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ミスト - たきたてさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ミスト
レビュワー たきたてさん
点数 7点
投稿日時 2019-11-22 14:03:45
変更日時 2019-11-22 14:03:45
レビュー内容
 まずはパニック映画としての面白さ。台風の後、スーパーへ買出しに行く主人公一家。奥さんはお留守番。そこへやってくる霧。一人の男が『霧の中に何かがいる』と流血しながらスーパーへと駆け込んでくる。真っ白な霧の中から聞こえてくる悲鳴。地震のように揺れるスーパー。この一連の流れがパニックムービーとして最高。突然崩れる日常。これがパニックムービーの醍醐味。導入部だけだったら満点です。
 次に訪れる恐怖が、閉鎖空間での人間心理の崩壊。変人扱いされる宗教狂いのカーモディ。ところが次第に状況が悪くなってくると、そのカーモディの崇拝者が一人、また一人と増えていく。徐々に変化してゆく勢力図。そしてここから描かれるのが群集心理、集団催眠、集団パニックの恐怖。今まで隣人であった人が隣人でなくなる恐怖。対等であった人間関係が対等でなくなる恐怖。
 この映画で一番怖かったのは、若き軍人が糾弾されるシーン。軍人であるまえに地元の若者。レジの店員とは恋仲。にも関わらず、地元の人から刺され、生贄として放り出されてしまうシークエンスは凄惨すぎます。『人は優しいが、人々は残酷だ』というタゴールの言葉を思い出します。
 この映画で犠牲になる人って、善人が多いです。『死』の前では『善人』も『悪人』も皆平等ということでしょうか。
 そしてラスト。この絶望的なラストがなければ8点~9点くらいだったのですが。善き人たちの辛い死を乗り越えて、それでもこの人たちだけでも助かれば報われると思っていたのに、あんまりすぎるラストです。
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