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タイトル名 |
蛇イチゴ |
レビュワー |
ボビーさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2008-06-27 00:05:33 |
変更日時 |
2008-06-27 00:08:30 |
レビュー内容 |
この作品から最も強く感じられることは「正しさ」とはなんだ?という想いでした。正解のない世の中で、何が間違ってるかもわからなくなります。そんな想いが最も伝わるのは、主人公の教師をやっている妹の感情でした。彼女は序盤で、マスダ君という少年の母親が実際に病気であるかも確かめずに、自分の意志や考えを信じ切っているからなのか、自分なりの答えを押しつけてしまいます。物事には、どんなことでも多面性があり、「これはこうだ!」なんて一方の事実から得た情報で決めつけることはあまりにも危険なことだと思っています。だからそれをしていた彼女の真面目さというか、正しさを追い求める姿がどうなっていくんだろうというのが最も興味深い作品でした。自分の家族や仕事、そして自分自身を信じていた彼女は、その全てが離れていき、そして自信を失っていきます。自分は「正しい」と信じたい彼女の思いがよく伝わってきます。だから、終盤で兄を裏切る走るカットと電話のシーンが痛々しく感じられたんだと思います。その後の鼻歌が力強かったのも理解できました。そして、ラストシーンで蛇イチゴが食卓の上に置いてあるそれを見た彼女の失意の表情。親に裏切られても、婚約者に裏切られてもへたり込みはしなかった彼女がへたり込むという事は、自分自身に裏切られた、あるいは自分自身への信頼の喪失を描いていたのかも知れません。自分自身を見失うことはそれこそ、生きた屍だと思います。巧いなぁ~と思いましたが、できればその失意から這い上がってくるところの方が見たかったです。「ゆれる」ではそれが描かれていたように思うので、個人的には「ゆれる」の方が面白かったです。 |
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