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タイトル名 |
陰陽師 |
レビュワー |
よしのぶさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2012-10-04 03:31:45 |
変更日時 |
2012-10-04 03:31:45 |
レビュー内容 |
晴明と博雅が、「お前は本当に良い男だ」「お前もな」と笑い合って終わるが、これにどれほど共感するか映画を観た満足度が測れると思う。全く同感できなかった。二人が親友として認めあうには、相互扶助の関係があってこそ。なのに博雅は晴明に一方的に助けられるだけの存在。青音によれば「二つの星が一つになったのは、晴明と博雅が二人で都の守り人となったこと」を意味するそうだが、その説明が欠落している。「一方が死ねばもう一方も……」と暗示するが、博雅が死んでも、晴明には何の影響も現れなかった。悪の権化、道尊だが、この人の内面が描かれていないのが、ドラマとしての最大の難点だ。陰陽師として高い地位にあり、そこそこの暮しをしている。そこに何の不足があるのか?人間や世の中に関心はないのに、どうして天皇を亡きものとし、都を地獄と化すことに執念を燃やすのか?そのあたりの動機がみえてこない。それにあれほどの術が使えるのなら、天皇を意のままに操ることなど朝飯前だと思うのだが……。早良親王も同様で、通り一遍の描き方しかされてないので、遺恨や怨嗟は伝わらず、ましてや青音との愛は空疎にみえる。早良親王憤死の顛末を20分程費やして描いていれば、いくらか深みがでたと思う。最大の見せ場は晴明と道尊の術合戦だろうが、結果は肩透かしだ。道尊はいろいろと術を使うが、晴明は結界を張っただけ。それに嵌ったは道尊はあっけなく自死する。ここは二転、三転して盛り上がりを見せるべきところ。それに晴明が術を使うのにつぶやくだけなのは迫力に欠ける。気分が高揚しないのだ。痛快活劇伝奇映画として失格。自死といえば、右大臣の自死も物足りない。こちらは自死の理由も不明だ。技術的な不手際も目立つ。からくり仕掛け丸出しの式神烏や蛇、苦笑するしかない鬼の面、チープなCG、冬枯れの庭に無理に咲かせた花。夕日の中で博雅が笛を吹くと青音が出現するが、その場面は夜になっている。道尊が帝を追い詰めてゆくと、ほぞを固めた帝は、「自分を差し出せ」とまで叫ぶが、その後は姿を現さない。やっつけ仕事のオンパレードだ。何がなんでもこんな映画を創りたい、こんなことを伝えたいという映画愛や情熱が感じられない。こだわりがないのだ。最後に、早良親王の恋人で永遠の生命を持つ青音は、二十歳くらいの娘が演ずれば絵になるものを、年増が演じたのでは台無しである。恋愛パートも失格。 |
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