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タイトル名 |
ローマの休日 |
レビュワー |
よしのぶさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2009-09-28 20:36:34 |
変更日時 |
2009-09-28 21:00:16 |
レビュー内容 |
日本では名画の代表ですが、米映画協会の映画BEST100には入ってません。それだけ日本人の感性に合っているのでしょう。特筆すべきは、オードリーのピクシーぶり。王女であるときの立ち居振る舞いには、作り物ではない高貴さがにじみ出ています。庶民のときは清楚で愛らしく、泣いたり、笑ったりの表情が豊か。甘く爽やかな声。画面いっぱいに映る笑顔は神々しいほど。彼女を引き立てる独創的な衣装や髪型も見逃せません。物語は王女の窮屈な公務の様子から始まります。脱げた靴が履けないのはちょっと不器用ですね。夜になり、窓から音楽が聞こえてきたときに、ベッドから飛び降りる場面は実に印象的。アンの本来の奔放な性格が一瞬で表現される演出が見事。それから脱走までテンポよく進みます。新聞記者のジョーの部屋で目を覚ますまでは眠り姫状態ですが、酔っ払いにも見えてかわいいですね。ジョーが貧乏なので、王女との身分差が際立ちます。かつ記事をあきらめたときの犠牲を大きくみせる伏線です。美容院では「カットだけ」と頼んだのに、綿密に仕上がっています。ここで船上の音楽会の伏線あり。写真家アービンが絡んできてからは、ラブコメモード全開。王女の願いは「一日でいいから、自由気ままなにやりたいことをしたい」というささやかなもの。王女の窮屈な生活を思えば、誰でも応援したくなります。真実の口の場面では早くも恋人同士になっています。秘密警察のおまぬけぶりはラブコメの常道。ビンやギターで頭を殴ったり、川に飛び込んでの派手な脱出と大いに盛り上がります。大笑いして見つめ合い、咄嗟の情熱的なキス。お互い身分は明かせず、恋は厳禁。十分承知していても、恋心は隠しきれません。固く抱き合う二人ですが、分別がまさり、恋の告白はなし。シンデレラの時間は終り、決して振り向かないと誓って別れる二人。そして王女にとって思わぬ再会。二重の意味の会話が心を打ちます。「人と人の間の友情」「信念が裏切られることはないでしょう」「ローマの思い出をいつまでも懐かしむことでしょう」余韻の残るエンディングです。日本人がこの映画に感動するのは「忍ぶ恋」だからでしょう。王女の生涯つづくであろう窮屈な公人生活を思えば、その悲恋に涙がでます。また世紀の大スクープをあきらめて友情を選んだアービンは表彰したいくらい。悪意のある人が登場せず、心洗われる物語、フェアリーテイルです。 |
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