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タイトル名 |
紀子の食卓 |
レビュワー |
まさかずきゅーぶりっくさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2008-03-23 18:04:17 |
変更日時 |
2008-03-23 18:48:40 |
レビュー内容 |
出演陣の熱演に圧倒され、160分間があっという間に感じる作品。しかし脚本は決して面白いものではない。紀子と妹は、一体何がそんなに不満だったのか?廃墟ドットコムにどんな居場所を見出したかったのか?上野駅54は何をどう復讐したくてレンタル家族という仕事を始めたのか?分からない事だらけであるが、人の内部に潜む「孤独、不満、虚構」を痛いように突いてくるのはさすがだった。
しかし人がアイデンティティを考え求めた時に、容易に哲学的な問題提起をしてカルトな方向に進むのはあまり好きではない。女子高生の集団自殺に代表されるような、自分の不安が払拭し、精神的に受け皿を見つけられた先の死であればそれは良いのではないかという雰囲気は、ある意味「逃げ」でもあり正しい答えでもない気はするが、そこは賛否両論あるのかもしれない。
終盤、不満を持って蒸発した姉妹と絡む上野駅54が少しだけ素の顔を見せる。しかしコインロッカーに預けられ愛情を知らない彼女が、その微妙な心情の遷移があまり丁寧ではないので強引な気がした。但し、本音を語り合っても1つにはなれない家族、取り戻せない時間という結末は残念ではあったが現実にもありうるかなと想像するとぞっとした。印象的だったのは、数年ぶりに父親に再会した時の姉妹を演じた吹石一恵と吉高由里子の2人が、タンスの中から出てきた父に気付いた時のショット。背中しか映していないのに確かに演技をしているように見えた。凄惨な数々のショットよりも遥かに強烈だった。 |
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