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タイトル名 |
アレクサンドリア |
レビュワー |
アングロファイルさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-03-16 19:59:59 |
変更日時 |
2011-03-17 21:34:43 |
レビュー内容 |
フリッツ・ラング監督の『メトロポリス』を見て、人間というのは100年経ってもあまり変わっていないものだと思いましたが、それどころか1600年前から同じことをしているというのが、この映画。宗教上の対立、他の宗教の信者に対する攻撃・排斥運動、権力闘争など、現代劇でも通用する内容です。ヒロインのヒュパティアは、天文学者・数学者にして哲学者という才媛ですが、主人公というよりは狂言回しの印象が強かったです。 彼女が天文学者であるためか、しばしば宇宙に浮かぶ地球が映し出され、そこからアレクサンドリアにズームして物語が始まるというパターンが見られるのですが、これはいわゆる「神の視点」として働いているのでしょう。それ以外にも、空中から地上の群衆を捉えた場面が目立ちます。特に前半のクライマックス、図書館で狼藉を働くキリスト教徒は、早回しの効果もあってまるでアリのようです。人間を虫けらのように描いたこのシーンは、本作でも特に印象深いところでした。 また、すでにアリスタルコスが唱えていた地動説が紹介され、ヒュパティアによって検討されています。ここで面白いのは、ヒュパティアは地球の軌道を「完全な形」である真円だと考えていたこと。しかしそれでは説明のつかないことが多く、その結果軌道が楕円ではないかと思い至ります。つまり、人間は「完全でない」軌道を描いている地球の上に生存しているわけで、これは人間の不完全さを示唆しているように思われます。こうしたところにも、天から見た人間批判という面が読み取れます。 ただ、数多くのエキストラを使った暴動シーンや豪華なセットなど、お金と時間をかけた映画だと思いますが、内容がそれに見合っているかというと「?」な部分もあります。主要人物であるダオスの行動に、いまいちよくわからないところがありました。力作であることに間違いはないと思いますが。 |
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