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タイトル名 |
新感染 ファイナル・エクスプレス |
レビュワー |
かっぱ堰さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2024-08-17 09:36:09 |
変更日時 |
2024-08-17 09:36:09 |
レビュー内容 |
原題を漢字で書くと「釜山行」だが邦題が「新感染」とは、新幹線というものに長年親しんできた日本らしい発想である。邦題を褒めたくなるのは珍しい。 レールムービー風ゾンビ映画ということで、基本は列車内で追いつめられる展開になるが、大田駅での途中下車や東大邱駅での乗換えで変化を出している。釜山に行きつかないで終わりになるのではと心配したがそうでもなく、終幕のアロハオエは少し感動的だった。ドラマ性も盛り込んだ出来のいい映画に思われる。 なお列車内の惨事ということからは「大邱地下鉄放火事件」(2003.2.18)を思い出すが、この映画では運転士がまともな人物でよかった。また序盤の動画で、ヘリコプターがゾンビを攻撃するのでなく、逆にゾンビが降って来たのは爆撃のようで新鮮味があった。
ドラマ的には、特に自他の優先順位が問題にされていたのかと思った。運転士が職業上の使命感から、乗客第一を実践していたのは普通に適切な行動である。またホームレス風の男は、例えばこれまで自分だけが損を押し付けられてきたとの思いがあったかも知れないが、さすがに妊婦と子どもが自分より優先ということはわかっていたらしい。人としての基本が何かを押さえた映画になっていて、それが世界共通かは別にしても、少なくとも日本と共通認識があるらしいことはわかる。 またしぶとい悪役は、極端な自分本位で人としての基本がわかっていないようだったが、これはもしかするとわかっていないというよりも、倫理を度外視するほど極端な怖がりだったのかと思った。外見は普通に見えても地がそういう人物というのはいなくもない。
ほか個人的に印象深かったのは大邱に行く予定の老姉妹で、日本でいえば倍賞千恵子・美津子姉妹のイメージだったが、妹は外見的には佐々木すみ江氏に見える。その妹が「昔なら全員とっ捕まえて」と言ったのは、戦後の荒っぽい時代を生きた強気さを思わせる。また姉がポケットからアメちゃんを出したのは、日本でいえば大阪のおばちゃんのような行動様式だった。この姉が「いつも周りの人のことばかり心配してた」というのがちょっと泣かせる言葉で、こういう日本の感覚からみても古風な人物がいるのかと思わされた。 また女子高生の「ここの方が怖い」という台詞も少し印象的だった。社会が殺伐としているとの感覚は向こうにもあるかも知れないが、悪徳商売人の娘については母親がちゃんとした人だったらしい。母親は釜山で心配しながら待っていたと思いたい。 |
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