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タイトル名 |
火垂るの墓(1988) |
レビュワー |
かたゆきさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2013-04-20 19:16:45 |
変更日時 |
2019-05-01 21:54:11 |
レビュー内容 |
毎年、夏になると全国の小中学生を恐怖のどん底に叩きつける反戦洗脳映画。と、世間では思われている作品だけど、僕はちょっと違う気がします。この作品は単純な反戦映画ではなく、戦争が本当に壊してしまうものを冷徹に見つめた作品だと思います。戦争が本当に壊してしまうもの、それは人間の社会性です。この主人公の少年は、今でいう不良少年なのです。盗んだバイクで走り出す現代の若者となんら変わりない。そんな少年でも、社会性がしっかりしていれば、相応の大人たち(例えば教師や警察や少年院)がちゃんと矯正させて、少なくとも餓死させるということなど絶対にさせない。この世界から戦争がなくなることなど絶対にあり得ないなら、せめてそれが壊してしまうものから目を逸らさず、多くの人たちから残酷で悪趣味だと非難されようとも徹底的に冷徹に描こうというこの監督(および原作者)の勇気には敬服せざるを得ません。そして、今でもアメリカはイラクやアフガンで社会性を壊し続けている。この映画が偽善にまみれた単なる反戦映画と一線を画した普遍性を持っているのは、ますます混迷する現代に通じるテーマを持った作品だからだと思います。 |
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