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雲のむこう、約束の場所 - よしのぶさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 雲のむこう、約束の場所
レビュワー よしのぶさん
点数 5点
投稿日時 2009-11-09 15:27:34
変更日時 2009-11-09 15:27:34
レビュー内容
日本が南北分断し、北海道が蝦夷と呼ばれる独立国。そこにそびえるユニオンの塔は平行宇宙により世界を書き換えるという超絶兵器。平行宇宙はどういうわけか緩やかにしか機能せず、ほとんどが佐由理という少女の夢の中に吸い込まれる。佐由理は原因不明で3年間眠り続けており、彼女が目覚めると世界が滅びる。浩紀は佐由理を目覚めさせるために、自作の飛行機で塔に侵入。佐由理は目覚め、直後爆弾を発射、塔は崩壊する。塔はかつて浩紀と拓也のあこがれの場所で、いつか飛行機で佐由理をそこに連れてゆくと約束していた。説明不足が目立つ作品だ。佐由理の特殊さは、塔の設計者が佐由理の祖父だからとしか説明がない。爆弾一発で崩壊するなら、いつでも簡単に攻撃できたはず。なんともあっけないラストだ。塔の開発者は登場しないし、あの塔が製作できたなら、もっとすごい兵器を持っていてもおかしくないはずだが、それもなし。しょぼい世界観。そもそも戦争だ、宣戦布告だと騒いでいるのに、登場人物の緊張感のないこと。拓也と研究員の女の恋愛は物語に絡まないのでカットすべき。全体に危機感がないので、だから観ていてのめり込めないのだ。また浩紀と拓也のバイト先の社長岡部がテロリストの親分であったり、拓也の通う研究室の室長と岡部が旧知の仲だったり、拓也が国家保護下の佐由理を研究室から簡単に連れ出せたり、中学生二人がジェットエンジン飛行機と製作できたりと、いい加減なご都合主義も目立つ。二人のうちどちらかが特殊能力を持っているとか、権力を利用できる立場にあるとかすればよかったのだ。浩紀と佐由理が夢でつながっているのは愛があるからと説明できるが、計画に反対だった拓也の態度が急に変わったのはどう説明できるのか?加えて、時間軸の違う断片を細切れに見せられるので、観ていて疲れる。もっと整理できたはず。ラストだが、戦争が始まってから飛行機が出るのでは遅いだろう。戦争を回避するために塔を爆破させるのなら理屈は通るし、感情移入しやすい。結局彼らは戦争に一役買っただけだ。青臭い学園恋愛映画としてのエッセンスは備えていて、そこが救いだ。回想シーンで始まるので郷愁を誘い、昔の約束を守るという主題が良い。バイオリンの小物も上手に使っている。恋愛メインで、SF戦争ものをスパイスに使うやりかたが間違っている。SF戦争メインで、恋愛を絡める程度でよかったのだ。
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