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タイトル名 |
シテール島への船出 |
レビュワー |
鱗歌さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2011-02-22 23:22:35 |
変更日時 |
2011-02-22 23:22:35 |
レビュー内容 |
映画の中心に置かれている物語は、まー言ってみりゃ「頑固ジイサンが帰って来て、ひと騒動」ってヤツですが。しかしこれが、まるで神話のごとくゆったりとした時間の中で描かれ、しかもその「神話」が「神話」のままでいることができず、現代社会の中で居場所を失っていく。それがもうタマランのです。かつての闘士であり今は亡命者である「父」。歴史そのものでもあり、神話でもある。また現代に生きる主人公にとっても、自らの存在のルーツとして、心の一部に巣食って離れることのない存在。その「父」、亡命先から帰ってきた「父」は、周囲から追い立てられ、この国にも居られず、亡命先にも受け入れられず、居場所を失っていく。ただ「母」だけは、その「父」にかつて捨てられながらも結局は彼を無条件に受け入れていく。美しいシーンのオンパレードなのですが、ラストシーンは涙無しでは観られない、その美しさと切なさは特筆モノ。こりゃ『シテール島への船出』というより、ほとんど“補陀洛渡海”の世界ですな。 |
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