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561.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 歴史からの避難所としての西部。父は歴史の暴力・ヒロイズムの正体を目撃してしまい、西部にこもる。グリムのような三兄弟とともに。そこに女と歴史が侵入し破壊していくというドラマだ。苦労知らずで無垢の三男の死がたたり続け、それで残ったものも無垢ではいられなくなる構造。愛憎の絡まり具合に、いかにも大河ドラマの醍醐味があった。トリスタンは生き残り続け、死んで伝説になるのではない。暴力の時代・無法の時代の最後を、法よりも家族を優先して生き残り続けることで伝説になる。各国をさすらっているシーンはない方がいいわな。最後に兄アルフレッドも、父弟と同じ側に立って銃を撃つ、という仁侠映画のノリ。[映画館(字幕)] 7点(2010-04-26 11:56:11)

562.  半魚人の逆襲 《ネタバレ》 てっきりラストで科学者が「惨忍なのは我々人間の方だったかも知れんな」と反省するのかと思ってたら、しなかった。かってにアマゾン奥地から拉致してきて、電気棒で突っついていじめて(水中でやって科学者のほうは感電しないのはどういう仕組みになっているのか)、鎖で自由を奪って、こういうのはすべてラストで反省させるための伏線かと思っていたら、東西冷戦下のアメリカはそんなに甘くなかった。へっちゃら。第三世界の人々への疚しさが奥にあるのか、なんて考える映画ではなかった。このころはまだ水中撮影が珍しいらしく、それだけで売りになったよう(クストーの『沈黙の世界』が翌年)。ちゃんと半魚人が水中を泳ぎ回るのは偉い。頭からあぶくが出てるのは愛嬌。男科学者と女科学者がいちゃいちゃ泳いでいるところに、ストーカーと化した半魚人が重なって泳ぎ出すあたり、サスペンスというより水中レビューショーのような味わいがあった。半魚人がさらった女科学者を浜に放置して助けに来た人を襲うってのがよく分かんない。目的は人類を襲うことなのか、女ではないのか。おっと、これの売りは無名時代のC・イーストウッドが出てるってことだっんだけど、つい半魚人にばかり気を取られて探すのを忘れた(まさか半魚人役で中に入ってたりとか)。かつて「ウルトラQ」の「海底原人ラゴン」の回には無名時代の黒沢年男が漁師役で出ていて、半魚人みたいのに襲われてアワアワやってたっけ。[DVD(字幕)] 5点(2010-04-24 11:59:20)

563.  ショーシャンクの空に 『カッコーの巣…』の刑務所版。自由への希望を持ち続けることの話。塀があり、その中にさらに狭い懲罰房があり、塀の外には世間がある、そういう構図。いつのまにか塀に寄りかかって生きてしまう長期刑者たち。その中で自由への希望を持ち続けることを賞揚するのがアメリカだ。“調達屋”ってのは、つまり塀の中に小さな世間を作って、中だけで生きていこうとする選択(安部公房の「砂の女」の主人公がそうなったように)。それに対してアンディは外の刺激を導き入れようとする。ビールの味であったり、モーツァルトの歌声であったり。これがハンマーの一打ち一打ちになっていくわけだ。そのためには汚いことも進んで引き受ける。人を改心させるための刑務所に入って、俺は悪を覚えた、って。レッドに贈られたハーモニカは、小道具としてもっと使い道がありそうなもんだけど。世間に出てつぶされていく老人のエピソードは胸にしみる。もう塀の内側に皮膚が癒着しちゃってたんだ。その癒着のいちいちをハンマーで剥がしていかないと、と主人公は思うわけ。この人生観なんか実にアメリカ。[映画館(字幕)] 7点(2010-04-22 12:02:33)(良:1票)

564.  レスラー 《ネタバレ》 『シン・シティ』観たとき、ミッキー・ロークがよく分からなかったのは、顔や体型をメイク技術でそうとういじってるからだろうと思ったが、けっこう素のままだったのかもしれない。本作でも、ときに口元にいたずらっ子のような往時の面影が認められてやっと納得いくが、スーパーの惣菜売り場で出会っても、「M・ローク」と名札が付いてなくちゃ気が付かないだろう。かつてのクールでセクシーなスターが、体も顔も崩れた姿をスクリーンにさらす。この映画、劇映画としてより、M・ロークのドキュメンタリーとして観てしまうし、そう観て初めて価値があるんじゃないか。マリサ・トメイと「80年代は最高だった」とうなずき合う場など、シナリオ、当てて書いているとしか思えない。それでもリングに・スクリーンに戻る「男」の姿。しばしば後ろから追い続けるカメラも、その効果を高める。話として臭くなりかけるところで、ドキュメンタリーとしての味が出て締まる。いやあ、映画スターというものは業の深い職業ですなあ。実際の人生だったらば、スーパーの惣菜売り場で働く勇気の方が偉いと思うけど、スクリーンの中の世界では、こうでなくちゃならない。かみそりでこっそり額を切っとくような世界と同列なんだもん。[DVD(字幕)] 6点(2010-04-21 12:07:56)(良:3票)

565.  アウトブレイク 《ネタバレ》 ペストの時代から疫病というのは半分社会問題であった。D・サザーランドが「言ってみれば、この人々は名誉の戦死なのだ」という論理。彼が常に口にする「センチメンタル」という批評、ここらへんに一番の怖さがあった。日本にもよく「センチメンタル」で切り捨てる知事がいるでしょ。多数と少数の問題。多数の側に立てば、あらゆる人道的発想はセンチメンタルとして扱われるだろう。小さな町が軍に封鎖されてからが本筋。なあに脅しだけさ、と逃げた車が容赦なく爆破される。不意に少数の側に区分けされてしまった市民、こっちの側に立てば「センチメンタル」などと言ってられないのだ。そうは言っても多数の側に立てば、やっぱり安全を考えちゃうだろうし。そこらへんの問題。多数はこういった少数の集積であるって考えが大事なんだろうね。アメリカ映画でいいのは、主人公が組織の問題児ってところ。勇気ってことも絡んでくる。それと責任ってことか、責任から逃げない。そういう本筋の健全さが偉い。D・ホフマンをつかまえにきた軍に、レネ・ルッソが「背の高い男よ」と教えるところは、もっと笑っていいんじゃないか。[映画館(字幕)] 8点(2010-04-19 12:00:10)(良:1票)

566.  マン・オン・ワイヤー この手の人は、単に「目立ちたがり屋」と思っていただけだったが、その「目立とう」という意志はハンパではなかった。芸術の根源を見た気がする。だってこれ、金になるわけでなく、あとには逮捕が控えているだけ。そこで幾多の困難を乗り越えてプロジェクトを進めていくのは、目立ちたい、という強力な意志がなきゃ出来ない。義務でなく、公言したわけでもなく、いつでもやめられる、という状況下で、決行にまで至る。目立ちたい、もここまでくれば芸術衝動と言っていい。ただの土器に凝って火炎の縁を付けたのだって「目立ちたい」だっただろうし、引っ込み思案な役をやらせると天下一品という俳優だって、目立ちたくて養成所の門を叩いたのだろう。「目立ちたい衝動」は芸術の根幹を成すんだな、と思いを新たにした。再現映像が多い、純粋なドキュメンタリーではないが、中心にある「人への興味」が生きているので、これでもいい。綱渡りに至る準備が見どころ。映画ではいっさい触れてないが、どうしても裏に同時多発テロの記憶が揺れ、彼らの細緻な準備と対照的に、飛行機で突っ込むという大ざっぱな行為で消えていったこの舞台を、皮肉に思い返す。政治と芸術の力関係の落差に暗澹とした気分になりながらも、政治の大ざっぱより芸術の細緻のほうに加担せねば、と改めて思わされた。[DVD(字幕)] 7点(2010-04-16 12:00:52)

567.  JM アクション映画はどんどん加速して盛り上げてほしいのに、これは単純な直線的進行。アクションが連続していれば退屈しないでしょ、と考えたらしいが、そうじゃないの、だめなの、加速が必要。そうしないとこちらは空回りしている徒労感に襲われる。想像力のなさが致命的。なにか一つ得るものがあるとすれば、政治的な東西対立が終わった後に、文化的東西対立が大きくなってくるかもしれないなあ、という予感。とりわけ西の「被害妄想」としての。どうして映画の悪者は、すぐに相手を殺さないでゴタクを並べて逆転されるという、あまりにもストーリーに奉仕した失敗を繰り返すのだろう。もう型になってしまっていて、誰も心配しなくなっている。たまにはそういった失敗から学んで進化した悪者を創造してもいいのに(といって善玉をあっさり殺させないしなあ)。無神経な暴力描写も不愉快。圧倒的優位に立つ側が、弱いもんをネチネチ痛めていくシーンは、もちろん悪を描くわけなんだろうけど、でもなんでこんなもんを見せられなきゃならないんだ、って気が先に来てしまう。[映画館(字幕)] 5点(2010-04-14 12:01:11)

568.  グッドモーニング・バビロン! 《ネタバレ》 タヴィアーニにしてはちょっとノリが悪いか、と思っていたが、森の中のシンバルあたりからか、ぐんぐんのめり込んでいき、前半のいちいちが生きてくる。船の中で一つの皿を食べ合っていたのが、ラストで一つのカメラで写し合うシーンになるように。大きくイタリアとアメリカの対比があり、共同体の微温的宇宙のなかにいられたイタリアと、個人主義の厳しいアメリカが、常に両極にあって兄弟を操作している(アメリカの摩天楼が少年時代のクリスマスツリーに重なるの、その時はちょっとダサいなあと思ったが、この対比こそが本作の核心だったのだ)。そしてそれぞれの誇り、映画という現代の聖堂を築き上げたグリフィスの誇り、かたやレオナルドの末裔としてのオメロ・アントヌッティの誇り、ステッキのシーンなんか、いい。『イントレランス』のどんなスペクタクルシーンよりも、炎上する象のほうがスペクタクルだったのではないか。そして映画が「写して記録するものである」ということが、ここで生き、さらにラストの伏線になっている。本作がいいのは「映画史」に閉じてしまわず、世界史に向かって開かれていること。[映画館(字幕)] 8点(2010-04-13 11:58:39)

569.  若草物語(1994) 黒人も東洋人も登場しない「よき時代」のアメリカ。体罰する学校は「外部」であり、この女たちの城は、ただただ清らかである。悲しみは病気と死であって、これもインセンスを守るため、姉妹の一人がイケニエにされたようなものだろう。前半はいささか退屈だったので、『細雪』や『叫びとささやき』などを考え合わせていたら、看病の床で読む本に「ピクイック氏」が出てきたのには驚いた。『叫びとささやき』でも同じように病人に読んでいた本。つまりいかにもそういう小説なんだろうな。それとも原作にあるのなら、ベルイマンが「若草物語」を引用したということも考えられる。姉妹群像ものが「若草物語」を重ねるってのは、これよりずっと後になるが、NHK朝の連続ドラマ「てるてる家族」ってので、石原さとみ・上野樹里らが四姉妹になったので、近所の金持ちの孫が浪利(なみとし)君といって、ローリーと呼ばれていた。けっこう原型としての「若草物語」は根深く世間に流布しているようなのだ。でこれ、平均的アメリカ白人の心の原風景を知るにはいい作品、カナダの「赤毛のアン」と比べるとプロテスタント臭が若干感じられる。[映画館(字幕)] 6点(2010-04-09 12:06:36)

570.  それでも恋するバルセロナ 例のごとく、登場人物たちはふらつく。一つのキャラクターからはみ出そうと、反発と親和を織りなしていく。いつもだとそれがなんらかの着地点を見いだすのだが、今回はそのまま人間関係を広げていって、茫漠とした霧になって終わる。南欧的と言えば南欧的。アルモドバル的暖色が満ちる。ただひとつ残るのは、自分が「望まないもの」だけ、という話。ステレオタイプなスペイン人の描写は、ニューヨーカーの凡庸さの背景として意図したものかもしれない。観光名所的なロケとあいまって、誇張の効果。アメリカ人の会話にはうんざりだが、スペイン人のホットさにはついていけない、って。そのふらついていく一瞬一瞬には皮肉な面白さがあるのだが、一本の作品としては、とりとめなさの印象のほうが強くなってしまった。主要人物4ないし5人に、脇系の人が中途半端に絡んでくるのが、おい、本舞台に出るのか出ないのかはっきりしろ、といらつかされる。[DVD(字幕)] 6点(2010-04-07 11:59:07)

571.  クイズ・ショウ 《ネタバレ》 しょせんテレビってこんなもんさ、とか、娯楽なんだから、という言葉の下に、ある種の倫理の頽廃を描いている。こういう大衆時代の腐臭を嗅ぎ取る敏感さがアメリカの最良の部分で、本作のような映画が生まれる限り、あの国をなかなか見限れない。決して倫理的に低劣だったわけではない主人公が、インチキに引きずり込まれていく怖さ。俺の知ってた問題なんだから、から、答えを自分で調べる、になって、なら結局教えてもらっても同じだし、となっていく。父の時代にはあった真っ当な倫理観「教わったことを答えて金を貰ってたのか」、が「こんなもんさ」に堕ちていく。有名になりたいという欲望、しかし有名になると大衆は脅威になっていく。ラストシーンで笑い続ける大衆が、主犯であり共犯であり、被害者であり傍観者である。そういう社会像を突きつけた映画。すべて台本と演出の時代。委員会での懺悔に続く拍手をロブ・モローが何かしっくり来ずに立ち会っている場が印象的。何でもすぐに「感動のドラマ」の演出になってしまい、さらに次のドラマが用意されるのだろう。タトゥーロが向かないってことを「ラジオ・フェイス」と言ってたな。[映画館(字幕)] 7点(2010-04-03 11:59:24)(良:2票)

572.  雲の中で散歩 《ネタバレ》 労働シーンが生き生きと描かれる映画は、このころではもうかなり珍しくなっていた。もっともこれはどこかノスタルジー的であって、理想化された労働の姿。現代の諸問題の解決にはならないが、一つの基準を提示してはくれる。かつて家庭と労働と社会とが、過不足なく絡まりあっていた時代があった、と。『赤い薔薇ソースの伝説』のときと同じ、黄濁した画面。室内もいいが、海沿いの道路の場など大変美しい。この愛の解決の仕方はアステアの『有頂天時代』をちょいと思い出させた。こういう解決に至るドラマって、好きなんです。好きな男優二人が出てて、ジャンカルロ・ジャンニーニが怖いお父さん、アンソニー・クインはカドが取れたいいおじいさん。まだ遺作じゃなかったのか。[映画館(字幕)] 6点(2010-04-02 11:59:40)

573.  ロブ・ロイ/ロマンに生きた男 《ネタバレ》 もっと城壁によじ登ったりシャンデリアにぶら下がったりする血沸き肉躍る話かと思っていたら、女のみさおの話であった。男気のロブ・ロイが臥薪嘗胆した果てに、という仁侠映画的展開。血気にはやる馬鹿な若者がウロチョロして死んじゃうのも定型どおり。ラストが決闘というのはちと弱い。剣を手でつかむ、いう伏線はあるんだけど。ティム・ロスやジョン・ハートといったイギリス系役者が画面に映ると、映画が締まる。ロブ・ロイがティム・ロスの首に縄を引っかけてぶら下がり逃げるってのが気に入った。でも、どうのこうの言いながら一応見せてしまうってのは馬鹿にできない。商品としての最低線を確保するハリウッド映画産業のセーフティ・ネット(?)が、ときに生まれる傑作の地面を固めているんだと思う。[映画館(字幕)] 6点(2010-03-27 12:01:29)

574.  理由(1995) 《ネタバレ》 結論だけを整理しちゃうと、死刑廃止運動への皮肉であり、知的黒人への町の反感をそのまま受け入れてしまう展開になり、暴力警察のほうがリベラル弁護士より正しかった、いう皮肉になる。つまり「反リベラルの映画」と決めつけてもいいんだけど、この後味の悪いざらついた感覚には、それなりに世の真実も感じられる。本当なら、この町の疎外が彼を変質者にしていった可能性・南部の町そのものが少女をいけにえに必要とした可能性、までを描かなくちゃならないはずなんだけど、ただ放り出すように提示しているので、そのざらつきがこっちに迫ってくる。つまり整理できない現実、「そうであってくれない」現実というものが確固としてこの世には存在してる、ってことで理想を見たい観客を脅かす。黒人嫌いの黒人警官っていうのは、それだけで一本の作品のモチーフになれそう。エド・ハリスの連続殺人犯は、本物らしかった。[映画館(字幕)] 6点(2010-03-24 11:58:27)

575.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 南北戦争後、鉄道網が広がり、資本家が大手を振り出し、悪玉も善玉も一匹狼は時代遅れになってきつつある。ベンは徒党を組んではいるが一人で判断していくボスの孤独があり、ダンも孤独な家長。その滅びゆく一匹狼同士が、ひそかに友情を感じあうってとこが何よりの眼目で、ラストの二人になるまでのいささかもっさりした展開は全部序幕と思っていい。駅近くの一室の場からが本番。じわじわと買収に掛かるベン。妻の尊敬を受けられるぞ、などと弱みをしっかり狙っている。でも陰湿さが感じられないのは、すでにダンへの肯定的な興味を持っているからだ。番長がまじめなクラスメイトに気の合うものを感じてしまい、遠回しに悪ぶりつつ友情を告白しているような照れすら感じられる。そこに護送の保安官たちがやってきて、これがいかにも人格者的な風貌をしているのが、その後の展開の効果を挙げている。ベンを救出に来たならず者たち、簡単に買収される群衆って設定が怖くもうまい、ここで群衆とダンが対比される。駅に走る二人、ダンがベンを護送しているのか、ベンがダンを護衛しているのか。途中の小屋で「もうせがれは見てないぞ」と言うベンに、ダンが脚の傷の原因を言う。ここらへんたまらない。粗筋だけ取り出すと、臭い話と思われてしまいかねない展開を、シナリオが丁寧なので、ベンの心情が表情の変化だけで実によく理解できる。おそらく生まれて初めて尊敬できる友情を感じたのだろう(聖書に描かれたスケッチ)。だからその後の行動が不自然でない。友人を殺した者に対する憎しみは、仕事仲間としての感情に勝るのだ。まるで撃たれたいように立ち尽くすベンもいいが、ダンの仕事をきちんと完了させてやってから鳴らす口笛が、粋にキマっている。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-14 12:07:18)(良:2票)

576.  エイリアン3 《ネタバレ》 ヒロインは坊主頭。まわりの男どもは僧服のようなものを着て、セットはざらりとした中世修道院風。うろついている犬。カタコンブのような地下の迷路。そしてラスト火の中に消えていくヒロインとくれば、これはジャンヌ・ダルクを描いた宗教映画だろう。とうぜん活劇映画としては地味になってしまう。タルコフスキー的な陰々滅々とした雰囲気の中でいくら走り回っても、爽快感は訪れない。だいたい宗教はあまりに「思弁的」で「反活劇的」である。活劇の人間は「考える」のではなく「企む」べきなのだ。定められたルールの中で企て合うゲームに酔える人間でなければならない。そこが宗教映画と活劇映画が両立できないところ。また対抗するエイリアンが前作のクイーンを見た後では貫禄に欠けた奴で、一生懸命チョコマカチョコマカ走ってはいるが、かなり物足りない。でも、宗教映画と割り切って鑑賞すれば、邪悪なものを内に孕んだまま火で浄化されていくヒロインは、自分のうちに魔女がいる可能性を肯定してしまったジャンヌ・ダルクであって、結論としてそれなりの面白味はなくもない。[映画館(字幕)] 7点(2010-03-09 12:03:06)

577.  ダイ・ハード3 シリーズの約束事のうち、舞台を一つに絞るってのは守られなかったが、一日の出来事は守られる。それと、非番で二日酔いでシャツ一枚。このシリーズらしさが一番生きているのは、悪漢の質の高さ、というか計画性。最初はただのサイコ野郎と思わせておいて、しだいに「そうじゃない」を見せていく。悪漢の女が円月刀みたいので舞うように首をさく、という美意識もある。大義名分と泥棒との落差、っていうのは一作目にもあった、つまるところテロリストじゃなくただの泥棒って。そういうシリーズの遺産を大切にしており、水準以上のアクション映画の質は保った。だからカーチェイスはやってもらいたくなかった、作品を「ありきたり」に傾けてしまった、相棒を使ったことも。[映画館(字幕)] 7点(2010-03-07 11:55:04)(良:1票)

578.  キャスパー 《ネタバレ》 『アダムス・ファミリー』で目をつけといたクリスティーナ・リッチが、ここらですっかり娘さんになった。ただしまだ“怪奇”を引きずっていた。画面の合成にはもう驚かなくなったが、視線がピタリと合っているのが丁寧。あちらの幽霊もゾンビ的なただおぞましいものから、東洋的な哀愁を帯びたものへと広がっている。思い残し、ってのが幽霊のポイント。キャスパーが一晩だけ生ま身となるところではホロッとした、あのノッペリツルツルした感じをうまく使えば、新しい気味悪さを開拓できる気がする。屋敷を見たキャットは「スティーヴン・キング」と呟いたが、字幕では「ホラー映画みたい」となっていた。親子で指切りをするシーンがあったけど、あれって世界共通なの?[映画館(字幕)] 6点(2010-03-06 11:54:18)

579.  レイチェルの結婚 《ネタバレ》 ヒロインの「傷つき自慢」の描写はけっこうリアル。こういうのいる、って。結婚式のスピーチで、得々と自分の傷を語り出す。宴席がシラーッとしても気がつかない、というか意に介さない。自分の悲劇を強めるためには、平気で過去をより悲惨に捏造していく。そういう彼女を腫れものに触るように遇する父、うんざりしている姉、と配置は揃っている。が、ドラマはあんまり動かず、深まりもしない。現実味を出そうとしたらしいカメラワークも後半はダレ気味で、90分以内に収めるべき内容の作品だろう。美容院の場で、周囲に聞こえるように話すだろうか、という疑問が生じるなど(アメリカでは自然なのかなあ)、せっかくのドキュメント風のカメラを内容が裏切っていく。姉の結婚相手が黒人に設定されていたことの積極的な意味が分かりづらかった。アメリカは多民族国家の軋轢を克服したが、しかし家族の軋轢は永遠です、ってことを言いたいのか。もう人種問題にいちいち意味を持たせる必要がないほど、アメリカの他民族は融和している、とも思えないし。[DVD(字幕)] 6点(2010-03-02 11:57:30)(良:1票)

580.  バットマン・フォーエヴァー 一作ごとに悪役の魅力が減じていた。あるいはゴッサムの市民の恐れおののいている気配が薄れてきてしまっている、ということ。躁病的な悪漢という一線は守っているが。ジム・キャリーに凶々しさを見る目のつけどころは悪くなかったが、「狂った馬鹿」の怖さには至っていない。トミー・リー・ジョーンズは、善悪二面、コインの裏表いうキャラクターがあまり生きていない。全体この作品で敵に必要なのは「悪」よりも「狂気」の魅力なので。正義の味方ってのは、見知らぬ他人のために働くわけで、だからマスクをして個性を隠し抽象的な存在にならなければならないのか。そして抽象的な賞賛を受け、本人は孤独ってところに、かっこよさがあるのかも知れない。でもスーパーマンは素顔だったなあ、素顔なのに気づかれないことになっていたなあ。眼鏡掛けただけでクラーク・ケントになってた、ってのも考えればすごい。[映画館(字幕)] 6点(2010-03-01 11:58:52)

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