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タイトル名 |
フラガール |
レビュワー |
鉄腕麗人さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2006-10-01 18:19:36 |
変更日時 |
2006-10-03 23:33:40 |
レビュー内容 |
本当に良い映画というものは、そのファーストシーンから観客を包み込む。 最初のシーン、福島の“なまり”で語り合う少女たちが映し出された瞬間、「ああ、これは良い映画だ」と思った。
毎度のことであるが、映画が“良い映画”であるほどに、こうやって感想を紡ぐことは困難で、むしろナンセンスだとさえ思う。 節々で溢れ出る涙と反比例するように、映画を語るにたる「言葉」は出てこない。
それは、この映画が、その中で描かれる人生が、決して「理屈」ではないということを物語っている。
この映画は、昨今流行りのストレートな“スポコン”では留まらない。 廃れゆく炭鉱のまちで、自分が生きるため、家族を生かすため、まちを守るため、彼女たちは未知なる舞台へと上がる。 まったくの素人集団が、荒涼とする寒空の中ひたすらにレッスンに励み、困難と別れそして数々の笑顔を経て、紛れもないフラダンサーへと成長していく。ただその姿を見るだけで、感情は激しく揺さぶられる。
東京から流れてきた女流ダンサー(松雪泰子)、廃れゆく炭鉱の中で新しい時代に踏み出そうとする少女(蒼井優)、かつての隆盛の時代から炭鉱に生き続けてきた母親(富司純子)、という三様の女性の視点からこの映画の物語は紡ぎだされる。 その他の女性たちも含めて、それぞれの感情がぶつかり合い、混ざり合うことによって、物語は濃厚な広がりを見せる。 変化する時代と環境に対し、しっかりと向き合おうとするそれぞれの“女性の強さ”こそ、この映画がもっとも雄弁に語るものだと思う。
厳しく悲しい実情を抱え、それでも尚、自分たちが立つべき舞台に凛と立ち、ひたすらに踊り、絶えずスマイルを放ち続ける“フラガール”たちの姿そのものに、涙が止まらなかった。スバラシイ。
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