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タイトル名 |
ルックバック |
レビュワー |
タコ太(ぺいぺい)さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2025-02-17 18:35:23 |
変更日時 |
2025-02-17 22:09:40 |
レビュー内容 |
原作未読です。なのであくまでも本作を鑑賞しての感想です。ただ、本作は原作を読むべきという気もします。原作者の意図を読み違いしたくないから。
物語自体は(衝撃の展開までは)結構ベタな展開だと思います。主人公の慢心、思いもしない存在との出逢いによる挫折、その対象から得る意外なエネルギー、そしてあざとさ、更には後悔の念。結構ベタです。
ただ、作画表現と言えばいいのでしょうか、そこが非常に繊細で惹き込まれます。恰も実写作品の中で生身の俳優が演じているようなリアリティがあります。正直なことを言えば、この画風自体は好みではありません。画風を見て鑑賞を止めてしまうぐらいに好みではないです。しかしながら、それを忘れて魅入ってしまいました。個人的な好みを忘れさせてくれるだけの魅力あふれる世界でした。
なので、二人が道を違えてそれぞれの夢を追っていくくだりまでは一定のアルアル感に包まれつつも感情移入を惜しむことなく没入していました。
そして衝撃の悲劇的展開。と言っても、具体は兎も角としてこの悲劇はある程度予想していたと言うか、シンプルに再会して新たな希望の未来を手にするなんていうベタベタな展開などあるはずもないとは思っていました。しかしながら実在の事件をモチーフにしているかの如きアクシデントに見舞われるとは。
原作者の思い入れは知りません。本作の作り手の思い入れもまた然りです。なので、不用意に無責任なことを言うべきではないと思いますが、それでもやはり今ここに実在の事件を想起させる事態を挿し込んだことには疑問を禁じ得ませんでした。
一つの道に邁進する方にとっての感覚と、蚊帳の外の人間が抱く感覚が異なることは止むを得ないことでしょう。ですから勿論否定も肯定もしたくありません。ですが、正直疑問でした。
ただし、そうは言いながらも、終盤の(ちょっぴりタイムリープ感が漂い運命論的でもある)マルチバース的視点に基づく展開は感動的でした。人は誰も身近で何か重大なことが起きると「自分のせい」と思ってしまいます。寧ろ思いたくなります。自己の客観視は容易ではありません。ただしそれは両刃の剣。本作では主人公は悲劇とそれに伴う自責の念をバネにしてこれからの人生に力強く踏み出して行くのだと思いました。
いろいろと書きましたが、総じて言えば佳作であることに間違いないでしょう。ただ、ある意味観る人を選ぶのかなと思えてしまいました。私にとっては「感動的なアニメですが感涙はしなかった」という作品でした。 |
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