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モハメド・アリ かけがえのない日々 - よしのぶさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 モハメド・アリ かけがえのない日々
レビュワー よしのぶさん
点数 7点
投稿日時 2013-07-19 21:21:48
変更日時 2013-07-19 21:21:48
レビュー内容
モハメド・アリは、ベトナム戦争への徴兵に対して良心的兵役拒否を貫き、ヘビー級王座を剥奪された。さらにボクサー・ライセンスも取り上げられ、復帰まで3年7か月間の空白を余儀なくされた。復帰後、王者ジョー・フレージャーに挑戦するが、判定負けを喫する。それから3年余の紆余曲折を経て、ようやく新王者ジョージ・フォアマンとのタイトル・マッチが実現する。本作品は、後に「キンシャサの奇跡」として有名になる、その試合を取材したドキュメンタリー映画だ。
アリは巨大なものと戦っている。
当時史上最強、ゾウをも倒すといわれた鉄腕ファイター、ジョージ・フォアマンが対戦相手だが、戦う相手はそれだけではない。
先ず兵役拒否したことへの社会的バッシングがあった。
マスコミや評論家はおおむね、盛りを過ぎた元チャンピオン、アリに勝ち目はないと予想していた。
そして黒人差別問題。本名カシアス・クレイを奴隷の名として拒絶し、イスラム教に改宗し、モハメド・アリと改名したのも、根本には黒人差別が存在したからだ。
アリは、これらの敵に対して独特の戦法を講じた。
マスコミに対して、わざと大口を叩き、試合への関心を煽り、報道を加熱させた。フォアマンに対しては「お前は弱い」「ミイラのように動きが鈍い」と挑発し、精神戦を展開。差別社会に対しては「黒人は美しい」とアピール。
試合の場所がアフリカと決まると、「まるで故郷に帰ってきた気分だ」と、アフリカのファンを味方に付ける。
大口を叩くことによって世界の関心を集め、自分の商品価値を高め、同時に自分を追い詰め、豊富な練習量で武装する。
実にクレバーで、魅力的な男だ。貧しい環境で育ったこと、人種差別を受けてきたこと、懲役拒否により社会から手ひどい罰を受けたこと、すべてを味方にしている。二枚目的な面貌もあいまって、大人気を博するのも当然だ。
この試合で勝利したことにより伝説は作られ、アリはアメリカン・アイコンとなった。
今後、このような神がかったようなカリスマ性をもつボクサー、いやスポーツ選手は出ないのではないか。
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