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タイトル名 |
39 刑法第三十九条 |
レビュワー |
かっぱ堰さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2016-06-15 23:38:40 |
変更日時 |
2016-06-15 23:38:40 |
レビュー内容 |
日頃アイドル映画のようなものばかり見ている立場としてはかなりまともな映画を見た気がした。全体として重厚な印象で、映像の作り方や役者の演技など、わざとらしいところ、不快なところを含めていかにも映画的に見えて感心する。ただストーリーとしては不可解・不自然な点や作り過ぎ・やりすぎの面が目立ち、激賞する気には全くならなかった。
テーマとしては題名の示すとおりだろうが、こういう問題提起はかなり以前からなされており(個人的には昭和の特撮番組「怪奇大作戦」の欠番エピソードのあたりから)、これ自体はそれほど目新しい気もしない。しかしこの映画では犬山の遺体映像や、加害者側の弁護士が業界の常識を遺族に説明してみせたあたりで、改めてこの問題の存在を強く印象づけていたようである。 ただ自分が見た限り、この映画が本当に39条の存在自体を問題視していたのか、それとも39条を悪用することの方が問題と考えていたのかよくわからなかった。わざわざ精神鑑定を持ち出した意味としては、誤審の恐れがあるので死刑は廃止という主張と同様に、精神鑑定はいい加減なので39条を廃止せよということのようにも思えるが、その割に主人公のやっていたことは、条文の正しい運用を促すために悪用を阻止してみせただけのように取れる。しかし仮に悪用の方が問題なのだとすれば、まずは犬山の事件が悪用の事例でなければならないだろうがそのようにも見えず、かえって少年法との関係で焦点がぼやけている。 さらに主人公のいう「人権」が父親の事例から導かれるとも思われず、むしろ40条(現在はすでに廃止)との関係を示唆しているかのようで混乱する。特定の結論なしに問題提起だけというつもりならこれでいいかも知れないが、単にまとまりがつかないまま拡散して終わった印象の方が強かった。
ちなみに主人公と母親のエピソードが本筋とどう関わっていたのかもよくわからない。かなり面倒くさい感じの母子関係のため、これが最後に破綻して終わりになるのではないかと危惧していたが、途中で主人公がそれらしい解決を図ったようで安心した。この主人公には愛がある。 |
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