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車イスで僕は空を飛ぶ<TVM> - かっぱ堰さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 車イスで僕は空を飛ぶ<TVM>
レビュワー かっぱ堰さん
点数 4点
投稿日時 2013-11-11 19:39:42
変更日時 2014-01-05 19:17:12
レビュー内容
鑑賞の動機は看護師役の女優がどんな顔で出ているか見ることだったが、ちゃんとフルネームで役名が付いているにもかかわらず大した出番がないので騙された気分になり、非常に不満の残るドラマだった。 

その他の部分については、まず実践者の著作をもとにしているだけあって全体としては真摯な内容と感じられる。原著作は明らかに自殺予防を目的としているのに対し、このドラマでは24時間TVというものの性質のためか、障害の克服ということと二股かけているようなのが微妙な違いになっている。また本来の中心テーマである“助けを求める(求められる)”と、ドラマのテーマである“とりあえず今日を明日につなぐ”というのが並列になっているように感じられ、視聴者にとっては焦点を絞りにくい気がするが、まああまり詰めて考える必要もなく、見た人それぞれが何かを感じ取れればいいということかも知れない。 

ただ細かいことをいえば、この主人公はあくまでその辺にいる普通の兄ちゃんであり、適性はあるにしても特別の才能を持っていたわけではないのだろうから、終盤でいきなりカウンセリングというか荒療治のようなことを始めるのはやり過ぎと感じられる。それから、劇中に出ていた個々の話題が日常生活の維持に関わることか緊急避難的なものなのか、また本人に語りかけているのか一般論なのかがわかりにくい。例えば断崖の場面で出ていたオタクの話は、日常的な問題としてはけっこう当たっているように思えるが、緊急時に本人に言っても無意味なのでギャグ扱いになっているわけだろう。また誰かが自殺すると周囲の人間が苦しむのは一般論としてはその通りだろうが、劇中出ていたようにショック療法的に使うならどうかわからないにしても、死にたがっている人間に向かって日常的にプレッシャーをかけるために言うとすればまずい気がする。まあ本職の人はやり方がわかっているのだろうから別にいいのだが。 

なお劇中で、「愛は勝つ」を歌いながら入水しようとする人物が出ていたのは皮肉に感じられるが、しかし例えば中島みゆきの「時代」を歌いながら死のうとする人間はいないわけで、これは「愛は勝つ」が万人を力づける歌のようでも実は底が浅いため、日常の用途には使えても肝心な時には役に立たないということだと思われる。
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