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タイトル名 |
自転車泥棒 |
レビュワー |
よしのぶさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2010-12-27 00:47:58 |
変更日時 |
2010-12-27 00:47:58 |
レビュー内容 |
過去に自転車5台盗まれた経験あり。スーパーでアイスを買って出てきて、自転車が無くなっていたときは茫然とした。警察は探してくれず、自分で探すしかないのは同じですね。◆この映画は絶望的に見えるが、救いがある。第1に父親には仲間がいて、同情してくれ、一緒に探してくれた。友達は大切だ。第2に自転車を盗んだ親父が事情を察して、警察沙汰にしなかったこと。これは大きい。一歩間違えば、1本のパンを盗んだために19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンと同じ運命になったかも知れない。失うものは大きかっただろう。第3に親子の信頼関係が失われなかったこと。息子は事情を知っているので、父親を尊敬する気持ちは持ち続けるでしょう。第4に妻も理解してくれるだろうということ。家族の中で孤立するのは悲劇です。◆素直な人は感動すると思うが、そうでない人がひっかかる部分がある。それは「鍵はかけておけ」「自転車は借りたらいい」「自転車探しに子供を連れ歩くな」ということ。「鍵は無い」「誰からも借りれない」が前提条件になっているのか?給与が確実に出るのだから、貸してくれる人はいると思うけど。まあ目をつむりしかなさそうだ。◆単純な話だけど”魅せる”のは、演出がうまいから。インチキと見抜いていた女占い師に占ってもらうのは精神的に追い詰められている証拠。レストランで裕福な家庭との対比。「くよくよしていてもしょうがない」と一度前向きになったあとにどん底へ突き落す。子供に入る予定の給与計算をさせる。犯人の家が貧乏。ラストの前に一度親子の信頼関係をぐらつかせてみせる。いらだって子供を殴る→子供すねる→川で誰か溺れた→心配して探す→食事で仲直り。それぞれ理にかなっていて光るものがあります。不条理な展開がだらだら続くだけの演出では無いということ。◆クライマックスは、善良な父親に魔が差した瞬間。失敗して、民衆からこずかれ、罵倒される父親。父親に泣きながら走り寄る息子。手をきつくつないで無言で帰る二人。冷徹なカメラがそれを追います。でもそれは単純な絶望ではない。善良な市民が一度は通らなければならない通過儀礼、試練のような一面もある。悪を知って善を知るということ。二人の人生観に深みを増した経験でもあります。悪いことがあれば、次は良いことがある。人生山あり谷あり。そう信じて強く生きていける二人の後ろ姿だと思いました。 |
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