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タイトル名 |
ヘイル、シーザー! |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
3点 |
投稿日時 |
2018-03-30 22:08:00 |
変更日時 |
2018-03-30 22:08:00 |
レビュー内容 |
名のある映画作家はこういうバックステージものを撮りたいという衝動に駆られる傾向があるみたいですけど、ダメダメ、今さらトリュフォーの『アメリカの夜』を超える作品を創作できるわけがないんだから、止めた方が賢明ですよ。コーエン兄弟もその誘惑に負けたみたいですが、こりゃ相当に出来が悪い映画になってしまいました。まずネタが古すぎ、それぞれのエピソードにはモデルとなる人物や事件があったんでしょうけど現代の観客にはチンプンカンプンで、これじゃハリウッド界隈の老人にしか受けないんじゃないでしょうか。モチーフとしたのは50年代ハリウッドのいわゆる赤狩りなのは判りますが、コメディとはいえパージされた側を悪役としているのは、たぶん今までになかったことです。ジョージ・クルーニーを誘拐する共産党員の脚本家たちは10人、これは実際にハリウッドから追放されたいわゆる“ハリウッド・テン”のパロディですね。ということならリーダーはさしずめドルトン・トランボということでしょうが、こんなネタ誰も知らないって!コーエン兄弟の政治的な立場は知りませんが、かつて『グッドナイト&グッドラック』を撮って赤狩りを批判していたジョージ・クルーニーは、どの面下げてこの映画のオファーを受けたんですかね?最近は宗旨替えをしたのかな、でもこれは笑えませんよ。彼のオーヴァー・アクトもこの映画の印象を悪くしている一因で、コーエン兄弟は『バーン・アフター・リーディング』でも見られましたがジョージ・クルーニーに変顔させるのが受けると勘違いしているみたいです。ジョシュ・ブローリンのハードボイルドな撮影所長は悪くなかったですけど、けっきょくヘッドハンティングの誘惑にも負けないイイ奴でしたという終わり方は、何のひねりもなくて呆気に取られてしまいました。 それにしても、コーエン兄弟は本当に“誘拐”というプロットに拘りますよね、一度精神分析をして欲しいぐらいです。 |
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