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タイトル名 |
アミスタッド |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2025-03-16 22:04:14 |
変更日時 |
2025-03-16 22:04:14 |
レビュー内容 |
アミスタッド号をめぐる奴隷貿易事件はあくまでスペインやポルトガルの奴隷貿易が根本の問題なんだけど、それが当時まだ奴隷制度を維持していた米国に重い課題を突きつけたのは事実でしょう。現実に米国内での奴隷解放運動に燃料投下したような節もあり、いわば同じスピルバーグ作品『リンカーン』は本作の続編の感もあります。『カラーパープル』も含めて奴隷制度問題は、実はスピルバーグのライフワークの一つだったのかもしれませんね。日本ではそろそろ黒船が来襲して幕末近しという時代なのに、欧州では奴隷制度をまだ維持していた国があったというのは驚いてもいいんじゃないかな。でもスペインやポルトガルではあくまで植民地での制度だったけど、米国だけは国内の重要な社会制度の一つだったんですから、罪深いものです。この映画ではそれまでさんざんやらかしていた”ブリカス”大英帝国だけが正義の味方みたいな感じになってるのは、奴隷貿易を取り締まったことは史実なんだけどちょっと腹が立ちます。でも考えてみると、最近のチャイナマフィアがミャンマーでやってることを考えると、こういうことは過去の出来事だと言い切ることは出来ませんね。 最初のころ、シンケたちアフリカ人の言葉に英語字幕がずっと付かなくて、このままで押し通すのかとなんか不安になりました。でもこの映画の隠れテーマは、互いに言語が通じない人種がどうやってコミュニケーションを取れるようになるかということだった思います。それが例え言語が同じであっても理解させるのが難儀な法廷闘争をするということに、この映画の面白味があったと感じます。まあ説教臭いというか、聖書の挿絵を見るだけでキリスト教を理解し始めるというのは、ちょっとなんだかなあとは思いましたけどね。最後は法廷映画でお決まりの大弁論というか演説でしたが、名優アンソニー・ホプキンスですからそりゃ格調高い仕上がりで思わず聴き入ってしまいました。やっぱ演説は名優にやらせるのが一番ですね。モーガン・フリーマンが演じたキャラは本作主要キャストで唯一の架空人物だそうですが、妙に存在感が薄くて活躍が見れなかったのは残念。 悲惨なお話しだったけど、当時のスピルバーグの残酷風味は『プライベート・ライアン』や『シンドラーのリスト』に比べたら薄かった感はあります。まあ本作は出来の良い法廷劇として観るのが正解だと思います。 |
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