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タイトル名 |
レミング |
レビュワー |
Yuki2Invyさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2020-08-18 23:30:12 |
変更日時 |
2021-03-18 21:55:47 |
レビュー内容 |
「模範的」と作中で称される主人公夫婦(リュカとゲンズブール)にせよ、夫の雇い主の社長(デュソリエ)にせよ、当初はごくマトモな大人に見えるのだ。その一方で、社長の妻(ランプリング)だけがド初っ端から場違いにトチ狂っている様に見える。しかし、ランプリングの自殺に始まるストーリーが展開するにつれ、彼らが誰しも少しばかり「正常」でないことが分かってくる。そのややもすると自己破滅的、とも言える様な有様を、集団自殺をするという「レミング」に擬えよう、というのが本作の意図であろう。そして、彼らの根底に共通するものは、シンプルに嫉妬である。その意味では本作、比較的単純なテーマを有するサイコロジカル・サスペンスであるとも言えるだろう。
特に、男2人の描かれ方は非常に単純である。色気狂いな社長と、そこまででは無いが、ふと誘惑されれば少しだけ心動かされてしまう様なごく「健全な」夫。この2人に嫉妬し、アンビヴァレントな感情を抱きつつも常軌を逸した行動を取っていく女2人。率直に、この2人の醸し出す「女の怖さ」というものは、かなり上質であった。特に、ゲンズブールのさり気なく奥ゆかしい怖さは非常に素晴らしかった。より分かり易いおっかなさを纏ったランプリングも、やはり美人はキレてる時が美しい、という感じでもありこれも中々良かった。
ゲンズブールは何故、夫に社長を殺させたのだろう。自分を裏切った夫に対する試練か、禊のつもりでもあるのか。それとも、夫に対する嫉妬に狂う中で、同じ様な境遇で結果的に死を選んだランプリングに対する逆説的な共感が芽生えたのか。もし後者だとして、ランプリングの狙いが最初からそこにあったとしたらどうだろうか(やや穿ち過ぎだとは思うけれども)。ああ、女というのは(怒らせると)実に恐ろしいのだ。 |
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