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タイトル名 |
ドラッグ・ウォー 毒戦 |
レビュワー |
鉄腕麗人さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2015-09-27 23:29:27 |
変更日時 |
2015-10-06 14:51:39 |
レビュー内容 |
映画ファンとしては恥ずべきことだが、監督作品50本以上という香港の名匠ジョニー・トーの映画世界に触れてまだ日が浅い。 鑑賞数は今作でまだ3作目。実は、まだまだこの監督の世界観の本質が掴みきれていない。 ただ、共通することは、三度とも「この映画は面白いのか?面白くなかったのか?」というとても基本的な鑑賞直後の判別がつかなかったことと、それに伴う“ざわつき”みたいなものが心にジワリと残るという独特な後味だった。 つまるところ、これほどまでに“一筋縄ではいかない”作品を作り続ける映画監督もなかなかいないということだ。
今作も、まさに“独特”。 ストーリーの概要は、“麻薬を取り締まる公安警察と麻薬密売組織との攻防”であり、題材としてはハリウッドをはじめとして世界中で作り続けられている普遍的なものと言えるだろう。 が、描き出す人と、描き出される国が違うとこうも“異質”な映画になるものかと、唖然としてしまうくらいにこの映画のオリジナリティは際立つ。
何と言っても、キャラクター描写が異質だ。 通常の娯楽映画であれば絶対にあるはずの登場人物同士の“関係性”が、意識的に排除されている。 代わりに、個々のキャラクターにおける生々しい人間性が、まさに飾り気のないありのままの姿として強く描き出される。 決して綺麗事ではないその様は、不格好で、愚かしく、汚らしいが、それ故に「人間」を正直に描き出しているとも感じられ、潔い。
前述の通り、鑑賞直後は“どういう映画”を見せられたのか理解が追いつかないくらいに戸惑い、果たして自分はこの映画が面白かったのかどうなのか判別がつかなかった。 そして、一晩よくよく映画世界を振り返ってみて、数々の印象的なシーンがフラッシュバックされると共にようやく確信する。
「ああ、面白かったな」と。
この独特な面白さはまさに麻薬的だ。危険で刺激的な感覚はきっとクセになる。“中毒者”になってしまうのにそう時間はかからないだろう。 |
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