8.世間一般の評価、国内外での評価も前作「たそがれ清兵衛」の方が上みたいですが、個人的には今回の作品の方が圧倒的に好きです。山田洋次監督のファンであると共にそれ以上に寅さんファンの私からしたら絶対に「たそがれ清兵衛」よりも「隠し剣 鬼の爪」の方が遥に上です。前作との比較でよく耳にする。または聞いたりするけど内容が似ているとか、二番煎じで新鮮味が無いとか、それは違うと言いたい。山田洋次監督はこの作品の中に「男はつらいよ」の世界、つまり人情というものを入れて心温まる人情喜劇的な作品にしようとしたかったに違いない。私はそう思っています。主人公にしても前作よりも今回の主人公の方が人間味があると思います。ラストシーンでの松たかこ演じるきえとのやりとり、会話、これは山田洋次監督らしい優しさに満ち溢れていて、どう考えても「たそがれ」よりも今回の作品のが良いと思う。山田洋次監督らしさという意味でも今回のがある。そんな気がしてなりません。「たそがれ清兵衛」派の人には申し訳ないけど「たそがれ清兵衛」のが良いという人の気持ちが私には全く解りません。 【青観】さん [映画館(邦画)] 8点(2005-06-19 20:34:04) (良:2票) |
7.素晴らしかったのは、二人で海を見に行く場面。片桐の数歩後ろをついていく松たか子は、まさに古き良き日本の女性。どこから見ても夫婦なのに、あんなに近くにいるのに、二人の間には大きな壁がある・・・。
幕末という時代もあってか、抗うことの出来ない大き力が随所に見られた。それは身分であったり、上からの命令であったり、迫り来る近代化の波であったり。そんな流れに呑み込まれそうになっても、自分自身の「信念」に従い、自らの足で生きる姿。そんな片桐の生き様に、剣の腕だけではない人間としての「強さ」を感じたのです。
確かに『たそがれ清兵衛』と共通する部分が非常に多いけれど、なぜそれがいけないのだろう、というのが自分の正直な気持ち。むしろ、変わってもらっては困る。毎年田舎に行くように、二、三年に一度、山田洋次監督の藤沢周平時代劇を見続けていきたい。故郷に帰ったような暖かさがあるし、何より、自分の世代にはそういう映画が無いから。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-10-30 17:29:40) (良:2票) |
6.良かったんだけど、不満もあったな。原作が同じ作家なんだから「たそがれ・」と雰囲気は似てくるのは仕方ないとして、登場人物が特に同じでもないのに、たそがれパート2的な印象は何とかならなかったのかな。設定を少し変えても良かったと思うよ。主人公が朴とつな中にもユーモアとか志をちらっと見せると全然印象が違うよな。シリーズものにする必要性はなかったんだし。それから、松たか子の起用は疑問だな。好きな女優なんだが、百姓の娘には見えないよ。武家のお嬢さんの役だよ、彼女は。あの役は美人である必要はないから、純情で控えめであれば、顔はそれほどでもなくていいよなあ。例えば、あの妹役の人(田畑智子さんといいます。)。そういう訳で、満点にできない惜しい作品だな。喜劇っぽい演出も、無いほうがいいな。面白いけど、作品が軽くなってしまう。まあ、そこは減点要素ではないが、控えたに越したことはないと思うよ。音楽はよかったなあ。 【もがみとくない】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-01-11 22:42:06) (良:1票) |
5.同じ原作者で同じ監督なので、どうしても「たそがれ清兵衛」と比較される事が多いようですが、僕は単作としてはいい出来だったように思います。非常に色合いの似た作品ですが、あくまで別作品ですし、ここは単作としての評価をつけておきたいと思います。しかし山田監督は藤沢文学の世界(海坂藩)を巧く表現しますね。前半のきえのエピソードは「鬼の爪」とはまた別の原作を引用しているのですが、後半の「鬼の爪」の話に入ると、前半とのストーリーの繋がりが希薄になってしまっているのが見えてしまい、ちょっと残念でした。もう少し上手く混ぜられると良かったのに・・・。むしろ原作が短いからといって、ここまで無理矢理恋愛ストーリーにせんでもよかったんちゃうかなーとも思います。しかしあの、一瞬の動作でキメてしまう「鬼の爪」は凄い格好いいですね。ホントに一瞬でしたよ一瞬。余談ですが、藤沢文学の必殺剣は地味なん多いです。 【Fukky】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-12-23 06:45:05) (良:1票) |
4.確かに「たそがれ清兵衛」と似たようなストーリー展開で、新鮮味はなかったが、こちらのほうが山田洋次らしい映画だったように思えて、個人的には山田作品としては「たそがれ清兵衛」よりも良かった。出演している役者陣ではきえ役の松たか子が実にいい。実は芝居をしている松たか子を実はこれで初めて見たのだが、アイドルのイメージが強かった(って、何年前の話だよ。)ので、予想以上にいい演技をしているのを見て驚いた。ところで、山田監督の次回作はまた藤沢周平原作の時代劇だそうで、楽しみではあるが、主演がキムタクとのことなのでちょっと心配。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-01-10 03:35:45) (良:1票) |
3.基本的にチャンバラなんていらない。観たいのはそこに住んでいた人達の生き方や生き様や、それを取り巻く町の様子や世界の様子が観たいのだ。この作品は僕が求めていたそれらにピッタリと合致し、僕に大きな感動と喜びを与えてくれた。変わり行く時代の変化、そこに住む人達の様子、そして侍の心。何もかもが日本にしかない、日本だけの匂いを感じさせ、日本と云う国の歴史や文化の原点を観させてもらったような心境。時代劇の中に登場するチャンバラは最後の最後に少しだけ見せれば良いと思う。黒澤監督の『椿三十朗』のように、ほんの一瞬で伝わる刀の強さや繊細さ。この作品はまさにそれ。美しい映像、演技、音楽。今のこの時代にこれほどまでに洗礼された時代劇を観れた事に感激。同じでも構わない、もっとたくさん観たい。 【ボビー】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-09-19 10:03:46) (良:1票) |
2.山田監督お願いです、この路線でもう一本作ってください。三部作の格好になれば作品が「二番煎じ」と言われななくなります。 【y_osuka】さん 8点(2004-12-19 00:29:49) (笑:1票) |
1.「家族」の後に「故郷」、「幸福の黄色いハンカチ」の後に「遙かなる山の呼び声」、そして今回の「たそがれ清兵衛」の後の「隠し剣鬼の爪」。山田洋次監督には、このように傑作やヒット作が出ると、続けて同工異曲の作品が出る例が多いですね。もちろん寅さんみたいにシリーズ化される作品もありますし。その一番の理由は、やはり映画会社(松竹)の要請でやむを得ず、ということなんでしょうね。その結果、前二例と同じく、今回も前作には及ばない、厳しく言えば「二番煎じ」な作品だと思います。けれど、個人的には前作より、こちらの方が好きです。わざと寅さんメンバーを揃えたり、笑える場面が多かったり、山田監督の肩の力が抜けた遊びごころが見えて、「清兵衛」とは色合いの違う楽しい娯楽映画になったと思います。キセルの「あ、首がとんだ」の場面は、寅さん映画ですよね。 【とらおとめ】さん 8点(2004-11-18 23:05:39) (良:1票) |