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タイトル名 |
十戒(1956) |
レビュワー |
かわまりさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2020-03-29 01:17:12 |
変更日時 |
2020-03-31 05:25:52 |
レビュー内容 |
むかしむかしあるところに… ヘブライ人という人々が住んでいました…。とお話を始めるのが本来なら適当かと思います。本作品はエジプトナイル川のほとりで「ファラオ(王)がわたし達ヘブライ人の男の子を皆殺しにする命令を出したけれどこの子だけは。。。」と母と娘が生まれたばかりの男の子(後のモーゼ)をバスケットに入れて川に流すシーンから始まります。ヘブライ人(ユダヤ人)はナイル川の恩恵で生産性が上がったエジプトに労働力として移住してきたようですが、この民族は他民族と異なり、原始多神教ではなく唯一絶対神を信仰し、後年世界宗教となるキリスト教とイスラム教の間接的な始祖、ひいては法律や科学の基礎を築く民族になるのです。さて、お話しはほとんど終盤までユル・ブリンナー演じるファラオがこれでもかこれでもか、と言わんばかりにモーゼとヘブライ人を弾圧する内容に終始しますが、その過程でモーゼの杖が毒蛇に変わったり、モーゼが神の声に導かれたり等々、それはモーゼとヘブライ人達が「そうだ。われわれは神に選ばれている。われわれは世界の創造者たる唯一絶対神を敬う民なのだ!」と民族の自覚を獲得していく過程なのです。そして最後近くで神からの十ヶ条の戒めを与えられたモーゼが「規則なくして自由はない!」と宣言しますが、これこそ現在、宗教を問わず国家の基本となっている法治主義の起源なのです。数々の奇跡のスペクタクルが目を楽しませてくれる作品ですが、現在先進国に住むわたし達が当然と受け取っている考え方の源流を探ってみると面白いです。 |
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