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運び屋 - S&Sさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 運び屋
レビュワー S&Sさん
点数 7点
投稿日時 2024-10-07 22:54:18
変更日時 2024-10-11 11:21:26
レビュー内容
クリント・イーストウッドが闇バイトに応募して麻薬の運び屋になる!いやはや、最初にこの衝撃のプロットを聞いた時には、あのハリウッド・レジェンドが演じるような役じゃないだろって思いましたよ。実話に(あくまで)ヒントを得た脚本なんだそうですが、実際に逮捕された老人とはデイリリー園芸家だったことぐらいが共通点、この老人は逮捕されるまで20年ぐらい麻薬組織のために働き、しかも自分から組織に売り込んで運び屋稼業を始めたらしいです。逮捕されたときは90歳で認知症が進行しており、受けた刑罰は懲役三年で高齢が考慮されて一年で仮釈放されたそうです。言ってみればかなりのワルだったみたいで、この映画のアール老人はかなりイーストウッドに合わせた感情移入できるキャラになっています、まあ“事実にヒントを得たフィクション”なんだから全然OKですけどね。 とはいえこのアール老人は運び屋として得た報酬でまず差し押さえられた農場を買戻し、それからバリバリの新車のピックアップ・トラックを購入して自分が通っていた火事で焼けた退役軍人クラブの再建に寄付、挙句の果てにはジジイのくせに若い女を引っ張りこんでワン・ナイト・ラブを愉しむ、けっこうやりたい放題です。確かに孫娘の学資を援助したりもしましたが、絶縁状態の元妻や娘と違って彼を慕っていたからで、けっこう自己中な生活をエンジョイしていた感があります。このアールという男には、かなり自由奔放な私生活を送ってきたイーストウッドの内省が込められているのかもしれません。しかし日本のトクリュウが運営する闇バイトとは違い相手はメキシコのカルテル、ヘンな動きをすれば見逃してくれるはずがありません。運送仕事をすっぽかして瀕死の元妻のもとに駆けつけたんですから、組織に見つけられた時点で抹殺されてしまうのが当然だと思いますが、そこから逮捕されるまでの展開はフィクションとは言えちょっと甘い脚本だったんじゃないかな。アールと接する組織の下っ端たちが戸惑いながらも彼に親近感を持つようになってゆくところは、イーストウッドの魅力を堪能できますね。 明らかにイーストウッドに残された時間は少なくなっているのは悲しい現実ですけど、アールが法廷で家族に言う「時間がすべてだった、何でも買えるのに時間だけは買えなかった」というセリフには、イーストウッドの心情が現れていたのではと思います。闇バイトに応募しようとしている若者には、本作を観るチャンスがあるといいよな…
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