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プロフィール
コメント数 1952
性別 男性
年齢 49歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  キリエのうた 《ネタバレ》 彼女の名は、キリエ。何処からやってきたのか、誰も知らない。普段はほとんど喋ることは出来ず、人とコミュニケーションはもっぱら筆談。常に何かに怯えたような彼女は、現在住む家もなく、路上やビジネスホテルを渡り歩いている。だが、ひとたびギターを手に歌いだすと、その魂から絞りだしたかのような歌声は聴く者を圧倒し、そして深い感動を生み出すのだった――。2011年、大阪。まだ幼い少女だったキリエは、学校にも行かず、公園で寝泊まりしながら教会が提供してくれる食事だけを頼りに生活している。そんな彼女の存在を知った一人の女教師は、キリエを助けようとするのだが。2018年、帯広。17歳になったキリエは、高校生として普通に学校に通っていた。その声と内向的な性格のせいで友達もおらずずっと一人で過ごしていた彼女のことを知った同級生の真緒里。謎に満ちた彼女に何故か惹かれるものを感じた真緒里は、ある日図書館で声を掛ける。キリエの兄だという青年とともに次第に仲良くなってゆく2人。だが、キリエは心に深い秘密を抱えていて。2023年、東京。何もかもを捨て、あてもなく路上を彷徨っていたキリエ。そんな彼女が出逢ったのは、高校卒業以来、まったく連絡を取っていなかった今はイッコと名乗る真緒里だった。キリエの歌声に心を鷲掴みにされたイッコは、自分がマネージャーとなってあなたを有名にしてあげると約束する……。日本映画界の中で僕がその新作を心待ちにする天才映像作家、岩井俊二。待ちに待った彼の最新作を今回鑑賞してみました。美しい映像と気品に満ちた音楽、3つの時代を頻繁に行き来し様々な登場人物が幾重にも交錯する複雑なお話なのにそれをまったく感じさせない卓越した編集力、なによりキリエをはじめとする個性豊かな少女たちのいまにも壊れてしまいそうな儚さなど、岩井俊二らしい美質はもはや匠の技。特に、真っ白な雪の中で横たわる2人の少女がともに小田和正の名曲を口ずさむシーンは、鳥肌立つほど美しかったです。ただ、それらの美点は認めながらも一つの映画として、僕はそこまで評価できませんでした。理由は、後半の展開。それまで謎だらけだったキリエの過去が徐々に明らかとなるのですが、それがかなり強引過ぎるうえに少々詰め込み過ぎな感が否めず。キリエのお姉さんの悲劇、親友であるイッコの正体、少女時代のキリエを保護した女性教師、彼女をデビューさせようと奔走する仲間たち、そしてキリエと浅からぬ関係にある夏彦、彼らの物語が最後まで一向に纏まっていきません。なんなら破綻しているようにすら感じてしまいました。イッコが辿る悲劇的な結末は取ってつけたような印象だし、特にキリエがイッコのせいでレイプされそうになるシーンはあまりに執拗で自分は嫌悪感の方が上回ってしまいます。そして、東日本大震災の描写もあまりに浅すぎて自分は首をひねらざるを得なせん。震災が襲ってきたシーン、何故、キリエはずっと下着姿でなければならなかったのか?まったく必然性を感じられず、なんならある種の下品さすら感じてしまいました。岩井俊二、日本映画界のなかでも数少ない大好きな監督さんだけになんとも残念。次作に期待したいと思います。[DVD(邦画)] 5点(2025-04-14 12:12:57)★《更新》★

2.  クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 《ネタバレ》 舞台は近未来。体内で新たな臓器が生成されるという謎の奇病を患った男がそれを逆手に取り、自らの体内からそんな新たな臓器を摘出する手術を公開するショーを開催していた。刺激を求める観客たちに次第に熱狂的に受け入れられてゆく男。事態を重くみた政府は、秘密捜査官を彼の元へと派遣する。そんな彼らの元に、生まれつきプラスティックを消化できる器官を備えた少年の遺体が持ち込まれ……。監督は、グロ映画界の巨匠デビッド・クローネンバーグ。もはや80近いのに虚心坦懐、実直に我が道をゆく彼のグロテスクワールドは相変わらず健在。内臓ぶちまけたり男女2人で血だらけになってエッチしたり少年の遺体を解剖するとこをショーにして見せたりと、昨今幅を利かすポリコレなど爽快に無視しちゃってる彼独自の世界観には素直に賛辞を送りたいところ。グチャグチャどろどろ、変なところに変な突起のある機械の中でエッチしちゃうヴィゴ・モーテンセンとレア・セドゥとか、日本の某触手系アニメを髣髴させて大変グッド!!ただ、それに対してお話の方は何ともビミョー。え、この主人公は結局何がしたいの?彼を熱狂的に支持する人たちは単なる変態集団ってだけ?それにプラスティックを食べていた少年はいったい何の意味があったの?そこら辺、分かったような分からないようなで僕は途中から、もうどーでもいいわ!となっちゃいました。こーゆーグロい画を撮りたいという熱い想いが先行するあまり、肝心のお話の方がおろそかになっちゃったパターンなんじゃないですかね?他の追随を許さないグロテスク世界観は相変わらず良かっただけに、もう少しストーリーの方でも魅せてほしかった。残念![DVD(字幕)] 5点(2025-04-08 12:33:51)

3.  私がやりました 《ネタバレ》 有名映画プロデューサーが殺された――。豪華な自宅で無残な射殺体となって発見された男。容疑者として逮捕されたのは、売れない若手女優マドレーヌだった。同居人で駆け出しの弁護士であるポーリーヌとともに裁判闘争を開始した彼女は、自分は正当防衛であるという主張を打ち出すのだった。役者志望である自分に大きな役を与えるという餌をちらつかせ、肉体関係を迫ってきた彼を誤って射殺したのがことの真相だというのだ。目撃証言も決定的な証拠もほとんどなかったが、世論を味方につけたマドレーヌたちは瞬く間に無罪を勝ち取ってしまう。そればかりかこの裁判をきっかけに、マドレーヌは一躍人気女優に、ポーリーヌは新進気鋭の若手弁護士としての地位まで手に入れるのだった――。途端に有頂天となる2人。だが、そんな彼女たちの前に真犯人を名乗る旬を過ぎた大物女優が現れる。プロデューサーを殺したのは自分で、無罪を勝ち取り本来有名になるはずだったのは自分だと。地位と名声のために自分が真犯人だと主張する彼女たちのどろどろの戦いが幕をあげる。果たして事件の真相とは?という、ミュージカル映画の名作『シカゴ』をフランスでリメイクしたかのような内容の本作、これがいかにもおフランスって感じのウィットとエスプリに富んだオッシャレ~な内容に仕上がってましたね。ここら辺がアメリカとフランスの文化の違いって感じなんでしょうか。パステル調の色調も何処か舞台のような画作りも飄々と進むスラップスティックなストーリーも、とにかくおしゃれ!何処か百合っぽい主人公女性2人の関係性も見ていて微笑ましい限り(2人でお風呂に入ってるシーンなんてなんともキュートで大変グッド!)。ただ可愛いだけのそんな2人の前に現れる、酸いも甘いも嚙み分けたベテラン女優イザベル・ユペールもさすがの貫禄で見応え充分(てかこれって演技じゃなくて地だったり?笑)。とは言えストーリーに特段驚きのようなものもなく、最後まであまりに軽すぎるしで個人的にそこまで嵌まらなかったですが、なかなか楽しいお話でございました。[DVD(字幕)] 6点(2025-04-08 11:21:56)

4.  シミュラント 反乱者たち 《ネタバレ》 科学技術が高度に発達した近未来。人類は高性能AIを搭載した人型アンドロイド「シミュラント」に頼り切った生活を送っていた。主人である人間の命令には絶対服従、一言も文句を言わず、家事や育児、その他さまざまな仕事をこなす彼らはまさに人間の叡智の結晶のような存在だった。だが最近、そんなシミュラントの中に何故か独自に行動し持ち場から逃走する事例が多発する。彼らを追い捕獲する任務を担うケスラー捜査官は、ある一人のシミュラントを追う過程の中で驚くべき事実に気づくのだった。何者かがそんなシミュラントの安全プログラムを破り、人間に反乱するよう仕向けている――。ケスラー捜査官は事件の重要な鍵となるエバンという名のシミュラントを執拗に追い始めるのだが……。と言う、これまで何度も何度も制作されてきた、よくある近未来SF作品。こーゆーのってやはり決め手となるのは、このハードSFな世界観に如何に観客を惹き込ませるかだと思うんですけど、本作はそこら辺の設定の詰めが非常に甘く、正直ちっとも面白くありませんでした。このアンドロイドたちがどのように生み出されどんな工場で大量生産されているのか、また一民間企業がその製造とメンテナンスを一手に引き受けてるらしいんですけどこの大企業がどのような存在なのか、また政府との関係は?等々、観客がもっとも知りたいそれらの情報を一切スルーしたままどんどんとお話だけが進行してゆくので観客は途中から置いてけぼりを喰らったような感じになっちゃうんですよね。また、そのストーリーの方もよくあるお話なのに、無駄に哲学的要素をぶっこんでくるものだから極端にテンポが悪く、僕はもう序盤からあくびが止まんなかったんですけど!監督は、きっと押井守の実写版みたいなことをやりたかったんでしょう。けど、基本となる世界観の創り込みが甘すぎてもはや見られたもんじゃありませんでした。正直、凡作と言わざるをえません。[DVD(字幕)] 3点(2025-04-08 10:36:24)

5.  ポトフ 美食家と料理人 《ネタバレ》 19世紀末のフランスを舞台に、ひたすらストイックに料理に向き合う一人の美食家と料理人である彼の妻との静かな生活を淡々と描いたヒューマンドラマ。最後までまったく音楽を流さず、主要登場人物も3、4人だけ、映画のほぼ7割くらいは自宅でひたすら料理を作っているか食しているだけという、なかなかに挑戦的な内容なのにも関わらず、最後まで淡々と見せ切るこの監督の手腕はさすがと言うしかない。小鳥の囀りや虫の鳴き声、そよ風に揺れる森の樹木が奏でる葉音、そして食材を切ったり煮込んだりする調理音の中で交わされる知的でウィットに富んだ会話劇。出来上がってくる料理がどれも馴染みがないにもかかわらず、全て美味しそうに見えるのもこの監督のセンスがなせる技なのだろう。20年の時を経て、晴れて夫婦となった主人公2人を襲う悲劇も必要以上にドラマティックに描かなかったところも好印象だ。ただその反面、最後まであまりに淡々と綴られるこの2人の物語にはおそらく賛否が分かれるだろう。自分は少々退屈に感じてしまった。ユーラシア皇太子からの依頼にフランスの代表的庶民料理であるポトフで勝負するという最後の重要な場面が、何故か曖昧なまま終わってしまったのもいかがなものか。全編に漂う気品に満ちた雰囲気やストイックなまでに料理に拘った画作りなどはすこぶる良かっただけに、惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2025-03-29 19:32:31)

6.  コット、はじまりの夏 《ネタバレ》 自然豊かなのどかな田舎町で家族とともに過ごす9歳の女の子、コット。その大人しい性格のせいで学校や家庭でも孤立しがちな彼女は、いつも一人で過ごしている。牧場を営む両親は牛の世話や農作業に追われ、娘のことなどほったらかし。そんななか、現在妊娠中の母親の出産予定日が近いということでコットは親戚の老夫婦の家へと預けられることに――。僅かな荷物だけを手に、同じく牧場を営むというその老夫婦の元へと連れてこられたコット。慣れない生活と人見知りのせいで当初は固く心を閉ざしていた彼女だったが、夫婦のさりげない優しさや気遣いにふれ、次第に打ち解けてゆくのだった。そんなある日、老夫婦もまた、哀しい過去を背負っていることを知ったコットは……。アイルランドののどかな田舎町を舞台に、人とは違う多感な少女と老夫婦のひと夏の交流を瑞々しく描いたヒューマンドラマ。正直、この映画に新しい部分は一切ない。これまで何度となく描かれてきた、親戚の家に預けられる大人しい女の子というお話。昔の名作小説や、世界名作劇場のようなアニメで何度も観てきたような内容でとにかく既視感しかない。主人公を迎え入れる老夫婦なんて、もはやスタジオジブリの実写化なのかなと思えるくらいだ。でも……、ここまで丁寧に演出されるとテーマが普遍的であるがゆえ、やはり心に響くものがある。横柄で男尊女卑な昔ながらの父親が支配する家から逃れ、自由で優しい世界を初めて知ったコットが次第に心を開いてゆく一連のシーンは流れが自然なこともあり、気づいたらこのコットという少女を応援せずにはいられなかった。アイロンがけや料理など丁寧に家事を教えてくれるおばあさんや、寡黙で一見怖そうだけどたまにお菓子を置いていってくれるおじいさんなど、さりげない描写の数々が光る。緑豊かな田舎町の美しさも相俟って、この詩情溢れる世界にいつまでも浸っていたいと思わせるのはこの映画の力なのだろう。やがて明かされる老夫婦の哀しい過去。コットが、最初は男の子の服ばかり着させられていたことや井戸には気を付けてと何度も言われたこと、勝手にいなくなったら物凄く怒られたことなどが思い起こされ、何とも切ない気持ちにさせられる。コットを演じた、これがデビュー作とは思えない少女の繊細な演技がとにかく素晴らしかった。そしてやってくる別れのとき……。このひと夏の経験は、コットのこれからの長い人生できっと忘れられない思い出になった。人生の終盤を迎えた老夫婦から、これからはじまりを迎える少女へと受け継がれる物語のバトン。新味は一切ないが、人生のきらめきを詩情豊かに切り取ったこのクラシカルな物語を僕はいつまでも忘れることはないだろう。[DVD(字幕)] 7点(2025-03-29 14:11:35)

7.  マッドマックス:フュリオサ 《ネタバレ》 あのフュリオサが帰ってきた!!行って帰ってくるだけというシンプルイズベストに程があるほどシンプルな内容なのに、その最後まで衰えぬ謎のテンションの高さや完全にとち狂った世界観、そして一周回ってジェンダー問題を扱ったもしかしたら深い内容なのかもとも思わせるストーリーで観るものを圧倒したあの『マッドマックス/怒りのデスロード』。その中に登場した、もはや主人公マックスを完全に喰っていた片腕の女運転手フュリオサをフューチャーした、待望の続編と言うかスピンオフというか前日譚。もちろん期待値マッドマックスで今回鑑賞。うーん、期待値が高すぎたのか、ちょっと自分は前作ほどには嵌まれなかったかな、これ。確かに、相変わらずド迫力なカーチェイスシーンは見応え充分だし、イモータン・ジョ―軍団のイカレっぷりもサイコーだったんですけど、なんか全体的に大人しめと言うかもっとイキ切った世界観を期待してた自分としてはちょっと消化不良。やぱ、マッドマックスと言えばあのなんの意味があるのか皆目分からない、謎の吊り下げギタリストだと思うので今回あの人たちが見られなかったのも残念。あと、話がややこしー!いや、普通の映画と比べたらこれでもシンプルなんですけど、それでもマッドマックスならストーリーはもっとシンプルで良かったかも。んで、これは前日譚の宿命でもあるんですけど、ストーリーがある程度分かっちゃうのも残念。あのフュリオサが右腕を失うエピソードも、きっと故郷の地をタトゥーで彫られてるのでそれを敵から隠すために自ら右手を潰すんだろうなと思ったら、まさかの逃げ出すためだけかーい!と、いろいろ言いましたがそれでもこの圧倒的な熱量が画面の隅々まで横溢する謎のテンションの高さはやぱ見応え充分!シャーリーズ・セロンに負けず劣らず存在感を発揮したアニヤ・テイラー=ジョイもカッコ良かったしね!次作に期待を込めて、7点!![DVD(字幕)] 7点(2025-03-25 12:02:16)

8.  コヴェナント 約束の救出 《ネタバレ》 対テロ戦争真っ只中のアフガニスタンを舞台に、自分を助けてくれたアフガン人通訳を決死の思いで救い出そうともがくアメリカ軍将校を描いたヒューマンドラマ。監督は、これまで軽いノリのエンタメ映画を量産してきたガイ・リッチー。彼の長いキャリアで恐らく初めてだろう、けっこう重ためのテーマに挑んだ作品ということで今回鑑賞。幾つもの大ヒット映画を手掛けてきただけあって、リアルな戦場描写やツボを押さえたアクションシーンは相変わらず迫力満点。敵がいたるところにうじゃうじゃいる戦地で、ひたすら逃避行を続ける主人公とその相棒通訳には素直にハラハラドキドキ。画的にちょっと地味なとこが難点ではあったけれどそこは充分楽しめました。ただ、中盤、ジェイク・ギレンホール演じる主人公が一人助け出されるも相棒の通訳は現地にほったらかし、何とか帰ってきたアメリカの自宅で彼が罪悪感に悶え苦しむシーンから徐々に冷めていく自分がいました。気持ちは分かるけれど、自宅を抵当に入れさらには愛する家族まで投げうって単身一人で現地に舞い戻るというのはさすがにやり過ぎじゃないですかね。せっかくここまでリアルに拘って作ってたのに、ここらへんから一気にランボーみたいなエンタメ映画のノリになっちゃってなんか違うなって思っちゃいました。最初は反対していた奥さんも知らん間にあっさり許しちゃってるし。別にそーゆーノリのエンタメ映画もありなんですけど、それなら前半の真面目なシーンとの繋がりが悪いし、あくまでリアルに徹するならアメリカでもっとやりようがあったと思うんですよね。例えば、動画配信でより多くのアメリカ国民に事実を知らせるだとか、署名活動を行うだとか、マスコミや有名政治家に働きかけるなどなど……。そーゆ―ことを一気にすっ飛ばして自ら現地に乗り込むって、あんたさすがに無謀すぎでっせ、てね。エンタメ映画ならもっとド迫力なアクションやテンポのいいストーリーで楽しませてほしかったし、ヒューマンドラマなら2人の関係性をもっと深掘りして見せてほしかった。全体的に、なんとも中途半端な印象でございました。[DVD(字幕)] 6点(2025-03-25 11:06:31)

9.  ガール・ピクチャー 《ネタバレ》 子供の頃から続けてきたフィギアスケートの大会を間近に控え、 寝る間も惜しんで練習に打ち込む高校生エマ。良い結果が出せずプレッシャーに押しつぶされそうになっていた彼女はある日、気分転換にと訪れた友達のホームパーティーで〝その人〟に出逢ってしまうのだった。魅惑的な目で自分を見つめてくる彼女の名は、ミンミ。一瞬で恋に落ちたエマはそのまま2人でパーティーを抜け出し、一週間後には世界で一番幸せな恋人同士となっていた。重圧も忘れ次第に心が癒されてゆくエマ。だが、練習ではますます失敗が増えてゆくのだった。一方、恋人のミンミもまた誰も知らない家族の問題を抱えていて――。そんな2人を暖かく見守る、ミンミの親友ロンコ。恋愛やセックスに興味津々の彼女は、とにかく運命の出会いを求めて様々なパーティーに出かけてゆくのだが、空気の読めない自分の言動のせいでいつも失敗してばかり。果たして3人の恋と青春の行方は?そんなシンプルなストーリーに全編を彩るノリのいい音楽、そして色彩感覚豊かな映像と、一言で言うならこれまで幾度となく作られてきたセンス系リリカル映画の王道。さすがにベタすぎて新味なさすぎじゃないとも思ったけど、主要登場人物であるこの3人の女の子たちがなんとも魅力的で大変グッド!初めて付き合った恋人といつも一緒にいたい、私の人生の全て!なんて思ってしまう彼女たちの初々しさは、普遍的であるがゆえにやっぱり切ない。その後、あんなに永遠だと信じていた2人も次第に擦れ違ってゆく。ここら辺の心理描写もかなり繊細で、この哀しみはどんな性自認を持った人でも関係ないというメッセージにもいたく共感。とは言え、やはりシンプル過ぎてこれまでさんざん作られてきた百合萌え映画と何が違うねんと言われると弱いところ。でも、本作の新しいところはそんな2人の親友であるロンコの存在にある。恋愛にもセックスにも物凄く興味があるのに、頭でっかちになり過ぎていつも失敗してしまう彼女。そんな彼女の前に運命の出会いかも知れない男の子が現れる。でも、結局上手くいかなくて、最後、彼女は自分がアセクシャルかもしれないことに気づく。正直、エマとミンミの2人だけの物語として完結していたら、自分もよくある百合映画として特に印象に残らなかったかも知れない。でも、そんな彼女の存在が物語に違う深みを与えている。ピンクを多用したフルーツパーラーでちょこんと座る2人の女の子や夜の公園でダンスを踊る少女たちというキュートな画も良いセンスしている。この監督の感性の豊かさには要注目ですね。最後、それぞれの道を歩みだした3人が笑顔で語らうパーティーのシーンも心地良い余韻を残してくれます。うん、良質のガールズピクチャーでありました。このそのまんまの超ダサい邦題以外は![DVD(字幕)] 8点(2025-03-06 11:01:21)

10.  ポッド・ジェネレーション 《ネタバレ》 様々な科学技術が発展した近未来。大手企業でバリバリと働くキャリアウーマン、レイチェルは植物学者である夫とともに充実した日々を送っていた。仕事も順調、豪華な高層マンションでの暮らしも快適、夫との関係も良好。でも最近、彼女は何か物足りないものを感じていた。そろそろ子供をつくるべきなんじゃないか――。不意にそう思い立つレイチェル。だが、今の仕事から離れたくはない。そんな折、彼女はベンチャー企業が新しくはじめた画期的なサービスを知るのだった。それは、体外受精した胎児を卵型のポットの中で10ヵ月間育てるというもの。これなら産休も取らなくてすむし、出産のリスクを負わなくてもいい。さっそく話を聴きにいくレイチェル。でも、豊かな自然を愛する植物学者の夫はそんな出産は摂理に反すると反対してきて……。卵型のハイテクポッドの中で胎児を育て出産することを決意したある夫婦の葛藤の日々を軽妙に描いたSFコメディ。アイデアはなかなか良かったと思うんですよ、これ。近い将来、本当にこんなサービスが出来るんじゃないかと言うリアルな部分に目をつけたところがなかなか秀逸。出産のリスクや面倒を何故女ばかりが負わなきゃならないの?というフェミニズムな視点もそこまで押しつけがましくなくて好印象。目玉をモチーフにしたAIなど一見シュールなのにどこまでもポップな描写も、この監督の品の良いセンスが感じられて大変グッド。ただ、問題は肝心のお話の方。アイデアは良かったのに、それがアイデアのまま終わってしまってるんですよね~、残念ながら。普通、こーゆー画期的なアイデアを基に脚本を書くなら、そこから起こるであろう様々な問題や展開を拡げてお話をどんどん面白くしてゆくもの。例えば、胎児の取り違えが起こったり、人身売買など闇組織に利用されたり、生まれてきた子供に愛情が芽生えないなどの副作用が発覚したり……。でも、この映画はそーならない。ただ、ハイテクポッドで子供をつくって産みましたってだけ。最後、何故かハイテク企業の手を逃れ自分たちだけで胎児をとり上げようとする主人公夫婦もその理由付けが弱く、いまいち盛り上がりに欠ける。かといって前述したフェミニズムなテーマもサラっと流してるだけで深みはなく、アート系映画としても弱い。なんかもっと面白くなりそうなのに、すごく勿体ないなぁという感想を僕は持ってしまいました。洗練されたポップな映像やマジカルな世界観はけっこう良かっただけに、残念![DVD(字幕)] 5点(2025-03-06 09:57:31)

11.  PIGGY ピギー 《ネタバレ》 うだるような暑い日が続く真夏のとある田舎町。肉屋の両親とともに暮らす少女サラは、幼い頃から肉ばかり食べさせられてきたせいで酷い肥満症に悩んでいた。その外見と大人しい性格のせいでクラスメイトから酷いいじめを受けていることも打ち明けられず、サラは牛追い祭りが開催されるその日も一人寂しく店番をしていた。自分だって少しは夏休みを楽しみたい――。サラは、いじめっ子がお祭りに向かったのを見届けるとたったひとり、市民プールへと出かけることに。水着に着替え、スイミングを楽しむサラ。だが、そこにいじめっ子3人が帰ってくる。面白がった3人は彼女に酷い罵声を浴びせると、服とタオルを奪って去ってゆく。ほとんど裸同然で泣きながら家路を急ぐことになったサラ。ところが途中で彼女はさっき自分の服を持ち去ったいじめっ子3人が、怪しげな男に暴行を受け、血みどろになって連れ去られるところを目撃してしまう。警察に全てを話し3人を助けるべきか、それともアイツらの自業自得だと黙っているべきか。その日からサラの葛藤の日々が始まるのだった……。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、なんかすんごい変な映画でしたね、これ。演出がとにかくこってり濃厚で、主演を務めた女の子の存在感も凄くて、彼女に負けず劣らず個性的な家族もなんか圧が強くて、しかも見てるだけで汗が滲んできそうなスペインの田舎町の閉塞感もヤバくて、自分は途中から胸やけしそうになりながら観てました。でも、自分はこの雰囲気、嫌いじゃない。例えるなら、天下一品のこってりラーメンをたまに食べたくなるような、そんな感じ?冒頭、主人公に対するいじめっ子3人の胸糞悪くなるくらい壮絶ないじめも、この後こいつらに天誅が下りますよという分かりやすいフラグなんだろうなと思ったら、分かりやすいぐらいそーなったし。謎の男にボコボコにされ、拉致られたバンの中から血まみれになって助けを求めてきた3人を当然のように無視するサラに自分は、よーやった!と思わずガッツポーズ。と、ここまではなかなか面白かったんですが、問題は後半部分。さすがに脚本が支離滅裂すぎて、次第に心が離れてゆく自分がいました。主人公がやぱ3人を助けようと現場に戻ったり、いじめを知った母親が娘にダイエットを強制したり、凶悪殺人犯が何故かサラにアピールしてきたりと、全員何がしたいのかさっぱり意味不明。あの牛追い祭りから逃げ出した牛のエピソードは結局なんやってん!最後までグダグダのまま、血みどろ太っちょ少女が道で叫んで終わりって、どんなけテキトーやねん(笑)。でも、前半のこってりラーメンのような演出が妙に心に残ったのは確か。この監督、もしかしたら将来大ばけするかもね?[DVD(字幕)] 5点(2025-03-05 14:08:53)

12.  アバウト・ライフ 幸せの選択肢 《ネタバレ》 仲の良かった友人たちが次々結婚し焦りが隠せない結婚適齢期の女の子ミシェル。彼女のことが普通に好きなのにいまいち結婚に踏み切れない優柔不断な彼氏アレン。些細なことから大げんかになってしまった2人は、もはや別れるかこの先永遠に一緒になるかの瀬戸際に追い込まれていた。事態を打開するためにミシェルとアレンは、お互いの親たちを招き食事会を開くことに。だが、彼らはまだ知らない。偶然の積み重ねによって2人の両親は互いの妻と夫とそれぞれ不倫関係にあることを――。何も知らないままミシェルの家に集った二組の家族は、そんな驚きの事実にただただ呆然とするばかり。果たして子供たちの結婚の行方は?リチャード・ギアをはじめ豪華キャストを揃えて描かれるのは、そんな2組の家族の恋と人生の行方を軽妙に描いたロマンティックコメディでした。正直、自分の苦手な分野の作品なのですが、もはやレジェンド級のそんな名優たちの豪華共演と言うことで今回鑑賞。結果は…、やぱ自分は観んでも良かったかな……。あたし(オレ)たち、いったい誰と一緒になったら幸せになれるの?という、どーでもいい人たちのどーでもいいお話がひたすら最後まで続いて自分はゲンナリ。お互いの妻や夫と不倫関係にある両親が一堂に会するというこの作品の肝となる設定も、それをどーゆーふうに説得力を持たせるんだろうと思ったら、たまたま映画館にいた人がそーだったとかたまたま口説いた女性がその人でしたというテキトーぶり。さすがにこれはあかんのちゃいまっか。普通に考えたらけっこうドロドロになりそうなお話なのに最後、みんな元さやに収まって楽しい結婚式を披くことができましたとさという取ってつけたようなハッピーエンドを迎えた日にゃ自分は全員に殺意さえ芽生えそうになったぞ(笑)。まぁベテラン4人の肩の力が抜けた飄々とした演技――真面目な不思議系おばさんダイアン・キートン、女癖の悪そうな無責任男前おじさんリチャード・ギア、自分の人生後悔してばかりの小心者おじさんウィリアム・H・メイシー、そして性格のひん曲がった性悪おばさんをのびのびと演じたスーザン・サランドンとどれも各々のキャラを活かしたもので、そこは楽しかったですけどね。要は、「この映画、まったく自分の好みではなかった」ということで。[DVD(字幕)] 4点(2025-03-05 13:00:16)

13.  アクアマン/失われた王国 《ネタバレ》 曲がったことが大嫌い、悪い奴は地の果てどころか海の底まで追い詰めるアトランティスの海のヒーロー、アクアマンが帰ってきた!!今回彼が戦うのは、何千年も昔に南極の奥深くに封印された失われた王国の悪の帝王。だが、そのためにはかつて自分が牢獄へとぶち込んだ弟の協力が必要だった。なんとか脱獄に成功させた弟とともに、アクアマンは海の底から火山島まで世界を股にかけて駆け巡るのだが……。稀代のエンターテイナー、ジェームズ・ワンが再びメガホンをとったということで、今回鑑賞。前作同様、驚異のビジュアルエフェクトは素晴らしかった!!様々な海の生き物たちが和気藹々と暮らす海底都市の映像を見てるだけで、僕はもうワクワクが止まらなかったんですけど。そこから一転、巨大なバッタの群れに追い掛けられる南の島のシーンもサイコーでした。脳みそ筋肉なアクアマンと常に冷静沈着な弟くんとの正反対なバディっぷりもなかなか楽しい。まぁ内容なんてほぼナシですけどね。あまりに荒唐無稽ですけど、これはこーゆー予定調和なお話とお金のかかった映像を楽しむためのものだと割り切って観れば全然大丈夫。さすがに何千年も海底に隠れてきたアトランティス人が最後、もういいやと姿を現し国連に加盟しますと宣言しちゃったときは、余りにバカバカし過ぎて思わず失笑しちゃいましたけど。あと、あのでっかいタコ君が大好きだった自分としては、彼の活躍をもう少し見たかったかな。結論。最後まで頭空っぽで観ていられる良質のエンタメ映画でした。7点![DVD(字幕)] 7点(2025-02-28 10:27:05)

14.  ダム・マネー ウォール街を狙え! 《ネタバレ》 新たに誕生した小さなウィルスが世界中で猛威を振るっていた2021年、株式市場でも史上類をみない大きな事件が起こっていた。それは「ゲームストップ株騒動」。世界中にロックダウンが宣告され多くの小売業が苦境に立たされる中、ゲームソフトの販売や買取を主な業務とするこの会社の株が市場の注目を集めていた。何故なら〝空売り〟を主な収益源とするウォール街の大手ヘッジファンドがこのもはや潰れかけの会社を新たなターゲットに選んだからだ。金融工学という高度な手法を駆使する彼らは、これまでこの先確実に値下がりするだろう株に目をつけては莫大な利益を上げていた。株が値下がりすればするほど利益が増すという彼らの巧妙な手口は、まさにハゲタカ・ファンドと呼ぶにふさわしい汚いものだった。「俺たちの思い出が今、ウォール街の金持ちたちに食い物にされている!」――。ネット上でいち早くそう告発する投資系ユーチューバー、キティ。彼の呼びかけに賛同した、かつてゲームストップに足しげく通っていたいわゆるオタクたちは、ゲームストップの株価を少しでも上げようと皆で買い始めるのだった。すると、かつて投資ファンドのせいで人生をめちゃくちゃにされた人々や富裕層の横暴に我慢ならない一般庶民も賛同。確実に値下がりすると思われていたゲームストップ株は徐々に上昇しはじめる。当初は〝ダム・マネー(愚かな投資)〟だと高を括っていた投資ファンドも徐々に焦りの色を見せ始め…。果たして勝負の行方は?実話を基に、莫大な資金力を有する大手ヘッジファンドと彼らに草の根運動で抵抗した一般投資家たちのバトルをコミカルに描いた経済ドラマ。恥ずかしながらこのゲームストップ株騒動というものを今回初めて知ったのだが、こんなまるで漫画のような出来事が数年前に起こっていたなんてなかなかに衝撃的だった。金こそが全て、庶民の生活などなんとも思っていないまさにハゲタカのような大手ヘッジファンドに無謀な戦いを挑み、何度も挫けそうになりながらも最後はみんなで力を合わせて……なんてまさに王道少年漫画の経済版のようではないか。いやはや、なんという痛快なお話なのだろう。リーマンショック以来、強欲の名をほしいままにしてきたウォール街の富裕層にずっと我慢がならなかった自分としては、まさに溜飲が下がる思いだ。ただ、1本の映画としてみれば、そこまでカタルシスを得られなかったのが残念。事実を描くことに拘り過ぎたのか、もう少しフィクションとして面白く見せる工夫をしてほしかった。潰れかけのゲームショップを救うオタクたちという魅力的な題材をもう少しフューチャーすべきだったのでは。とても興味深い内容だっただけに、惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2025-02-26 11:02:45)

15.  ボーはおそれている 《ネタバレ》 近年まれにみる駄作。アリ・アスター、あんた、どーしちゃったの?と本人に直接言いたいくらい、独り善がりな映像とさして深くも面白くもないお話が3時間もひたすら垂れ流されるというもはや拷問のような映画でした。全裸のおっさんが路上でチ〇コ振り回しながら暴れてるシーンで観るの止めときゃよかったよー。[DVD(字幕)] 2点(2025-02-26 09:53:22)

16.  DUNE デューン/砂の惑星 PART2 《ネタバレ》 不毛な砂漠に覆われた砂の惑星デューンを舞台に、強大な力を有する帝国に反旗を翻したある一人の青年の戦いを壮大なスケールで描いたスペースオペラ第二弾。監督は前作に引き続き、我が道をゆく雄大な演出が持ち味のドゥニ・ヴィルヌ―ヴ。この人の、退屈紙一重の重厚な演出は相変わらず独走状態ですねぇ~~。前作同様、自分は開始10分で激しい眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。今や名作として名高いハードSFな原作をここまでリアルに映像化してくれただけで率直に嬉しい!!という人の気持ちも分かるけど、自分は正直、しんどかったかな……。砂漠を舞台にしてるから当然なのでしょうけれど、ずっと同じような画が続くので、自分は途中でもっと早く展開してくれ~~ともはや切実な思いで眺めておりました。だって普通の映画なら30分くらいで終わるだろう、砂漠の民に救世主として認めてもらうための砂虫試練シーンにたっぷり1時間もかけてますもん。あと、自分は原作未読なので分からないんですが、ストーリーにも「?」な部分がちらほら。特に後半、しょせん地方の小競り合いでしかない戦争に皇帝自らが出向いてくるものなの?あの禿げたマツコ・デラックスみたいな男爵は結局何がしたかったの?あと、ティモシー・シャラメ君(相変わらずカッコいい!!)もあんな簡単に皇位継承宣言しちゃって、それを周りが簡単に受け入れちゃうってどーなの?とか。まぁとんでもなくお金を掛けたであろうキレイな映像と我が道をゆく独自の世界観は確かに凄かったので、完結編となる次作に期待ってことで。とはいえこの監督のことだから、これまで以上に〝眠い人はどうぞご自由に寝てください路線〟を極めてきちゃいそうですけど(笑)。[DVD(字幕)] 5点(2025-02-25 08:19:38)

17.  カンダハル 突破せよ 《ネタバレ》 世界各国の危険な地で人知れず諜報活動に従事する特殊工作員トム・ハリス。常に命の危険と隣り合わせの難しい仕事を成功させてきた彼の今回の任務は、反米国家イランの核開発施設を爆破すること。秘密警察に目を付けられながらも何とか成功させたトムは、久しぶりの休暇を得るため、空港へと向かうのだった。ところが搭乗直前になって彼に新たな任務がくだされる。まだ疲労は癒えてなかったが、トムはそのまま政情不安に揺れるアフガニスタンへと向かうことに。だが、入国早々、彼は懇意にしていたジャーナリストの内部告発によって全世界にその正体が明らかにされてしまうのだった――。復讐に燃えるイランの精鋭部隊、機密情報を狙うパキスタンの諜報当局、権力掌握を目論む反米武装組織タリバン、そして人の命などなんとも思っていない地元の軍閥たちが彼の行方を追い始める。なんとしてでも脱出を図りたいトムは現地でたまたま雇った通訳の男とともに遠く離れたカンダハルを目指すのだった。30時間後に離陸するという英国軍の飛行機に乗り込むために……。実際にCIAで働いていたという職員が脚本を執筆しただけあって、この全編を覆うひりつくようなリアリティには圧倒されました。常に砂塵が舞う現地でのアクションシーンはまるで本物の軍隊やテロリストの映像を見ているかのような緊迫感で見応え充分。男臭い役をやらせたら右に出る者がいないジェラルド・バトラーと過去の出来事から軍閥組織に激しい怒りを燃やす現地通訳とのバディっぷりもベタながらなかなか良かった。ただその半面、ひたすら同じような画が延々と続くため、途中で飽きてきちゃうのが本作の弱点。彼を追う幾つもの組織がみな同じような髭もじゃの男たちばかりで誰が誰だか分からなくなるのもマイナスポイント。この敵の皆さんがただ主人公の命を狙ってるか拉致したいかだけなのに、そのせいでお話が無駄にややこしくなってしまっている。これなら別に敵組織はイランの精鋭部隊だけで良かったのでは。あと、これは本作の最大の問題点。途中、夜の砂漠を舞台にしたアクションシーンになるのですが、画面が暗すぎてほとんど何してるか分からんかったんですけど!!ほぼほぼ真っ暗過ぎて、テレビの電源が落ちちゃったのかと思ったぞ!監督や撮影をしたスタッフは、もはやプロとしてどーなのかと思うくらい。自分はもう観るの止めようかとさえ思っちゃいました。この全編を貫くひりひりとした緊張感は良かっただけに、そんな初歩的なところでつまずくなんて残念としか言いようがない。[DVD(字幕)] 5点(2025-02-19 08:20:45)

18.  NOCEBO ノセボ 《ネタバレ》 世界的なアパレルメーカーで子供服のデザインを担当するクリスティーン。ファッションショーの準備やフィリピンの現地工場の視察など、毎日世界を忙しく飛び回る彼女は、愛する夫と可愛い盛りの一人娘にも恵まれ、公私ともに充実した毎日を送っていた。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。仕事の最中、酷い皮膚病におかされたダニだらけの犬が目の前に現れ、なんと彼女にダニを巻き散らしてきたのだ。有り得ない事態に悲鳴を上げるクリスティーン。だが、それは彼女の幻覚だった。以来クリスティーンは、原因不明の痙攣や麻痺、そして記憶障害や幻覚などに悩まされることになる。果たして原因は何なのか――。そんな折、頼んだ覚えもないのに、自分に住み込みで雇われたという乳母ダイアナが訪ねてくる。不審に思いながらもダイアナを迎え入れるクリスティーンだったが、彼女が作る手料理は思いのほか美味しく、掃除も丁寧で子供の世話も行き届いていた。なにより、フィリピンにルーツを持つというダイアナの民間療法はクリスティーンの原因不明の病を和らげてくれる効果があった。徐々に信頼を寄せてゆくクリスティーン。だが、それ以来彼女の周りで不審な出来事が多発してゆき……。監督は、前作『ビバリウム』で強烈な印象を残してくれたロルカン・フィネガン。相変わらずこの人は、人をいや~~~な気持ちにさせるのが巧いですねぇ(誉め言葉!)。冒頭、主人公のもとを訪れる皮膚病で全身爛れちゃってる犬のシーンから掴みはバッチリ。あんなきちゃない犬がブルブルしておっきなダニを巻き散らした日にゃ、画面のこちら側にいるはずの自分も思わず防御姿勢とっちゃったよ(笑)。そこからはもう最後までただ淡々と、生理的嫌悪感が半端ないエピソードがキレイな映像でひたすら綴られてゆきます。夜寝てたらでっかいダニが足元から這い上がってきたり、一緒にダンスしてた子供たちの顔がいつの間にかできものだらけで爛れちゃってたり、口の中から粘液にまみれた小鳥が出てきたり……。神経質でヒステリー爆発な母親をリアルに演じたエヴァ・グリーンがまさに嵌まり役で、終始悪寒&冷や汗がヤバかった。でも、なのに惹き付けられるのはこの監督のセンスの良さがなせる技なんでしょう。この気持ち悪さがクセになって、後半は逆に心地良くなってる自分がいました(ドM?笑)。んで最後も強烈なバッドエンド。まさかエヴァ・グリーンがあんなことになっちゃうとは……。まぁ肝心の事の真相が容易に読めるうえに、物語の肝となる乳母の動機がちょっと弱いかなという弱点は目につくものの、人の神経を逆なでするようなこの独自の世界観は充分堪能できました。[DVD(字幕)] 7点(2025-02-19 07:11:44)

19.  オペレーション・フォーチュン 《ネタバレ》 英国諜報部の凄腕エージェント、フォーチュンとその仲間たちの世界を股にかけた大活躍をゴージャス&エレガントに描いたスパイ・アクション。人気俳優ジェイソン・ステイサムが主演、肩の凝らないエンタメ映画を幾つも撮ってきたガイ・リッチーが監督を務めたという本作、観る前から予想した通りの超王道作品でしたね、これ。良く言えば最後まで安心して楽しめる娯楽大作、悪く言えば新味のないいつものような内容のマンネリ映画。確かに何も考えずに最後までぼちぼち楽しめましたけど、さすがにこれまでと同じようなストーリー&アクションシーンが多すぎて僕は後者の印象の方が強いかな~~。この作品ならではという目新しい部分が一つくらい欲しかったところ。とは言え、ジェイソン・ステイサムのアクションは相変わらずキレが良かったし、天才ハッカー美女をはじめ仲間たちも華があって魅力的だったし、ヒュー・グラントとジョシュ・ハートネットのまるで漫才のような掛け合いも楽しかったしで、そこら辺はまあまあ楽しめました。結論。良くも悪くも3日で記憶から消え去りそうな薄味エンタメ映画でございました。[DVD(字幕)] 6点(2025-02-07 08:56:37)

20.  ウォンカとチョコレート工場のはじまり 《ネタバレ》 あの摩訶不思議なチョコレート工場の支配人ウィリー・ウォンカが帰ってきた!!カラフルでマジカルでとっても美味しそうなお菓子に苦みの効いた一片の毒を盛り込むあの天才ショコラティエに待望の続編登場、と言ってもこれは彼がまだ工場を造る前、駆け出しの若手職人だったころのお話。ロアルド・ダールの有名な児童文学を原作に天才映像作家ティム・バートンが創り上げた名作『チャーリーとチョコレート工場』が大好きだった自分としては、やはり外せないなと今回鑑賞。とはいえ、実は自分、そんなに期待してはいなかったんですよ、正直。だって監督が僕が大嫌いな『パディントン』を撮ったポール・キングだったから。あの毒にも薬にもならない、ただただ家族で安心して楽しめるほのぼのファンタジーに、「子供は親のゆうことをよく聞くように」みたいな説教臭いメッセージを織り込む作風がすんごく嫌いでした。ティム・バートン版のような、いけ好かない子供はチョコの海に溺れさせたりまん丸に膨らませたり焼却炉に放り込んだりしてた毒の塊のようなブラック・ユーモアはどこへやら。本作も『パディントン』と同じく家族で安心して楽しめるほのぼのファンタジーに仕上がっておりました。でも……、超一流のメンバーをそろえて制作されたであろう本作、ここまで徹底的にエンタメに徹して創られるとちょっと圧倒されますわ~。イントロを聴いただけでワクワクが止まらない音楽に一糸乱れぬダンスアクター、細部まで徹底的にこだわって造られた独自の世界観、そしてウォンカをはじめとする魅力的なキャラクターたち……。今回もやはりそこまで好きにはなれなかったけど、ここまでエンタメ映画としての底力を見せつけられると素直に脱帽です。悔しいけど、この監督の実力はやぱ確かなんでしょうね~。うん、負けました!7点!![DVD(字幕)] 7点(2025-02-05 11:50:30)

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