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タイトル名 |
ビルマの竪琴(1956) |
レビュワー |
アングロファイルさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2015-09-23 20:53:32 |
変更日時 |
2015-09-23 20:53:32 |
レビュー内容 |
この作品、人物描写が薄いですね。個性に乏しいというか。普通ならマイナスの要因になるのですが、あえてそうした描写になっているのではと思います。三角山に行って生き残り、ビルマに残る決心をすることになるのは、もしかしたら水島ではなかったかもしれない。あるいはこの映画を見たあなたや私に降りかかったかもしれない。そうした「誰にでも起こるかもしれない」普遍性を感じさせるには、人物の個性は薄い方がいいでしょう。ここがこの映画のもっとも成功したところではないかと思います。
さらに注目したのは、最後に水島の決意を否定するかのような感慨が付け加えられていること。あそこまで来てあれはありなのかとも思われますが、本作では日本に帰った隊の人々、ビルマに残った水島、いずれが正しく正解だったのかという結論を出していません。というか、どちらが正しいかなどということは言えないでしょう。この映画を見ると得てして水島の行為を肯定してしまいますが、映画は必ずしもそうではないというのは面白い。
何にせよ、「生き残った者はどうするべきなのか」という問いは、今日でも自然災害などにおいて生きていると思います。そういう意味では現代にも通ずるところがあり、より普遍性を高めています。そのあたりが、現代におけるこの映画の存在価値ではないかと思いました。 |
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