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タイトル名 |
天使と悪魔 |
レビュワー |
onomichiさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2009-08-09 21:21:34 |
変更日時 |
2009-08-09 21:34:29 |
レビュー内容 |
作品のメインテーマである宗教と科学という問題は個人的にも興味深いタームである。小説の中のローマ教皇はそれが融合されることを望み、犯人はそれを拒否する。事件は全てそこから生まれた悲劇と言えよう。 僕はこう思う。日本的発想かもしれないけど、宗教(神という概念)はそもそも細部に宿るものだ。またそれは全ての究極の果てにおいて否が応でも関わってくる。ビッグバン以前、高密度の物質と真空エネルギーのインフレーションは、その空間と時間の始まりのゼロ地点→特異点という問題にぶつかる。近年、それはトンネル効果であるとか、量子ゆらぎであるとか、いろいろ言われているが、要はこれが「神のひと押し」であり、科学の限界の先の物語なのである。そういう神懸り的な(人知の及ばない)領域は、宇宙の始まりだけでなく、量子論や生命科学にも存在する。(池谷裕二の最新本はそのことをよく教えてくれる) 全てのフォアフロントにこそ、神は「見出せる」のではないだろうか。 宗教と科学は乖離とか融合とかを意図するものではなく、元々が同じ領域のものである。(特に日本では宗教こそが鎮魂の為の科学だった) この作品ではその認識の違いが最初の死者を生み、死者が十分に理解しながら、犯人が最後まで理解できなかった点となっている。
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