4.侯孝賢監督が描く現代の東京物語。静的でノスタルジックな雰囲気を漂わす作品でありました。台詞はまったくエモーションを排除したかのようでいて、言葉の端々、表情に見え隠れする微かな振幅がリズムを刻む映画、です。ストーリィはあってないようなもので、登場人物の背景も多少なりと語られる程度です。よってストーリィやキャラクター設定で語る映画ではないのよ、ということですな。電車の中、ぼ~っと何かを考えていそうな一青窈演じる陽子のシーン、立体交差する電車郡、電車が行き違う駅のシーン、そして電車や駅で録音する浅野忠信・・・電車を徹底的に作品に用いています。撮り方は一目瞭然の長回し。見ている者に感じてもらったその場の雰囲気を持続させようという感じです。その中で、カメラが微妙に動いて人物をフレームから外したり、物の影に隠したり、遮らせたりして、視界をすっきり保証してくれません。例えば、喫茶店のマスターに場所を聞くシーン、場所を語りだしたマスターをすーっとカメラから外しています。また陽子の部屋へ父母が尋ねてくるシーン、母が陽子を思いっきり遮った構図をわざと採用しています。ということで電車のすれ違いのシーンを挟むこと、人物を遮ったり隠したりすることで、東京という都会が含有する、人間のすれ違い、見えたり見えなかったりする人間関係を描いたもの、というところでしょうか。そうした中にも隣りの家へお酒とグラスを借りに行くシーンなどに、侯孝賢監督の古き日本への想いといったものが見えたりするのでありました。私が見たことのある「童年往事」「悲情城市」あたりと比べるとかなりあっさりしてますが、ちょっとコーヒーブレイクにはいいかもしれませんね。 【彦馬】さん 8点(2004-10-18 00:17:19) (良:3票) |
3.今まで観た中でも最低の部類に入る作品です。まず一青も浅野もぼそぼそしゃべって全く聞こえない。字幕がいりますね。一青は、はっきり言ってこれは演技ではありません。プライベートなビデオじゃなくちゃんと金取って見せる作品の演技ではないですね。ろくに演技の勉強もせずに主役をはれるんだなと、ハリウッドの映画とは到底比べるべくもないなと思いました。しかし、ストーリーも全くなし。語るにも語るべき何かが全くなし! 【たかちゃん】さん [DVD(字幕)] 1点(2006-03-21 21:09:37) (良:1票) |
2.主人公の後姿を映しつづける。ここに小津を発見。主人公が実家でくつろぐ。そして立ちあがろうとした瞬間、正反対からのカットに切り替わる。「おぉ!『麦秋』だ~!」とここにも小津発見。しかし当然のことながら、小津の描いた東京はもうない。小津の描いた家族もいない。それでも小津の描いたものを模索するように電車に乗る。そして探す。大家さんとの会話を見て、父と娘の無言を見て、意味の無い会話をする男女を見て思った。まぎれもなく侯孝賢の映画だと。これは小津に恋した侯孝賢の映画だ。男と女が別々の電車に乗って急接近するシーン、そして大団円的に電車が行き交う画、、こんな素晴らしい画が日本のロケで撮れることを日本人ではない侯孝賢に教えてもらった。なんとも複雑な心境である。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-14 17:31:34) (良:1票) |
1.小津監督の作品をたくさんは見ていないので私の感想は間違っているのかもですが、私の印象では小津へのオマージュという意図はその映像によく現れているかなと思いました。こだわりのある人にはあれが違うこれが不足、と言う部分も多いのかも? でも単純に感性で見る映画だなと思います。 ストーリーはあるようなないような、ですよね。 印象的だったのは設定上たくさん出てくる電車や列車を映しこんだ構図の美しいことです。生まれ育った東京なのでどの構図も自分の目に写したことのある風景ですが、こんなに美しかったのかと感心しました。 日本を離れて久しく、だんだん視点が外国人に近くなっているせいか、この映画に写し取られたどこかレトロな、でも今の東京にも残っている風景たちが実に魅惑的に見えます。おそらく外国人である監督の目にもそういった風景は輝いて見えているんじゃないのかなと思いました。 それにしてもお父さん、最後に一言くらい言うんじゃないかと期待してたのに...(笑) 【ぽん】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-09-11 08:26:29) (良:1票) |