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1. 幻影師アイゼンハイム
《ネタバレ》 映像はきれいだし、雰囲気もいい。しかし、それらもまずまずといった程度に留まっている。脚本は複雑な割に荒っぽく、とくに後半は話の筋を追うのに必死で、とりえであるはずの映像もなおざりになる。この題材なら世界観を魅せるのを優先して脚本は単純化しても許されただろうに、やっていることがまるでちぐはぐだ。肝心のどんでん返しも新味はない。なにもかもがひどく中途半端だ。
また奇術の描写に堂々とCGを使っているが、それをやったら映画だからなんでもありというのが前面に出てしまうわけで、マジック本来の魅力である不思議さ、幻想性が損なわれてしまう。トリックとも魔法ともつかないぎりぎりの境界線上を描くべきだったんじゃないだろうか。E・ノートンを十九世紀の奇術師に据えるというわくわくするような配役だが、充分に魅力を引き出せているとはいい難い。
恋愛描写に重みがないのも痛い。少年時代に引き裂かれた初恋の相手が現れたからといってそうそう夢中にならない――っていうか幻滅するパターンの方が多いだろう。
そもそもどうしてスティーヴン・ミルハウザーの小説を、どんでん返しがメインの娯楽映画にしようと思ったのだろうか? 別に原作に忠実である必要はないが、これは村上春樹を原作にミステリを撮るぐらいむちゃな挑戦だ。その結果がこの微妙な出来なのだから、なんとも残念としかいいようがない。[DVD(字幕)] 5点(2009-07-08 00:50:06)(良:1票) 《改行有》
2. 刑事コロンボ/パイルD-3の壁<TVM>
いつにもまして激しい頭脳戦。犯人も敵ながら天晴れで、いったいいつあの計画を思いついたんでしょうか? 最初からそのつもりだったとしたらかなりのものです。クリスティの『スタイルズ荘の怪事件』の証拠版とでもいうべき巧妙な罠。物的証拠もゼロに等しいし、非常に手強い犯人だと思いました。でもコロンボはさらに上を行く。さすが犯人に「クモ」呼ばわりされただけはあるなあ。 それはともかく、手に汗握る一篇でした。7点(2005-02-18 03:00:28)
3. 刑事コロンボ/別れのワイン<TVM>
《ネタバレ》 人生を捧げてきたもの、大切なワインを奪われないために罪を犯す犯人。しかし、皮肉にもその犯行が守ろうとしたものをだいなしにしてしまう。このめぐり合わせが哀れでした。彼はその生きがいを奪われる運命だったんでしょうか? ユーモアのペーストがドラマをさらにひきたて、上質のものとしています。7点(2005-02-12 02:29:46)
4. 刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
だしぬけに殺人で始まり、犯人に止めを刺した瞬間に幕切れ。椎名林檎の後奏もなくすぱっと終わる曲を思い出しました。シャープかつコンパクトな、洒落た味わいのミステリーでした。7点(2005-02-11 23:13:06)
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