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タイトル名 |
二十四の瞳(1954) |
レビュワー |
よしのぶさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-09-14 02:26:57 |
変更日時 |
2011-09-14 02:26:57 |
レビュー内容 |
・解説を必要としない感動映画。瀬戸内海の島の先生と生徒の心温まる交流物語というより、師弟不幸物語といったところ。生徒の誰一人として幸せにはならない。先生も母、夫、愛娘を亡くす。日本人が悲劇を好きなのは、この映画が名作と呼ばれることからも推察できる。1954年のキネマ旬報ベストテンでも「七人の侍」を抑えて一位。 ・最大の疑問は、赴任してきたばかりの先生が怪我のため半年ほどで転校すること。折角上げ潮に乗りかけていた先生と生徒の良い話が中だるみとなる。そして先生は教え子たちの卒業とともに教職を辞する。教職に生涯を捧げると思っていたので残念。「アカ」と言われようと、信念を貫く人であってほしかったです。 ・難点は反戦思想が強すぎる事。監督は戦中に戦争賛美の「陸軍」を撮った古傷を払拭しようとやっきになっている印象があります。男子生徒らは志願して軍人になったのだし、先生もしいて反対しなかったのだから、反戦要素としては弱いですね。戦中の子供の歌で「天皇陛下の御為に死ねと教えた父母の赤い血潮を受けついで心に決死の白襷かけて勇んで突撃だ」というのがあります。反戦は事実上不可能でした。反戦は平和のときにだけ言える言葉です。 ・先生は女性なので立場が弱い。まだ参政権もない時代です。生徒の親に立ち入った意見も言えないし、困窮している生徒の誰をも助けることができない。出来るのは、ただ一緒に泣いてあげることと、相手を思い続けてあげるということだけ。でもそれが師弟を越えた本当の愛を伝えることであり、人間を信じることであり、人間らしい心を育むことにつながったのだと思います。よく泣く先生で、わが子からも弱虫呼ばわりされますが、人間としてもっとも大切なものを教えた先生は偉大ですし、それが女性の真の強さだと思います。心だけは戦争では奪えません。学校をやめ、戦争を挟み、自身は不幸になってしまいましたが、その間もずっと生徒らの心の中に愛の灯をともし続けた先生は勝利者だと思います。それは再開の場面で十分伝わります。生徒らの薄幸の生涯や反戦思想にばかりに目がいきますが、真の人間の強さ、相手を思いやる気持ちの大切さをきちんと伝えた映画だと思います。 |
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