっこう「執事願望」ってのもあるんじゃないか。選んだり考えたりする責任を逃れた、歯車の安楽。もちろんそれは孤独という裁きを受けるのだけれど。父の死のとき、足にマメをこさえた客のもとへ医者を連れて行くことで、その場を逃れることが出来る。立派な執事として気分も高揚できた。ユダヤ人女中解雇で少し抵抗しかけたりもするが、でも押し切ることはしない。「主人の命令」という逃げ道がある。客に社会情勢について尋ねられる(ちょっと『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』で、運転手がワインのよしあしを試されるシーンを思い出す、ヨーロッパの上流社会の陰湿さ)。これやっぱり彼の心に引っかかってたんだよね、のちにパブで、歴史に関心を持ってた、と言う。ここらへんの二重三重に隔てて感情を確認させるのが、実にうまい。けっして無感動ではない内面を、チラチラと見せていく。センチな恋愛小説を読んでいる。「語彙を多くするためです」って。ミス・ケントンが意地で婚約した晩、ワインを持って(一度階段で割ってしまう)彼女の部屋に至る。泣き崩れている彼女。ほこりが残っていた、とだけ告げてワインも置かずに去っていく。こうして彼はまた「自分の人生」から逃げる、「無感動の執事」に逃げ込む。そしてあっさりした再会、彼女は孫の面倒と、確実に外の世界に自分の場を作っている。20年目に彼は裁かれる。アンソニー・ホプキンスとしては、某博士よりもこっちで名を残したかっただろうなあ。己れの心の動きに戸惑い、それを抑える感じが実にうまいんだなあ。[映画館(字幕)] 9点(2010-12-18 10:15:13)(良:2票)

14.  瞳が忘れない/ブリンク 《ネタバレ》 レトロアクティヴヴィジョン(逆作用視覚)ってのがポイントで、見たものを遅れて認識することがある、っていう角膜移植後の後遺症、これうまく使えばいいサスペンスになれるモチーフなのに活かせなかった。主人公が今ぼんやり見えているものが、もしかすると過去の出来事かもしれない、という不安を感じてないみたいで。普通のスリラーの、犯人の像が現われる不安だけになってしまっている。現実感覚の不安になってないの。もったいない。それに元盲目なら、相手が闇の中で襲ってきたらこっちのもんでしょうが。なんかせっかくの新味を出せる設定を、いままでのスリラーの手続きだけでこなしてしまったみたい。移植した先をたずねまわるイビツな愛って動機はいいんだけど。[映画館(字幕)] 5点(2010-10-01 09:58:51)

15.  ビッグ・バグズ・パニック 《ネタバレ》 モンスターものでは、普通そういうものが登場する理由づけが必要とされる。そりゃみんな取って付けたようなもんだけど、いちおう観客への礼儀としてマッド・サイエンティストなり環境汚染なりが動員される。ところがこれは、その点いさぎよい。なんもない。主人公が上司にクビを言い渡されていると、キーンと音がして、気がつくと巨大昆虫の世界になっている。どうせ観客だってそんな発生の理由なんて聞き流してるんだから無くてもいいだろう、という作者の省エネか。内面的には分からなくもない。クビを言い渡されるなど社会的に追いつめられたとき、人は大地震を期待するものだ。そういった逃避的夢の世界と最初から割り切ってしまえばいいのかも知れない。でも意外と観ている間、その発生の無意味さが作品を漂わせていて、まあ重みを期待する種類の映画ではないんだけど、なんか中途半端なゲーム気分のままエンディングに至ってしまった。しょせん映画は夢だけれど、最初から夢レベルのものとして提示されると、つまんなくなってしまう。モンスターものでは、その最初の登場シーンが一つの見せ場になると思っているのだが、これではそれがない。巣で周囲の卵たちがモゾモゾ孵ってくるところが、気持ち悪いと言えば気持ち悪い。[DVD(吹替)] 4点(2010-09-29 10:10:51)(良:1票)

16.  東への道 《ネタバレ》 メロドラマの勘どころを考えてみる。都会に出ればチヤホヤされる美しき乙女が田舎に埋もれていたというのが、シンデレラ的でまずいい。その無垢と都会の色魔との対比。信頼と裏切り。不幸を一身に背負わねばならぬ女性と、無責任な男性(女性のふしだらは厳しく非難されるが、男性の場合は若気の至りということでかえって勲章になってしまう社会への批判、この批判が現在でも有効なのは問題)。死にゆく子どもに洗礼を授ける哀切。世間の代表としての無情な管理人。大きな帽子をかぶってあてもなく道をゆくリリアン・ギッシュはどうしてあんなに美しいのだろう。彼女を救う村人のやや滑稽味を交えた善意。好青年と彼女とのなんとはない予感。そして都会の悪意が田舎に流れ込んでくるあたりからグリフィス調が全開になる。噂話を持ち込んでくる女の道行きのカットと、家でのドラマの反復で、緊張を高めていく。誤解による怒りと冬の戸外への追放、そして氷の河へとドラマが雪崩れ込んでいく。グリフィスの3大メロドラマはどれも大好きだが、唯一自国を舞台にしているこれが“大げさ度”が低く、どれか一つと言われたら本作を選ぶ。ただ、テレビで弁士・音楽付きで観たこともあるが、かなり印象が違ったものになっていた。カットのリズムに耳を澄ましたいときに(じゃない、眼を澄ましたいときに)、それらの声や音が予想以上に鑑賞の妨げになってしまう。カットのつなぎめで輝いていた聖なるものが、とても俗っぽくなってしまうのだ。[映画館(字幕)] 9点(2009-11-06 12:01:12)

17.  ピースメーカー ドリームワークス第1回作品というのにしては夢のない陰鬱な映画。無垢の人がたくさん死ぬ。「仕方がない、これが現代なんだ」という言い訳が製作者サイドにはあるわけだし、確かにそういう警告としての役割りも映画にはあっていいかも知れないが、こう悪夢の可能性をハリウッドが先回り先回りしていくと、それらがかえって現実感を失い、世の中の生々しい悲惨が単純なものに感じられてしまうという危険もある。実際同時多発テロのときアメリカ人はまず第一に、ハリウッド映画のようだった、という印象を受けたわけだ。この映画には、世の中の悲惨に対するアメリカの、こっちにこないで、という正直な気持ちが反映しているとは言える。まあ悲惨の存在を見ているだけ日本よりはマシか。それにしても、放射能がドラマに全然影響を与えないのは、いつもながら困ったもんだ。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-01 12:15:23)

18.  ビューティフル・マインド 人づきあいの悪い数学者は、まあパターンどおりの演技だし、妻の役柄もさして面白いとは思えなかったが、国家における軍隊と人間における精神分裂病(統合失調症)とが、同質のものとして描かれているその一点で、この映画を褒める。被害妄想が限度を越えて結晶したもの、国家の場合それは常に過剰防衛に走る軍隊だし、人の場合は精神分裂病だ。冷戦下の軍隊のほとんど妄想の域に達している想像力の暴走は、精神病となだらかにつながっている。小屋の秘密基地で、雑誌の中からパターンを探す徒労の半生って、そのまま軍隊の情報部なのではないか。伝記映画としては凡庸。ラストの式典はいらない。ノーベル賞を貰うなんて妄想の最たるもので、どこの精神病院にも何人か必ず受賞者がいるだろう。彼はもっとそのことに半信半疑で、また妄想が出たと不安がるほうが自然では。[映画館(字幕)] 8点(2008-06-22 12:13:00)(良:1票)

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