4.《ネタバレ》 監督の福田純氏は、私にとって「ゴジラ対メガロ」を撮った人として、70年代のゴジラ映画をダメにした張本人として記憶されているんだけど、この映画の雰囲気は悪くない。少なくとも本多猪四郎氏が撮った変身シリーズのひとつ前の「液体人間」よりはサスペンス・ホラーとして成立していると思いました。この映画の魅力は中丸忠雄の不気味さに尽きますね。蒼白のメイクで意味不明の笑いを湛える登場シーンは秀逸です。完璧にちょっと違う世界に行っちゃっている人で、ともかく気持ち悪い。電送人間という部分は1958年の「蝿男の恐怖」から頂戴したようで、こちらは復讐のための道具としての使われ方がちょっと安易です。殺人予告をしたうえで、前もって復讐する相手がいる近所に電送装置を運送し、そこに自分を電送してから歩いて殺しに行くという勿体ぶった遣り方がかなり意味不明。まぁ、逃げる時には重宝してましたが、普通に考えると自分を電送する必然がないし、電送装置が事前に他者に見つかった時点で計画は頓挫する訳で、かなりのご都合主義が見受けられます。この頃はそんなところに突っ込むような輩は少なかったのでしょうね。もうひとつ面白かったのは復讐相手が経営するお店。「軍国キャバレー DAIHONEI」というネーミングで、エントランスでは銃剣を持った軍服姿の店員が敬礼で客を迎えてくれます。中に入るとミニのセーラー服を着た女性がわんさかいて客をもてなしている。まさに現代のコスプレ店のノリですが、1960年にこんな店があったのかと驚きました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-12-15 23:05:18) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 今観るとほのぼのしていますが、その頃は怖い怖い作品だったのでしょうね。
本編の暗くて渋~い語り口も魅力ですが、 ゴジラ映画にはない、オジサマがたの娯楽のシーンもウフフフと楽しめました。
そしてやっと出た出た! 博士の実験室は良い作りですね~(しみじみ) 電送のマシーンも好みだわ(はあと)と喜んでしまいました。
渋いしぶい雰囲気で地味な作品です。 私的には、土屋嘉男さんのコート姿が素敵で、+1点です。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-12 22:01:12) (良:1票) |
2.福田純監督といえば70年代のゴジラ映画のイメージが強く、見る前はちょっと不安もあったが、怪獣ものと違って特撮よりもストーリーを重視しているなど、作風としては後年の円谷プロのテレビシリーズ「怪奇大作戦」のテイストに非常に近くなかなか楽しめた。電送人間須藤兵長役の中丸忠雄の不気味な演技はインパクトがあって良かったし、この映画では脇役に徹している円谷英二の特撮も怪獣映画とはまた違った印象を残しているのも良かったと思う。ただ、当時から大スターであった主演の鶴田浩二がかなり浮いて見えるのがちょっと残念。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-07-10 11:21:07) (良:1票) |
1.本多猪四郎監督&円谷英二特技監督が描く東宝特撮シリーズの変身モノの一本。“変身”と言っても「ガス人間」や「マタンゴ」のように姿形が変わるわけではなく、物質電送機なる装置を利用して瞬間移動する際に一時的に変化するというものである。しかもそのメカは復讐の為のアリバイ工作としての役割をも担っている。「ザ・フライ」や「スタートレック」の例を挙げるまでもなく、物質転送は昨今のSF映画では目新しくも無いが、この当時ではまさに画期的なアイデアであり、また犯罪に悪用するといった点など、世界映画史的にみても他に例が見当たらず、そういう意味においては極めて稀有な作品だったと言える。話の発端が終戦時の旧陸軍仲間の裏切りからということもあり、彼らに対する報復が銃剣で突き刺して殺害してしまうという極めて残忍な手口で、さしずめ今ならホラーにでもなりそうな怨念話である。映画はこの神出鬼没の殺人鬼の謎を推理劇として恐怖感たっぷりに描いていくが、この復讐の鬼と化した須藤を演ずる中丸忠雄が、私憤で行動する男とメカのパワーを得た男という両面を見事に演じ、冷酷で不気味さを漂わせるそのイメージは未だに拭えないほど強烈である。今回の円谷特撮としては少々地味ながら、電送される男の姿をTVの走査線のように二次元的な形で描き、本作の独特の恐怖感をさらに盛り上げている。 【ドラえもん】さん 7点(2004-07-14 18:16:53) (良:1票) |