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タイトル名 |
羅生門(1950) |
レビュワー |
かたゆきさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2012-08-16 17:01:14 |
変更日時 |
2013-08-10 19:27:16 |
レビュー内容 |
必ず勝つと信じてアメリカと開戦したのに、蓋を開けてみれば完膚なきまでに叩きのめされ、それまでの価値観や常識のなにもかもが灰燼に帰してしまいそうな危機的状況にあった、敗戦後の日本。当時のそんな状況にあって、若き日の天才・黒澤明がまるで時代の要請に応えるかのごとく作りあげた古典的名作。芥川龍之介の作りあげた殺伐とした平安期を舞台に、隠された藪の中で織り成される、3人の男女の陰湿な愛憎劇。各々に秘められたエゴとプライドを照射するかのように降り注ぐ日の光が、今にも何かが狂ってしまいそうな美しいモノクロ映像となって炙り出されていく。そこにあるのは、まるで見栄とプライドと欲望のために、誰も責任をとらぬまま始めてしまったあの戦争の愚かさと同じものだ。それでも、最後に提示される今にも消えてしまいそうな微かな希望は、時代を経た今でも決して色褪せることはない。 |
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