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タイトル名 |
嘆きのピエタ |
レビュワー |
よしのぶさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2014-09-12 00:31:57 |
変更日時 |
2014-09-12 00:31:57 |
レビュー内容 |
男は、闇金業を営む社長の下で働く冷酷非道な取り立て屋。元金の10倍の金利を要求し、払えない債務者には重傷を負わせ、障害者にして保険金を受け取るという苛烈な取り立てをする。冷淡無情で、良心の呵責も感じない。元々捨て子で、両親の愛や慈しみを知らずに、30年を孤独に生きてきた。ある日、母と名乗る人物が現れる。最初は疑念を持ち拒絶したが、何度も現れ、捨てたことをひたすら謝罪する女の尋常ならざる情念により、徐々に受け入れ始め、半信半疑となり、遂には信じるまでに到り、二人は一緒に暮らし始めた。男は、生まれて初めて母の無償の愛を知り、人間らしさを取り戻していった。同時に取り立ても優しくなった。だが、母はどこか寂しげだ。男が甘えても拒絶することがあり、母が編んでいて、男が自分のものと思っていたセーターを誕生日にくれなかった。母には秘密があった。その正体は男の所為で自殺した犠牲者の母で、復讐のために男の母に成りすましていたのだ。自ら男の目の前で死んで、男の魂を破壊しようとする悲壮な復讐劇を企む。だが女にも心の変化があった。自分は死んでもよいから母を助けてくれと懇願する男の姿を見て、男に憐憫さを感じたのだ。結局、女の密計は成功し、男は自らを罰する壮絶な死に方を選ぶ。 実に惨憺たる話だが救いはある。男は母の愛を知って人間性を取り戻し、復讐の鬼と化していた女も男を憐れむ気持ちが持てた。型破りの復讐方法と奇異な展開に肝胆驚かされるものがあった。暴力場面が目立つが許容の範囲内。鶏、うなぎ、うさぎが犠牲者の比喩となって使われていた。子守唄の演出は効果的だった。映像処理は丁重で安心感がある。個性の際立った作品で感銘を受けた。引っかかる点もある。男の変貌が急すぎる点だ。無慈悲で冷酷極まりない男が、母がいなくなれば生きていけないとまで思うようになる、その変化が伺える逸話をいくつか用意し、時間をかけて丹念に描けば、名作になり得た。女の正体が知れるのは最後の最後にすべきだった。その方が衝撃が大きく、遥かに余韻が残った。廃ビルで、女を突き落そうとする老婆が現れるが、時機が合いすぎて不自然だ。又、老婆に突き落とされた方がよかった。その方が救いがあるし、偽装した復讐者が別の復讐者に勘違いされて殺されるという皮肉の運命となり、物語に深みがでた。女が簡単に社長を殺せたのは不自然だ。男のマザコンぶりが異常ぎみ。 |
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