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タイトル名 |
カリートの道 |
レビュワー |
たきたてさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2013-05-23 14:32:49 |
変更日時 |
2013-05-23 14:32:49 |
レビュー内容 |
普通の成り上がり系のマフィア映画かと思いきや、感動的な人間ドラマでした。この映画のアクション、サスペンスはもちろん素晴らしいのですが、何と言ってもカリートという人物の放つ魅力がたまらないのです。 裏社会で伝説のような人物になりながら、ここまで恋人や友情や信頼関係というものを大切にする人間がいるでしょうか。おそらくリアルな世界ではいないと思うわけです。これはフィクションの世界だからこそできた人物像であって、私たちが憧れるような人物像のひとつのモデルとも思えるんです。 だからこそ、カリートの一挙手一投足、ナレーションの一言一言に必要以上に感情移入してしまい、等身大のカリートをとにかく応援してしまいます。 ただ、カリートはちょいちょい失敗もします。彼は決してヒーローではないんです。ミスジャッジしちゃうんです。そしてそのミスのつけっていうのは、すぐには返ってこないのです。後半に向けて、少しずつ蓄積されていくんです。 蓄積されるのはそれだけではありません。時間が経過するほど、カリートの貯金も貯まっていきます。夢がすぐそばまで近付いてきます。彼女ともうまくいきます。子供ができ、3人の未来がよりいっそう現実味を帯びてくるのです。 そして終盤、もう夢がかなう、目の前にある、と同時に、次々と、今までの失敗のつけや、過去の亡霊が、不安要素として一気に噴出してきます。 それはサッソでありパチャンガであり、クラインフェルドであり、イタリアマフィアであり、ベニーブランコでした。 ただ、終盤は、「いったい誰が、彼の夢を砕いてしまうのか」ということが考えられないくらいカリートのハッピーエンドを本気で信じてしまいます。嫌な予感は全然なくならないのに。そして、イタリアマフィアをふりきり、ホームで彼女と再会してほっとした瞬間、最悪のデジャヴを感じるわけです。『・・あれ、このシーンって。』 そしてはっきり思い出す間もなく、最悪のラストを迎えます。 映画全体が完璧なひとつの流れを作っていて、最後はもの凄く感動的で、もの凄く最低な余韻を残してくれる素晴らしい作品です。 でもラストがやるせなさすぎて、悲しすぎて、もうこの点数が精一杯です。
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