|
タイトル名 |
スウィート・ノベンバー |
レビュワー |
港のリョーコ横浜横須賀さん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2007-01-13 18:54:35 |
変更日時 |
2014-04-10 16:28:42 |
レビュー内容 |
出逢うはずのない二人が期間限定で恋人になる。 破天荒で天真爛漫な彼女だが、実は病魔が彼女を蝕んでいた…というよくある設定。 でもこれは”愛”を前面に打ち出せる良いスパイスなので、悪くはない。
観賞当時、私は10代でした。 まだまだ若さ故の未熟さがあったせいか、最終的に彼女が彼の元を 去ってしまう理由が長らく理解できずにいました。 「今までの誰より愛し、心から一緒にいたいなら、一緒にいればいいじゃない!」 そんな風に憤り、すべてが彼女のワガママに終止した、としか捉えられませんでした。
でも、今なら彼女の気持ちが少し分かるんです。 多分「本当に心から愛した人だからこそ」の決断なのでしょうね。 もし彼女が病気じゃなく、普通にこの先も長く生きていられたのならば、 彼女は彼と一緒にいる道を選んだかもしれない。 いや、恐らくそうしているでしょう。 でも、長く一緒にいられないことは既に分かっている。 そんな状況で、自分の気持ちの赴くままその道を選んだとしたら、 二人を待っているのは「死別」しかない。 そして彼に残るものは「絶望」と「虚無感」だけ。 彼女はそれを分かっていたからこそ『想い出は綺麗なまま遺す』という選択をしたのでしょう。
1ヶ月という期間も、また絶妙です。 確実にお互いが楽しい毎日を送れるラブラブ期間ですから。 そして毎年11月になれば、彼は彼女のことを思い出す。 彼女は「別れの悲哀」と引き換えに、彼の記憶の中で「永遠に生き続ける自分」を得たのでしょう。
人が愛の前で純粋になったり、素直になればなるほど、 悲しい想いや現実は表裏一体で影を潜めているのかもしれませんね。 「愛し合っている」だけじゃダメで、二人の”障害”に目を向けずに突っ走れば、 最後に傷つくのは結局お互いなんです。
「大人の恋」とは「清濁併せ呑んだ決断ができる愛の存在」を云うのかもしれません。 この映画は、ちょっと歪な大人の不器用な愛と慈しみが、美しく描かれているお話でした。 |
|
港のリョーコ横浜横須賀 さんの 最近のクチコミ・感想
スウィート・ノベンバーのレビュー一覧を見る
|