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子連れじゃダメかしら? - ゆきさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 子連れじゃダメかしら?
レビュワー ゆきさん
点数 7点
投稿日時 2017-10-07 06:51:40
変更日時 2017-10-25 01:52:23
レビュー内容
 「最低男と思われた彼が、実は良い奴だった」という意外性ありきのストーリーなのですが、本作に関しては主演がアダム・サンドラーという事もあり「実は良い奴だって事はバレバレ」なのが残念でしたね。

 他にも、ヒロインが仕事中に雇い主の服を盗み着したり、文字通り服を持ち出して盗んでみせたりと、ちょっと「嫌な女」に思えてしまう事。
 そしてパラセーリングの場面にて、地面にいる動物達が合成映像だと丸分かりで興醒めしてしまった事などは、欠点と言えそう。
 「ママの幽霊」「浮気性の元亭主」などの要素についても、完璧な決着が付いておらず、宙ぶらりんな印象です。

 でも、それらを考慮しても面白い映画であり、面白さ以上に(好きな映画だな)と感じさせてくれるものがありました。

 そもそも、この主演二人の組み合わせの時点で「50回目のファースト・キス」が好きな自分としては、嬉しくなってしまうのですよね。
 フランク・コラチ監督に関しても、作品履歴を眺めれば「好きな映画」ばかりなのだから、本作は自分との相性が、凄く良かったのだと思います。
 
 好みじゃない相手とのデート中に、友人から電話を掛けてもらい「緊急事態」と言って逃げ出す作戦を立てていたら、相手側に全く同じ手をやられ、逃げるより先に逃げられてしまったという導入部から、もう面白い。
 他にも、全く同じ車に乗っているとか、動きが逐一シンクロしているとか、そういった伏線を丁寧に張っていき「行動パターンの同じ男女二人が、同じように考えて、同じアフリカ旅行に参加する」ストーリーとして繋げてみせるのが、とても気持ち良かったです。

 本作はラブコメであると同時に「家族モノ」「旅行モノ」でもあり、三つの意味で楽しめる、贅沢な品に仕上がっているのも良かったですね。
 主人公とヒロインの家族は、男親と娘達、女親と息子達という組み合わせであり、お互いに「男同士」「女同士」で仲良くなっていく流れなのも微笑ましい。

 アフリカ旅行する楽しさが、しっかり描かれている点も嬉しかったです。
 初めてホテルを訪れたシーンでは(うわぁ、良いなぁ……)と感嘆させられるし、朝の訪れと同時に、大欠伸する豹の姿を映すのも(舞台がアフリカだからこそ)と思えて、雰囲気を盛り上げてくれる。

 基本的には王道展開であり、主人公とヒロインは無事に結ばれる訳ですが、脇役関連のストーリーについては、結構こちらの予想が外れたりする辺りも、面白かったですね。
 ヒロインの雇い主である金持ち家族も再登場するだろうと思っていたけど、そうじゃない。
 喧嘩している息子と娘同士が結ばれるんじゃないかと思っていたけど、そうじゃない。
 その一方で(これは結ばれないオチだろう。失恋した彼女をヒロインが慰めてあげて、主人公との距離を縮めるイベントにするはず……)と思っていた、主人公の娘と「吸血鬼系男子」との恋が実ったりするもんだから、もう吃驚です。
 そういったサプライズがあるからこそ(流石に主人公とヒロインが結ばれないって事は無いだろう)と思いつつも、最後まで程好い緊張感を味わいながら、楽しく観賞出来た気がします。

 それと、上述の娘に関してですが、作中に出てくる男共が悉く彼女を「男の子」に間違えるというのは、ちょっと無理がある気もしましたね。
 「少女と見紛うほどの美少年」に思えない事もありませんが、それにしても髪型や口紅の色などは、もっと中性的に寄せた方が良かったんじゃないかと。
 その方が、髪型を変えて女の子らしくなった時のギャップも際立ったように思えます。

 そんな娘と結ばれた彼氏くんの両親も、旅先のホテルの従業員達も、これまた良い味を出しており、お気に入り。
 勿論、娘達と、息子達も魅力的であり、特に娘達の方なんてもう、可愛くて仕方なかったです。
 父親から「彼女を愛している」という言葉を引き出して、ガッツポーズを取る姿には、思わず(天使か!)とツッコんだくらい。

 クライマックスには「少年野球の試合」という山場を用意し、盛り上げてくれるのも良かったですね。
 ヒロインの息子が、主人公の応援を受けて、見事にヒット(=ランニングホームラン)を放ってみせる。
 そして、勝利の興奮の勢いそのまま、主人公がヒロインに告白して、無事に二人が結ばれる。

 その後はもう、アフリカから駆け付けた(?)面々も気球の上から祝福して、エンディング曲は子供達が唄ってくれてと、好き放題やっている感じで、最後まで笑えて、楽しくて、面白い。
 色々と滅茶苦茶だし、整合性は取れていないかも知れないけど、そんなの吹き飛ばしてみせるだけのパワーが感じられました。
 こういう映画、好きです。
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