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SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム - 鉄腕麗人さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム
レビュワー 鉄腕麗人さん
点数 10点
投稿日時 2012-05-09 15:29:03
変更日時 2012-05-13 23:31:09
レビュー内容
12年前か13年前、高校の文化祭で12人の友人たちと体育館のステージの上で歌って踊った。
ふいにその時の写真を見てみると、思わず苦笑いをしてしまうけれど、どうしたって忘れられるわけがない思い出だ。
あの過ぎ去った時間は、やはり自分にとって大切な“輝き”なのだと思う。

前作「SR サイタマノラッパー」とストーリーのプロット自体は殆ど同じで、主人公の性別を男から女に変えただけの“二番煎じ”と言えなくはない。
しかし、僕はこの続編に一作目には無かった抑えきれないエモーションを感じずにはいられなかった。

この映画で描かれた主人公たちの過ぎ去った“輝き”と自分自身のそれとがオーバーラップしたことは、その大きな要因だろう。
けれど、決してそれだけではなかったと思う。

借金返済、失恋、堕胎、傷心、喪失……20代後半の彼女たちが抱える問題は様々で、この映画の中でそれらの問題が総て解決されるわけではない。
むしろ、殆どの問題を丸々それぞれが抱えたまま、映画は幕を閉じる。

しかし、少なくとも彼女たちは、如何なる時も自分たちが“何か”を決断し、実行しなければ、この先を生きていくことが出来ないということをよく知っている。
そのそれぞれの姿は、決して美しくも格好良くもないけれど、根本的に幼稚な「男」に対して圧倒的に“オトナ”で、故にとても凛々しく見えた。


ほころびは非常に多く、決して完璧な映画ではない。故に鑑賞直後の評価は“充分満足”した上で8点とした。
しかし、気がつくと「シュッ、シュッ、シュッ~♪」と口ずさみ、YouTubeで「B-hack」のPVを繰り返し観ていた。
「ああ、これはやはり“特別”だ」と自ら思い知り、点数をつけ直した。


エンドロール、主人公はリリック書き直した曲をヘッドフォンで聞きながら、母校をはさむ川沿いを歩いていく。
その姿には、かつて確かにあった“輝き”を懐かしみつつも、経てきた時間の距離を認め、“今の自分”を認める強さを感じた。

“ハートのロイヤルストレートフラッシュ”が出揃うハズがないことを彼女たちはとうに知っている。
でもだからと言って立ち止まっていい理由にはならないし、立ち止まってなどいられない。
本編のラストカットに映し出されるままに、傷つき、小さく輝き、彼女たちは“何でもない道”を少し胸を張って歩いていく。
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