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タイトル名 |
残菊物語(1939) |
レビュワー |
Yuki2Invyさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2020-02-04 21:34:05 |
変更日時 |
2020-07-24 02:12:17 |
レビュー内容 |
日本版『椿姫』とも言える内容であるが、二代目尾上菊之助の立身出世物語を表に備える本作の方が、総合的に話の内容としては上であるようにすら思える(同年代のグレタ・ガルボ版『椿姫』と比較してさえ、個人的には上回ると思う)。また、お徳さんの菊之助に対する献身には、もはや男女間の愛情を超えるものすら覚える。前時代の日本ではこれが当たり前だったとでもいうのだろうか(俄かには信じ難い)。
歌舞伎のシーンが多く挿入される本作であるが、特に『関の扉』のシーンは実に緻密で良く出来ていた(菊之助の芝居をはじめ、祈るお徳さん、芝居を見つめる福助の緊迫感漲る様子には引き込まれた)。ラスト、花開いた菊之助の晴れ姿と儚く斃れるお徳さんの対比も見事で、ここにはもう涙しかなかった。種々の場面で和の趣を湛える音の使い方も素晴らしい。個人的一、二位を争う屈指の名作邦画。 |
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