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PERFECT DAYS - たこのすさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 PERFECT DAYS
レビュワー たこのすさん
点数 10点
投稿日時 2025-04-30 02:02:48
変更日時 2025-04-30 08:36:50
レビュー内容
 竹ぼうきの音で目覚める主人公、時計が部屋になく時間の確認はしない。布団をたたむ。少し見せるすり足、あるいは武道経験者か、畳み方のリズムに服役経験の可能性を見る。シーツを使ってないので、所作がより美しく見える。階段を下り、歯を磨く。歯磨きの蓋を締める。この所作がカッコいい。さすがだ。霧吹きを持って動作をテストして二階に上がる。このテストに意味があるのかはわからない。小さな苗木が並んでいてそれに手を添えて霧吹きをする。手を添えるのにも意味があるのか分からないが、好感が持てる所作だ。髭も整えるがこれはいまいち面白くない。逆に言えばそれ以外の所作が面白く思えるわけだ。作品に引き込まれる。おそるべし役所広司。これらの動作には忠実な物音が伴う。この音が所作を際立たせ意味深いものにしている。自分もこれをまねて音を意識して日常生活を送ってみるとあら不思議、動作が意識的になり無駄が無くなるような気分した。
 
 さて、その後作業着を着て玄関手前にある小物を持ち家を出るが、その際腕時計は持たない。それでも一瞬、間があるのはさすがにここで時間をチェックするからか。家を出ると玄関灯はついたまま。玄関のカギはかけない。後のシーンで姪が訪ねて来た時、カギを要求されるのでここは辻褄が合わない。缶コーヒーを買って車に乗り込み車内で開けて少し飲む。これは朝食の代わりなのか。車はメタリックブルーのダイハツのバン。のちのシーンで36000キロほどの走行距離とわかる。外装にほぼ汚れなし。カセットテープを選んで聞きだすので時代背景を考えるが特段の過去の時代設定ではない。選曲の趣味から言ってかなりコアなファン。のちのテープの買取店でのシーンで販売されているテープを懐かし気にチェックしているからもしかしたらこれを輸入する業務でも行っていたか。
 
 車は走り出すがライトを点灯させている。周囲はそこそこ明るいが夜明け前だからか。次のシーンはトイレ掃除の現場になるが、周囲に通勤・通学の人々が。するとそれなりに時間は経過しているはず。ならば一回出社しているのか。しかし、次の清掃現場に同僚が遅刻して登場するのであるいは現場直行かも。あるいは終業時間を早めるために始業時間前に一現場、二現場、作業を終わらせているかもしれない。それとも、そこまで作品の時間経過を考えていない撮影・編集なのか。多分こっちだろう。

 明確な説明が全くないため作品から人物設定を想像しながら観ることになる。少しの情報も見落とせない。この緊張感で作品に引き込まれるのだろう。2時間があっという間だ。ドキュメンタリーのように時間列で映像を展開させているように見せかけて実は主人公の人物を際立たせるように作品は作られている。つまり盆栽だ。多分、冒頭で戸にカギをかけないのはかがまないととカギをかけられないから。胸を張っている主人公の生き方の表現にふさわしくないと考えたからだろう。人は過去を背負って生きているが、普通、他人はそれを知る機会がほとんどない。その人の生活から推し量るだけだ。その意味でこの監督のアプローチは非常にリアリティがある。

 非常によくできた作品、非常に素晴らしい演技だと思うが、疑問もないわけでない。カセットを売りに下北沢に行った帰りどうもガス欠したらしいが、小銭しかなく改めてカセットを売りに戻ったような感じだが、結構、距離を走っているので歩いていくことはできないだろう。かなり無理なエピソードだ。それともこれはもっと別に解釈すべき所なのか。ただ、主人公の完全なる日々に描かれる食事は昼食のサンドイッチだけなのにここだけカップラーメンを食べる。それを入れたかったのか。しかし、役所はカップラーメンの臭いをかぐとかすごい事をする。地下街の店での食事は撮影されない。何を食べたのか。店の看板は浅草焼きそばだが食べ終わった食器に茶碗がある。つまみを一口食べるが飲んでいるのは酎ハイだろうが水にしか見えない。役所としたところがどうしたことか。監督の指示か?ただ、彼も台本にセリフがないと何も言わないのか、無理やり黙っているようなシーンが結構ある。多分、あんなにニコニコした人は無口な人とは言わないだろう。

 さて、主人公の生活が美しいのは豊かなところから自分にとって余分なものを全て捨て去ったからだ。最初から貧しければあの生活は築けない。スナックのママが言うように彼はインテリなのだ。教養のある人間の魅力を見せてもらった気がする。普段の彼ではなく寝る前に読書する彼こそが真の姿なんだろう。あやかりたいがとても無理だな。
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