みんなのシネマレビュー
S&Sさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2490
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
121122123124125
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
121122123124125
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
121122123124125

461.  赤×ピンク 《ネタバレ》 ただの百合エロ映画と軽い気持ちで観始めましたが、原作がラノベとは言っても桜庭一樹なので観終わってみれば引き込まれてしまいました。主演の芳賀優里亜と多田あさみはそっち系の女優じゃないのに潔いと言えるほどの脱ぎっぷりとAV並みのエロ絡みは見事です。この映画はR15+指定ですがDC版のR18+指定バージョンもあるそうで、もっとエロいのかと思うとちょっと観てみたい気がします。ガールズ・ブラッドの女闘美ファイターたちのキャラも立ちまくっていて観てて愉しい、モモミーちゃんが私の推しです(笑)。とうぜんスタントも使っているでしょうけど、彼女たちのファイトは素人目には迫力満点で、満足できました。ただ気になるところは、彼女たちが女闘美ファイターになったきっかけが家庭や学校で負ったトラウマだったという設定があまりに定型すぎて、どうなのかなと思います。ガールズ・ファイトの社長とDV空手家が本作での唯一目立つ男性キャラでしたが、これまたキャラが立っていて良かったですね(とくに社長)。でも存亡がかかったラスト・マッチ、空手軍団は負けても実質ダメージがゼロのような気がするけど、ほんとにあれで良かったの?社長(笑)。観ていてふと気づいたのですが、観客エキストラのなかに南海キャンディーズの山里亮太にそっくりの人がいたんです。トレーナー鮫島役で品川祐も出ているし、ひょっとしてなのかもしれません。 桜庭一樹にはまだまだ映画化したら面白そうな作品が多いので、これからも期待しています。とくに『赤朽葉家の伝説』はぜひとも映像化して欲しいな。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-05-22 22:42:23)

462.  go(1999) 《ネタバレ》 今までに山ほど撮られてきた『パルプ・フィクション』の亜流映画と言ってしまえば身も蓋もないけれど、若き日のダグ・リーマンが監督しただけあって才気の片鱗は見えました。そういや、主演のサラ・ポーリーはなんかユマ・サーマンに似てるなと感じたのは私だけかな? 出てくるキャラはみな半分アウトレイジの世界に足を突っ込んでいるような感情移入できそうもない若造たちですが、L.Aまでやって来るベガスの本物のアウトレイジ親子も含めて終わってみればみんな憎めないんですよ。なかでもいちばんの大バカ者はサイモンですが、こいつのバカっぷりはほとんどビョーキの域に達してました(笑)。というわけで、三つのエピソードの中ではこの“サイモン”のパートがいちばんぶっ飛んでますが、それぞれのエピソードはオチが弱いというのは残念なところです。それでも、夫婦でネットワーク・ビジネスに励むウィリアム・フィクトナー刑事には笑わされました。銃が撃たれてあんだけムチャクチャやっても、終わってみれば誰も死んでないというのが、ある意味最大のオチかもね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-19 23:35:45)

463.  ウィッカーマン(2006) 《ネタバレ》 実はオリジナル版より先にこっちを観てしまったので、当初の印象はさほど悪くはなかった感じです。その後に73年製作のオリジナルもDVD購入できて、両者の比較ができました。比べてみると、オリジナルにある強烈なカルト色が薄められてしまっていると結論付けできますが、良くも悪くもハリウッド映画という感じでしょうか。その大きな相違点は、ニコラス・ケイジが島に来る理由が失踪した元婚約者からの突然の手紙だというところで、このハリウッド映画にありがちな設定がけっきょく本作の酷評の原因だったと思えます。オリジナルのハウイー巡査部長が持っていた厳格な信仰という要素はニコジーには皆無で、失踪した娘を探すサスペンス劇としての演出に重点を置きすぎたというのも失敗だったのかも。オリジナルのハウイーは“童貞かつ賢く愚か”という要素を持った人物として愚者パンチの扮装をするわけですが、そう言った裏の意味を削り取った本作でニコジーがクマの着ぐるみをかぶるというのは笑うしかないです。まあぶっちゃけてしまえばオリジナル版が現代の感覚からしてもぶっ飛びすぎで、現代劇として再構築すればこんな感じになるのは当たり前だったかもしれないし、ここまで世界中でダメ出しされているのはちょっと可哀そうかな。それだけオリジナル版が偉大だということかもしれませんが、なんせ永い間ソフトもリリースされなかったカルトなので、観たことある人は少ないと思いますよ。 ニコジーが出演・プロデュースした作品中で、本作がおそらくもっとも酷評されている映画じゃないかと思いますが、そろそろ勘弁してあげてもいいんじゃないかな。まあ好きが高じて『ウィッカーマン』をリメイクするという暴挙(?)をやってのけた彼の行動力だけには、敬意を払ってあげようじゃないですか。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-05-16 22:52:47)

464.  アウトロー(1976) 《ネタバレ》 “建国200周年記念映画”と銘打たれていますけど、輝かしい勝利を謡った『ミッドウエイ』と違って、西部劇とは言え南北戦争当時の合衆国史の暗部を取り上げているところがイーストウッドらしい。彼が撮った西部劇には一癖も二癖もあるのが特徴です。 彼が演じるジョージ―・ウェルズは、とても農夫だったとは思えない『荒野の用心棒』の名無しの男みたいな無敵のガンマン。もっとも銃を撃ったより毒液の様な唾を吹いた回数の方が多かった感じです(笑)。この物語は先住民チーフ・ダン・ジョージと出会ってからのバディムーヴィー風味が強くなってきます。政治的には保守のイーストウッドですが彼の作品はマイノリティに暖かい視線を向けることが多く、本作ではアメリカ先住民を人間として勇士として扱う敬意を強く感じました。そして忘れられないのがあの“お尻ペロリ”シーンのソンドラ・ロックでこれがイーストウッド映画の初出演、そしてこの後皆さまご存知のようにイーストウッドを生涯悩ませる女となるわけです。でも本作の彼女は可憐だったのは確かでイーストウッドが惚れたのも無理ない、というか、後に結婚したフランシス・フィッシャーもそうだし彼はこういう細いタイプが好みみたいですね。 本作は妻子を殺された男の復讐劇なんですけど、隠れテーマは“和解”なんです。もちろんこの映画の戦争は南北戦争ですけど、やはり製作時期を考えるとヴェトナム戦争を意識せざるを得ないんじゃないでしょうか。ラストのジョン・ヴァーノンの「戦争は終わったと告げよう」というセリフには、ヴェトナム戦争とウォーターゲート事件でボロボロ状態だった当時のアメリカ社会へのメッセージだったんじゃないでしょうか。これこそイーストウッドが建国200周年で訴えたかったことだと感じました。[映画館(字幕)] 8点(2021-05-13 23:24:35)

465.  徳川女系図 《ネタバレ》 記念すべき(?)“東映ポルノ”シリーズ第一作にして、大手映画会社が製作した初の成人指定映画なんだそうです。実は日本で“ポルノ”と銘打った映画を初めて撮ったのは東映で、日活ロマンポルノより早かったんですよ。こんなことになったのは当時の東映社長がボウリング場経営などのレジャー分野進出に熱心で映画製作に興味を無くしてしまい、映画部門を制作本部長の岡田茂に丸投げしたからなんです。当時のピンク映画の隆盛を目の当たりにして「これからはポルノでゆくぞ!」の鶴の一声、ヒットが続いてとりあえず路線変更は軌道に乗りましたが、ふつう東大出の重役がこんなことしませんって。それまで散々時代劇を製作してきた東映ですから衣装やセットはストックがあり、ピンク映画じゃ真似できない豪華なエロ映画が誕生したわけです。 五代将軍綱吉時代の大奥が舞台ですから、とうぜん出演者はほとんど女優。エロの方は試写を観た岡田茂に「期待したよりもおとなしい」と言われちゃうぐらいですから、大したことない。でも凄いのはエキストラ的な役柄の大奥のその他大勢の女たちで、当時のピンク映画界隈の女優を大挙出演させています。その女優たちがオッパイ丸出しで繰り広げる乱痴気騒ぎが見もので、これほど大量のオッパイがスクリーンに映ったのは日本映画史上で初の快挙(?)だったそうです。でもそこそこ名が通った女優は肌や太ももを見せるぐらいでほとんど脱ぎがないというのは、女優格差があからさまで笑っちゃいます。 ドラマ自体は石井輝男が監督だけあって、綱吉の下々からすれば贅沢な苦悩をテーマにして割とカッチリ撮られています。荒唐無稽なストーリーながらも将軍綱吉の伝わっている故事がさりげなく散りばめられた脚本かと思います。ラストは御台所信子が綱吉を刺殺するトンデモ展開ですが、実は俗説のなかに“綱吉・信子、無理心中説”があるそうなので、良く調べてるなと感服いたしました。 「(二つの)丘を下れば林もございます、お疲れになったら川の水も飲ませて差し上げます」、この意味深なセリフは綱吉に愛撫される女中が発するものです、こういうセンス好きです(笑)。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-10 22:21:50)

466.  赤い闇 スターリンの冷たい大地で 《ネタバレ》 時は1930年代前半、英国元首相ロイド・ジョージの外交顧問であったジャーナリストのガレス・ジョーンズは、ドイツでついに政権を握ったナチ・ドイツに対抗するために第一次五か年計画が成功して飛躍的に国力が増大したと喧伝されているソ連と同盟してヒトラーに対抗するべきだと主張します。しかしソ連の発表した数値に矛盾を見つけたジョーンズは、実態を調査してスターリンにインタビューしたいと熱望して単身ソ連に入国します。「この国はなんかおかしい…」と疑問を感じながらヨーロッパ随一の穀倉地帯であるウクライナに潜入した彼は、そこで恐るべき真実に気づいてしまうのでした。 ソ連74年の歴史でボリシェヴィキ=共産党が犯したもっとも犯罪的な政策であるホロドモール=ウクライナ大飢饉を真正面から描いています。これは簡単に言うと、スターリンがウクライナで収穫される穀物・家畜を五か年計画達成に必要な外貨を稼ぐためにすべて輸出に回し、その結果一説には1000万人以上のウクライナ人が餓死したという史実です。 ウクライナと並んでスターリンにはひどい目に遭わされたポーランド人の監督ですから、その告発の視点には鋭いところがあります。主人公のジョーンズを演じるのは、次期ジェームズ・ボンド候補とも噂されるジェームズ・ノートン。彼がウクライナに潜入して見る地獄絵図が本作のテーマのはずなんですが、そのシークエンスの尺が意外と短いのがちょっと解せないところです。実はベルリン国際映画祭で上映されたバージョンはランタイムが20分以上長く、カットされたところはウクライナでのストーリーが多かったんじゃないかと推測いたします。それでも迷い込んだ農家で振舞われたのが実は人肉だったエピソードには、もう戦慄するしかありません。この映画の演出で興味深いところは、登場人物がものを食べるシーンで咀嚼する音が強調されるところで、まさにASMR効果を狙っている感じです。 ソ連側の登場人物は下っ端ばかりでスターリンはおろか外務大臣リトヴィノフぐらいしか大物は登場しませんが、スターリンに媚びへつらう英米の著名人たちの醜悪な姿はこれでもかと見せつけてくれます。中でもピーター・サースガード演じるウォルター・デュランティの邪悪さは強烈です。彼は五か年計画を礼賛したNYタイムズの記事でピュリッツアー賞を獲得しましたが、本質はフェイク・ニュースなので受賞取り消し運動が21世紀になるまで続いたそうです。NYタイムズというメディアは、友好関係にある我が国の某新聞とよく似た体質があるみたいですね。実はこの映画で最初に登場するのはジョージ・オーウェルで、『動物農場』を執筆する姿が所々に挿入されて狂言回し的な役割を果たします。でも彼はソ連に渡航したことはないし、劇中でジョーンズと出会うシーンもありますがこれはフィクションでしょうし、オーウェルをこの映画に登場させる意義はイマイチ理解できませんでした。ジョーンズのデュランティへの反論記事を掲載させたのが、唯一ランドルフ・ハースト系の新聞だったというのは面白いところ、『市民ケーン』じゃないけど映画では怪物的人物で悪役が定番の人ですからねえ。ハーストにとってピュリッツアーはかつての商売敵、彼が創設した賞の受賞者を叩くことに血が騒いだのかもしれません。 観終わっても気分が上がるような要素は一つもないことはご警告させて頂きます。でもこれが史実なんだということは重く受け止めるべき、そして「大義のために人命が犠牲になるのはやむを得ない」というテーゼの恐ろしさを今一度考えてみるべきでしょう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-07 22:17:16)(良:3票)

467.  動く標的 フィリップ・マーロウ、サム・スペードと並んでロス・マクドナルドが産み出したリュー・アーチャーはアメリカ・ハードボイルドにおける三大私立探偵の一人といって過言はないでしょう。実はスペードは、ハンフリー・ボガードが『三つ数えろ』で演じた以外はスクリーンに登場していないのですが、何故かハーパーと改名されちゃってるけどアーチャーもポール・ニューマンが演じただけなんです。でもこのニューマン演じるリュー・ハーパー(アーチャー)は、彼の全盛期の出演だけあって渋さとカッコよさではオールタイム・探偵映画の中でもベスト1なんじゃないでしょう。 名手ウィリアム・ゴールドマンの最初期の脚本であるわけですが、ロスマク特有の複雑なプロットと心理描写を上手く脚色できなかったのは痛いですね。どこかストーリーを追うだけで必死という脚本で、いくらニューマンのハーパーが魅力的といっても映画としては高い評価はできないですね。せっかく“ハードボイルド女優といえばこの人”となるローレン・バコールも出演してるんだから、もうちょっと彼女の見せ場を作って欲しかったところです。シェリー・ウィンタースも勿体なさを感じる使い方でした。 ハーパーが目覚ましに起こされて出がらしでコーヒーを淹れるまでのタイトルバックを観てなんかデジャヴ感がありました。そう、あの有名な『傷だらけの天使』のオープニングが、ショーケンの飲んだのが牛乳という違いはあるけど進行が同じなんです。きっとこの映画が元ネタだったんですね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-04 22:24:41)

468.  新仁義なき戦い(1974) 《ネタバレ》 一応は新シリーズと銘打っているけど、一作目は完全に第一作のリメイクみたいなものだし、あとの二作は広島も広島戦争も関係ないないただの実録風フィクション。やっぱ何事にも引き際が肝心なのよ、未練がましいぞ!岡田茂。 というわけで似たような役者を揃えたリメイクを見せられるわけですが、なんと菅原文太の役名が広能昌三じゃなくて三好万亀夫に変わっている!あの聞きなれた「しょうぞう~」という呼び名が「まきちゃ~ん」となってしまっただけで違和感が満載。でもなぜか山守義雄と山守組だけはオリジナル通りというのは解せないところです。広能、もとい三好万亀夫キャラ自体は旧シリーズのムダにカッコよい感じが消えてがさつな普通のヤクザといった感じで、襲撃されたら情婦を盾にしようと画策するなどけっこう悪い奴です。話の流れは第一作とほぼ同じなんですが、どのキャラも実録的な凄みを前面に出した描き方かなとは思います。でも山守義雄=金子信雄と山守の腰ぎんちゃく坂上元=田中邦衛だけはオリジナル通りのゲスっぷり、やはりこの二人は『仁義なき戦い』には欠かせない定番キャラだってことです。 ストーリーは山守組若頭である青木尚武=若山富三郎がタマをとられてエンドですけど、結末は同じでもオリジナルとは事件での文太の係わり方が真逆なのが興味深いです。若山が演じた役はオリジナルでは松方弘樹だったわけですが、ホテルで文太と松方はしんみりしたやり取りをしたりしてどっか松方を助けたい風さえあったのに、本作では黒幕的な立ち位置ではあるけど青木殺しの推進役です。被弾してのたうち回る青木尚武=若山富三郎に止めを刺すのが松方弘樹だというのも、皮肉というかややこしい。オリジナルのラストは葬儀での有名なシーンですが、浮かない顔しているとはいえ青木殺しの成功に浮かれる山守組の乱痴気宴会に参加している文太が本作でのラストですから、その差は甚だしい。 とまあいろいろ考察してみましたが、やはり『仁義なき戦い』は四部作いや五部作で完結したと見做すのが正しいんじゃないでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-01 20:35:03)

469.  そうして私たちはプールに金魚を、 《ネタバレ》 ハイ、『ウィーアーリトルゾンビーズ』に続いて見事にわたくしも嵌りました。 ファースト・カットを観て、懐かしの『バタアシ金魚』の高岡早紀を思い出してしまいました。閉塞感にさいなまされる青春がテーマの映画としては、埼玉の狭山という町ほどぴったんこな場所はないんじゃないの、自分は行ったことないけどね。四人という主人公の数、ちょっとブレイクするけどすぐに消えてしまったアイドル、ゾンビ、モノローグ、等々まさに『リトルゾンビーズ』の原型と言えるスタイルでしょう。“学校のプールに400匹の金魚が放流された”って実話らしいけどどこがニュースになるような事件なのかは?なんですが、それを含めても何も起きないストーリーだったかと思います。冒頭とラストで『17歳』をカラオケで狂ったようにシャウトする少女たちを観ていると、『台風クラブ』のあの名シーンが浮かんできたのは私だけでしょうか? この長久允という人は二作ともサンダンスで賞を獲得するという俊英なのに、なんで日本映画界はもっと彼に映画製作させるチャンスを与えられないのだろうか?まあ私が言うまでもなく理由は明白ですけど、これじゃ韓国映画界の後塵を拝する状態が続くことは間違いないでしょう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-04-30 20:43:59)

470.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 きっちり10年後にまさかの続編製作、劇中の時間も10年後という設定みたいですね。驚いちゃったのはウディ・ハレルソンとジェシー・アイゼンバーグの容姿の変化のなさ、メイクのパワーもあったろうけどこれは拘りが凄すぎます。そして、エマ・ストーンはともかくとしても最近お姿を拝見していなかったアビゲイル・ブレスリンの大変貌!まさに太ったキルスティン・ダンストとしか言いようがないですね。コロンバスとウィチタは10年経ってもヤルことはやっていてもまだ同棲始めたばかりのカップルみたいな感じ、やっぱ時間設定も10年後としたのは失敗だったかも。考えるに製作側としては前作からさして間がないストーリーにしたかったけど、アビゲイル・ブレスリンが他の三人と違ってあまりに変貌が激しくて、止む無く現実の時間経過を取り入れたって感じかもしれません。 ゾンビ殺しのグロ度はまた格段とアップしていますが、この映画ではゾンビの生態や存在の恐怖がもうどうでも良いレベルまで低くなっているので、アフリカの野生肉食獣の生活圏でロードムービーしてるって感じすらします。まあ猛獣狩りをしてるって感覚ですかね。今回はプレスリー・ネタでやってみましたって感じでまあそれはそれで悪くないんですけど、ヒッピー・コミュニティーみたいなものまで登場して“ファミリーの絆”みたいなものが前面に出ています。感じとしてはちょっと真面目に寄り過ぎる気がして、『テッド』と『テッド2』みたいなパターンになってしまったのはちょっと残念。唯一愉しめたのは前作を観てないと絶対に理解できないビル・マーレ―のネタ、前作でのあまりに酷い扱いを帳消しにするかのような暴れっぷり、でもこういうエンド・タイトルを最後の最後まで観ないと拝めないってのは一つのパターン化していますけどなんか迷惑だよね。「面白いものをお観せしますから、どうか最後まで席をお立ちにならないで下さい」とでもテロップを入れて欲しいもんです(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-27 23:07:19)

471.  ゾンビランド 《ネタバレ》 ゾンビ+コメディ+ロード・ムーヴィー+バディムーヴィー、って感じですかね。でもそれぞれのジャンルが高いレベルでバランスを保っていて、ゾンビものとしては特筆すべき面白さ。ジェシー・アイゼンバーグとウディ・ハレルソンという組み合わせが実現できた時点で、この映画の成功は約束されたようなものです。エマ・ストーンとアビゲイル・ブレスリンの姉妹も良い味出していますけど、たしかにエマはゾンビランドを彷徨っている割にはメイク濃すぎですよね(笑)。やたらと映画の小ネタが使われていますけど、最大の映画ネタはビル・マーレーのまさかの登場。しかもあんなバカげた退場の仕方をするなんて、こんな使い方ってアリ?実際のビルの家もあんな豪邸だったりして。でもゾンビランド化してしまったのに、どうして電気が途切れることなく供給されているのかな?きっとゾンビ化した発電所職員たちが、かすかに残った人間だったときの本能に従って保守してるんですよ、絶対そうだ(笑)。タラハシーが車のドアに“3”という数字を書き込むのはどうして?何かのおまじない?トゥインキーってそんなに美味しいの?コロンバスの“サバイバル・ルール”は全部で幾つあるの?知りたい。とまあ愉しくなる要素が満載の一編でした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-24 20:34:05)

472.  ハウンター 《ネタバレ》 たしかにこれは並みの監督ならある程度の評価が貰えそうですが、ヴィンチェンゾ・ナタリが撮ってますからハードルは高くて不評を貰うことはしょうがないと言えるでしょう。たった25日で撮影されたそうですから、ナタリ自身も深く考えずにサクサク撮ったって感じです。とはいえナタリですから、とくに前半はいかにも怪談という雰囲気は良く出ていたと思います。ループする日常と判りにくいストーリーテリングが、不条理感を強めているのかな。後半は謎とき要素が強まってくるのですが、西洋怪談に特有の“悪との闘い”が前面に押し出されてくるので観てる方のテンションは下がり気味です。だいたい、幽霊が首を絞められて苦しむなんて、製作者側は大真面目なのかもしれませんが、私は苦笑するしかなかったです。リサ達はいわば成仏できないキリスト教で言うところの煉獄を彷徨っている状態、オリビア一家を救ってけっきょく天国に行けましたとさ、って言われてもこれはハッピーエンドなんでしょうかね?東洋人のこちとらとすれば、死の無常観やもののあわれを感じさせてくれないと、歓談噺にのめり込めないんです。やっぱ西洋人にそんなことを求めるのは間違ってますかね?[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-21 23:04:40)

473.  ブラック・クランズマン 《ネタバレ》 黒人刑事が主人公という共通点から『インサイド・マン』の様なポップでコメディ的な要素がある物語だろうと思って観始めたら、冒頭の活動家がアジ演説するシーンの撮り方や、終盤でハリー・べラフォンテの昔語りトークをKKK首領の演説とカットバックさせて見せるなど、これはちょっと自分が期待していたストーリーテリングじゃないなと嫌でも気づかされました。合衆国の人種対立を扇動的とすら捉え兼ねない作風で撮っていた昔のスパイク・リーに戻った感すらあります。それだけトランプ大統領という存在に怒りと危機感を持っていたってことでしょう。小中学生でもなければ大抵の人はKKK首領のデュークがトランプのカリカチュアの役目を果たしていることは理解できるでしょうが、ラストの実写フィルムでトランプ本人を出しちゃったらあまりにイデオロギー色が強くなりすぎて逆効果だった気がします。 潜入刑事ものとしては、お約束のドキドキ・サスペンスは効果的に織り込まれています。でも、アダム・ドライヴァーがポリグラフにかけられそうになるところやKKKの構成員が黒人刑事の自宅を訪ねてくるところなんかは、あれで切り抜けちゃうなんてちょっと雑な脚本構成だと思わざるを得ません。また、白人は概していわゆるホワイト・トラッシュの低レベルなキャラで、対する黒人登場人物たちは大学生などのインテリや善良なキャラばかりというのも、ちょっと型にはまり過ぎている感があります。人種差別問題を“ブラック・パワーvsホワイト・パワー”という視点に持ってゆきたいという意図も感じましたが、なんか単純すぎるように感じました。 ラストはハッピーエンドとはほど遠いカタルシスのない幕の閉じ方でしたが、これはスパイク・リー映画の持ち味でもあるので我慢しましょう。最後の実写フィルムを見せられると、50年以上経っているのにアメリカ社会は全然進歩していないことに愕然とさせられます。先般の大統領選挙の結果を見ますと、トランプは敗れたといえ国民の半数近くが隠れKKKメンバーになってしまったような感じがします。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-04-18 23:47:36)

474.  レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ 《ネタバレ》 これはどう観てもエドガー・ライトのパクりというか模倣、この頃はこういう作風が流行っていたのかな。でも主人公の二人のバディがサイモン・ペッグとニック・フロストのコンビのようなキレと魅力がないので、コメディとしてはイマイチなんです。というか、この映画は本気でコメディとして撮るつもりだったのか、ちょっと怪しい感じもします。ジミーの元カノやロッテの友人や牧師の娘など、普通ならコメディ・ロールとして使えそうなキャラを惜しげもなく退場させちゃうのはどう考えても、失敗でしょう。牧師にいたっては「えっ、あの人最期はどうなっちゃたの?」とあっけにとられてしまいます。レズビアン・ヴァンパイアが売りのはずなんですが、エロは全然大したことなく脱ぎすらなし。その割には美術やらCGには凝っているし、力を入れるところを間違っているんじゃないのかな。プロデューサーはロバート・ダウニー・Jrの『シャーロック・ホームズ』を製作する人だけど、コメディとアクションを上手く融合させるセンスには欠けているみたいです。[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-04-15 22:51:24)

475.  アトミック・ブロンド 《ネタバレ》 確かにこれは判りにくいストーリーだ。単純に言えば、西側スパイのリストを取り戻すために女スパイがベルリンに潜入するというまあスパイものではありふれたプロットなんですね。このリストの内容を暗記している東独シュタージの職員も亡命させなければいけなくなって、お話しがややこしくなってくるわけです。でも、西側の諜報員たちも誰が善玉か悪玉かが判らなくなってくるストーリーテリングは、けっこう凝った脚本ですよね、そしてシャリーズ・セロンまでもが… この映画のプロデューサーも兼ねているシャリーズに力が入りまくっているんです。かつてのモニカ・ベルッチと競う“脱ぎたがり屋”の彼女だけに、四十も半ばというお歳なのにきっちり脱ぎは欠かしません。最近はジェニファー・ローレンスというピチピチした若手の脱ぎ女王が幅を利かせているので、「まだまだ私は負けないよ!」という女優魂が伝わってきます。そして彼女のファーストカットの背中の筋肉の盛り上がり方具合の凄いことと言ったら!監督が『ジョン・ウィック』の人だからアクションのキレ味もハイレベルです。たしかに格闘シーンで動き出す前にわずかに間があく感じはありましたが、四十代の女優がここまで動ければ褒めてあげなきゃね。そして『ジョン・ウィック』のキアヌ・リーヴス以上にズタボロになってゆく肉体、痛みがこっちまで伝わってきます。使われている音楽は八十年代のブリティッシュ・パンクとネーナの“ロック・バルーンは99”、オリジナル楽曲は使われてないような感じすらしました。特に私はタイトルバックに流れるデヴィッド・ボウイの“キャット・ピープルのテーマ”には持っていかれました。 ジョン・グッドマンが演じたCIAエージェント役には実はデヴィッド・ボウイが予定されていたけど叶わなかったとのこと。これは惜しいことしました、あのラスト・シーンでボウイのバックに“Under Pressure”が流れるなんて、想像しただけで鳥肌ものですよ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-04-12 23:03:12)(良:1票)

476.  OK牧場の決斗 《ネタバレ》 “OK牧場の決闘”といえばジョン・フォードの『荒野の決闘』はじめ数々の映画の題材となった、言ってみればアメリカの“忠臣蔵”みたいなもんでしょう。そして本作は50年代を代表する二大ハリウッド・スター、バート・ランカスターとカーク・ダグラスの生涯で二本しかなかった共演作の一つでもあります。現代で言えばジョージ・クルーニーとブラッド・ピットの共演、いやこの例えはちょっと微妙ですね、ニューシネマ時代のポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの共演に匹敵すると言った方が適切でしょう。もっと共演作があった様なイメージがありますけど、二人とも独立プロを主宰する身の上で協力しあうのはなかなか難しかったのかもしれません。 フランキー・レインが唄う主題歌は全西部劇で一二を争うぐらい有名で、よく聞くと歌詞がナレーションの役目も持っているところが面白い。ジョン・スタージェスの演出はケレン味たっぷりでテンポも良いのですが、ドク・ホリディとケイトの関係以外はけっこう人間関係の描写は飛ばし気味で、ワイアット・アープと結婚寸前までゆくローラなんか前半に登場する女賭博師とは思えない、全然別人かと思っちゃいますよ。まあOK牧場の決闘と言ってもヤクザ同士の果し合いみたいなものなんですけど、決闘の朝に決戦の場に向かう四人の姿が惚れ惚れするほどカッコイイのは事実。このシーンは、よく考えると『ワイルドバンチ』のあのシーンの元ネタなんですね。 そしてランカスターを完全に喰ってしまったダグラスのドク・ホリディの哀愁に満ちたカッコよさ、これこそカーク・ダグラス生涯最高の当たり役だったと言えるでしょう。[映画館(字幕)] 7点(2021-04-09 22:23:57)(良:1票)

477.  彼らは生きていた 《ネタバレ》 ピーター・ジャクソンは実はミリタリー・マニアで、第一次大戦の複葉機が専門の模型メーカーを自ら設立しちゃうほどです。そんな第一次大戦に拘りを持つピージャクが、西部戦線での英連邦軍兵士たちの入隊から塹壕生活・戦闘・そして死までを記録フィルムだけで綴るドキュメンタリー映画です。一説によれば、話題を呼んだ『1917 命をかけた伝令』がヒロイズムに走り過ぎて大戦の実相からかけ離れている、とピージャクが怒ったのが製作の動機だったとのこと。 大英帝国は当時の欧州列強では唯一徴兵制がなく、海軍はともかく陸軍は小規模でした。開戦すると陸軍大臣キッチナー卿の呼びかけに応じて志願者が殺到して、たちまち三百万人が入隊しました。職場や学校から仲間同士で入隊してきた新兵たちを英軍は分散せずにそのまま部隊編成したので、“パル(友達)大隊”などと呼ばれたそうです。その“キッチナー陸軍”と呼ばれた新兵たちは西部戦線で大量に戦死、若者世代がごっそり消えた英国社会に大ダメージを与えて100年経っても影響が残っていると言われています。 全編が記録フィルム映像ですけど、ナレーションは一切なくて映像に出てこない生存者たちの短い語りを繋ぐ構成になっています。驚くのは志願兵たちの若さで、最年少で15歳がいたってのには驚きです。まあこの頃は「戦争はクリスマスまでに終わる」というヨーロッパ特有の戦争パターンから抜け切れていない時代だったので、彼らにしては退屈な日常から逃れられるちょっとした冒険、というぐらいにしか考えてなかったんでしょう。 序盤からCG彩色された鮮やかな色合いになります。モノクロ記録映像では気づき様もなかった戦死者や負傷者の生々しい血の色には強烈なインパクトを受けました。そして特筆すべきところは、記録映像の兵士たちの発する声が聞こえるところでしょう。なんと唇の動きを解析して言葉を復元した吹き替えだそうで、これはリアルです。クライマックスは多分ソンム会戦と思われる攻撃のところですが、ここでは当時描かれた絵画やイラストが映像に置き換えられているのは、止むを得ないところでしょう。なんせ初日だけで二万人が戦死した悪戦でしたから、記録フィルムを撮る余裕なんてなかったと思いますよ。 全編英連邦軍からだけの視点で、第一次大戦や戦史に多少なりとも興味がないと退屈極まりない映画かもしれません。しょうじき私も塹壕生活が続く三十分ぐらいまでは眠気に襲われました。でも、カメラに屈託なく笑顔を見せる若い兵士たちの大部分が“彼らはもう歳をとらない(原題)”、つまり戦死してしまったのかと思うと胸が痛みます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-06 18:54:18)(良:2票)

478.  仁義なき戦い 完結篇 《ネタバレ》 すったもんだあったけど、四作目で終わるはずが「完結編」五作目が撮られてこれにて“広島弁のシェイクスピア劇”は無事完結したわけです。皮肉にもこの五作目がシリーズ最大のヒットとなり、脚本・笠原和夫の美学に岡田茂社長の商魂が勝利を納めたってことでしょうか。前作以上に菅原文太の出番が少なく、完全に小林旭と北王子欣也が主軸となってストーリーが進行します。シリーズ中盤から登場した旭ですがどんどん存在感を増してきて、本作では押しも押されもせぬ重量感でその貫禄には惚れ惚れしてしまいます。前作からの傾向でエピソード羅列といった感じのストーリーテリングでしたが、シリーズ通して登場してきたキャラたちにも引導を渡す意図も感じました。突然に再登場してきた大友勝利でしたが、やはりここは千葉真一に演じて欲しかったところです。宍戸錠は多分に千葉の演じたキャラ像に寄せたつもりだった感じですが、ちょっとオーバーアクトで違和感すらありました。 奇しくも昨日は田中邦衛の訃報が流れました。本シリーズで、彼が演じた槇原政吉ほどシェイクスピア的なキャラはいないんじゃないでしょうか。東宝映画の人と言ったイメージが強かったですけど、東映に乗り込んで彼が演じたのは『若大将』シリーズの当たり役青大将がそのまま極道世界に迷い込んできたようなキャラ、第一作で鉄砲玉仕事を泣き落としで回避するところなんかは今までのヤクザ映画では見られなかったリアルさで、ちょっと衝撃的でした。槇原はいろいろと小ズルい動きをしていかにも卑怯者という印象が強いけど、通して見ると意外と山守義雄=金子信雄には忠実で裏切ることは最後までありませんでした。そんな槇原も歳を重ねてちょっと風格が出てきたところでついに非業の最期、この死が武田明=小林旭に引退を決意させたわけで、それなりの人物だったと言えるでしょう。RIP,田中邦衛=槇原政吉。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-04-03 22:18:49)

479.  恋愛ズバリ講座 《ネタバレ》 この映画は大手の映画会社としては日本映画史上でも前代未聞の作品です、60年前の製作ですけどその後も同種の映画は撮られていません。というのも、実はこの映画のスタッフ・キャストは全員ノーギャラ、つまりボランティアで撮られたってわけです。 時は昭和36年、新東宝の名物ワンマン社長である大倉貢は大騒動の挙句に社長の座を投げ出して経営から身を引きました。さて新体制となりましたが、資金繰りも行き詰まっていたので配給できる映画が無い!そこでスタッフや所属俳優の有志が集まってとりあえず封切館にかけられる映画を一本急いで撮ろうとなったわけです。会社の金庫は空っぽなので全員ノーギャラとなりましたが、当時の新東宝の主演クラスからわき役までほとんどが参加しています。それでも丹波哲郎や三ツ矢歌子など見えない顔触れもいます、まあ彼らの中でも温度差があったみたいですね。エログロで売っていた新東宝ですから「生まれ変わった新東宝映画を観てください!」というスローガン的な意味合いもあったかもしれませんが、出来上がったのが大蔵体制とは大差ない艶笑コメディだとは苦笑いするしかないです。 そんな経緯で完成したわけですけど、わずか七日で撮影終了したとは思えない出来なのはさすが新東宝と呼ばせていただきます。三話構成のオムニバスになっていますが、どのエピソードも『恋愛ズバリ』とは縁がないお話しなのもミソです。中でも第一話『吝嗇(けちんぼ)』がもっともぶっ飛んでいて、新東宝でもこんなシュールでシャレたコメディが撮れるんだと唸ってしまいました。だいたい、天知茂がコメディするなんて想像を超えています。彼が演じるドケチ社長が大倉貢のカリカチュアであることは明白、ここまでコケにするとはスタッフの恨みというかルサンチマン恐るべし、です。星輝美以外の出演者は全員無表情で超早口でセリフは棒読み。しかもバストショットは全部正面向いてカメラ目線、こき使われる周囲の人間たちの「ケチンボ、ケチンボ、ケチンボ…」という心の叫びを聞かせるところなんか笑っちゃいます。まるで市川崑が撮った様なアヴァンギャルドなコメディですが、天知茂の俳優人生唯一(多分)のコメディ演技をご堪能あれ。 第二話『弱気』は観ればすぐ判りますが、ゴーゴリの『検察官』の翻案というかパロディなんです。三話中では本話だけがブラック風味が希薄で、田舎が舞台というだけでほんわか風味なんですが、捻りもオチもない幕の閉め方はちょっとどうかな?って感じです、もっと薬味が必要ですよ。菅原文太の髪を七三分けにした黒縁メガネのサラリーマン姿というのは新鮮でしたが、相変わらず大根演技でした。 第三話『好色』は三話の中でいちばんブラックです。お相手を殺して次の獲物を探す結婚詐欺師の夫婦、今度の獲物は東北弁丸出しの幼稚園の保母である三原葉子だったが・・・というお話し。やはり見どころは、酔っぱらった三原が酒場でストリップ、下着姿になって腋毛丸出しで踊り狂うところでしょう。石井輝男らしくサービス精神あふれていますが、彼の盟友である吉田輝雄が本人として顔を出しているのもなんか可笑しい。ラストには意外なオチが用意されていますが、ちょっと『笑うセールスマン』に通じるブラックさがありました。三原のズーズー弁も可愛かったな(彼女は岩手県出身)、コメディエンヌとしての才能も垣間見れました。 とまあ珍品であることは否定できませんが、これだけの作品を七日で製作しちゃう新東宝の底力は認めねば可哀そうでしょう。もっともその後半年足らずで倒産しちゃいましたけどね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-03-30 00:00:43)

480.  ハッピーボイス・キラー 《ネタバレ》 これ真面目に撮ったら身も蓋もない凄惨なお話しなんだけど、ライアン・レイノルズ、ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリックスと言った若手のどちらかというと爽やかスターを起用しているので、ちょっとポップでオフ・ビートに寄せてみました、って感じです。でもネコやイヌや生首が喋るというプロットですから、それだけで誰をキャスティングしようがぶっ飛んでますけどね。レイノルズが勤務する工場がピンクを基調とした田舎の会社とは思えない妙にモダンな色使い、ピンクのフォークリフトがダンスを踊るように動くところなんか笑っちゃいます。でもなんといってもエンドロール、主要登場人物六人が鮮やかな色合いの衣装でバスビー・バークレー風のミュージカル、しかも例のピンクのフォークリフトを操るイエス・キリストまでも登場、このセンスは好きです。スラッシャー・シーンはさほど多くはなかったですけど、第一の殺人で解体した死体が肉片にされて百個近くのタッパーで積み上げられるところは、最近死刑が確定した座間の連続殺人の話しが思い出されて「おえっ」となりました。そういうポップな要素を取っちゃうと、実に正統的なキチ〇イ系サイコキラー映画という感じです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-03-27 22:32:38)

030.12%
1120.48%
2371.49%
31315.26%
42068.27%
537114.90%
646818.80%
764125.74%
844717.95%
91445.78%
10301.20%

全部

Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS