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タイトル名 |
雨のしのび逢い |
レビュワー |
ESPERANZAさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-09-04 17:15:29 |
変更日時 |
2011-09-04 17:24:07 |
レビュー内容 |
この映画の原題は「MODERATO CANTABILE」、息子が練習しているディアペリの有名なソナチネ第1楽章につけられた演奏記号である。モデラートとは速度記号の真ん中「普通の速さで」であり、カンタービレは「歌うように」である。 邦題は「普通の速さで歌うように」では味がないと思ったのか、大幅な修正でロマンティックな題にしたのであろう。もちろん風が吹いても雨が降ることはないが・・・。 息子はソナチネを練習しているが、音階練習でわかるように基礎がきちんとできているわけではない。また練習にも嫌気がさしており、ソナチネの演奏にも先生の指導を守っていない。枠に縛られることを拒否しているわけだが、これが母親アンヌの心情の伏線になっている。 アンヌは結婚8年目で子どもにも恵まれ、夫は工場長、何一つ不自由なことがない優雅な生活だ。しかし、それが息子のピアノ練習中に聞いた悲鳴と殺された女性をいとおしむ男(犯人)の姿によって大きな衝撃を受け、「モデラート・カンタービレ」の世界からどんどん外れていくことになる。そして7日目のお客を招いた夜にはその頂点に達する。 この映画のアンヌと恋人は、冒頭の事件の男女とも重なる。事件の男女は殺人で幕が下りるが、アンヌはショーヴァンに言葉で殺されても夫に迎えられて幕となる。そしておそらく再び「モデラート・カンタービレ」の世界に戻っていくことだろう。 この映画はまた背景に流れる音楽が実によい。単純なメロディーだが、すごく印象的だ。 |
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